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イカレてるのはどいつだ!?
・・・ってのがこの映画の見方の一つだと思う。
(ほぼネタばれなので、これから鑑賞する予定の人は読まないでくださいね。)

冒頭に登場した人種差別思想バリバリのSWAT隊員は
多くの人が「イカレてる」と思うだろう。これはわかりやすい。

次にビビっと来たのは、ガソリンスタンドのくだり。
ピーターの背後に迫るゾンビを狙ってスティーブンが発砲したシーン。
スティーブンに対して「銃口を向けられた気分はどうだ?」と凄むピーターに
対して、ちょっと「イカレてる」疑惑が浮上する。
私たちが見慣れている映画だと、仲間スレスレのところを弾丸が飛んで
敵を倒して、ハイタッチするシーンってのが常識だったから。

安全地帯となるショッピングセンターの倉庫にたどり着いたとき、
ピーターとロジャーは、「中には欲しいものがなんでもある。」と言い
ゾンビがひしめく店内に突入していった。
残されたスティーブンは「あいつらイカレてる」とつぶやく。

多くの人は、ここまでは民間人のスティーブン寄りな感覚で
鑑賞していたと思うのだが、
順調にショッピングセンターを制圧してゆくと、
これまでのピーター達への見方が変わってくるのではないだろうか?

ピーター達はSWAT隊にて沢山の訓練を受けてきて、痛い目にもあって、
そうやって得てきたであろう経験で、作戦の成功率みたいなのを
はじき出して行動しているのだろう。
自分にできることとできないことの見積もりができるから
行動に移せるのだ。

ただ目先の安全や安定を確保するだけでは、
現実から目をそらしているだけか、あるいは、
実体もわからぬ相手に怯えているだけ・・・ということで、
むしろ「理性」とは逆にあるものなんだな・・・と。


・・・その後も「イカレ者」探しは続く。

ロジャー脱落。

ならず者参上。

スティーブン脱落。


最後に残ったピーターは、この映画では「理性」の象徴として
描かれていたと思う。
その彼は、終盤、「死」を選ぼうとする。
あまりにも絶望的な状況で、もう彼にはなにも見積もれなくなってしまった。
極めて理性的に「死」を迎え入れようとしていたが、
最後にイカレたのは、なんと彼だった。

脱出するとき、最後の銃をゾンビに掴まれたけど、
あっさり放しちゃったのがポイント。
この先を生き抜くつもりなら武器を手放しちゃうなんて考えられない。
食料も燃料も武器もなくなった・・・。
「でもそんなの関係ない!」っていうわけだ。

こういう鑑賞の仕方はどうでしょう?

ホラー映画とは「恐怖」を描くものであり、
その反面となる「理性」を描くものでもある。
そういう意味で、実に古典的でもあり、
すばらしい作品であると思うのですよ。
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