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国民的エッセイ少女マンガ「ちびまる子ちゃん」の作者さくらももこによる、自らの出産時のエピソードを主に文章で書いたエッセイ。

既に「もものかんづめ」などの初期エッセイ三部作でミリオンセラーを飛ばしており、既刊を見てもマンガよりも活字のほうが数が多い。

初期エッセイ三部作はすごく面白かった。「ちびまる子ちゃん」の延長として、子供時代のことからマンガ家デビュー後のこと、大人になってからの姉のエピソードなんかが印象深かった。「ちびまる子ちゃん」のときも巻末に本人のリアルエピソードを描いたエッセイマンガが載っている巻がいくつかあって、本編よりもそっちのほうがドキドキしたりホロッとさせられたりした。特に初めての一人暮らしでの母親との会話には泣けた。

だからひさびさにこの作者の本に手を出したのがこの本なのだが、正直かなり期待ハズレだった。

マタニティブルーつまり妊娠時の憂鬱な気持ちをかなり正直に書いているのはほんとすごいと思うのだが、それでも読んでいてどうしても不快になってしまう。夫に当たったり、甘えた考えを持ったり、一時的ながら死にたいと思うほど気持ちが沈んだりする描写が続く。

ギャグ面ではちょっとウンコネタを引っ張りすぎ。読者の私が歳を取って冷めてしまったのも大きいと思うのだが、時代の流れというのもあると思う。まる子当時からギリギリ気味だったようにも思うけど。

私はこの人の青春ネタが大好きなのだけど、この作品にはそれがまったくなかった。

私の大嫌いなスピリチュアルネタが持論として展開されているのもイヤだった。帝王切開で麻酔中に不思議体験をして何か悟ってしまったらしい。

文字が大きすぎて内容が薄い。

さくらももこはこの当時の夫とは離婚していて、さすが人気漫画家それが小さいながらもニュースとして報道されていたので驚かされたのだが、この本を読んでいるとマタニティブルーだけじゃなくて仲よくしている描写がほとんどないよなあと思った。

本書の最後にビートたけしとの対談が載っている。こういう対談を読むと私は、二人の間にどのくらい会話が成り立っているのかがすごく気になる。特に超有名人同士だと読んでいてツラいほどキャッチボールが出来ていない対談があるのだが、このビートたけしとの対談は結構かみ合っていた。たけしの「菊次郎の夏」の宣伝もあったのだろうけど、まる子との近似性について触れている。あとさくらももこのスピリチュアルネタとビートたけしのバイク事故のときの話がリンクしちゃったり。

結構長々と書いてしまったが、このエッセイはほんといまいちなのですぐ捨ててしまってもいいぐらいに思っている。もし読むなら初期三部作とまる子の単行本を読むことを勧める。
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