お言葉ですが… |
中国語教師が漢字に関わる短い話を書いている連載。今週は、中国語のしゃれことば。毛沢東の晩年のイメージの誤解についてなど。
中国では、字面を追うだけでは意味の分かりにくいたとえ言葉がたくさんあるらしい。たとえば「孔子さまの引越」というのは、孔子は本を沢山持っていたので、本と同じ発音をする輸(敗北の意)に置き換えて、負けが込んでいることを意味するらしい。
中国共産党の西側での広告塔のようなエドガー・スノーというアメリカ人のジャーナリストが、毛沢東の言葉「まあおれなんぞは坊主が傘をさすだからね」というのを聞いて、毛沢東がしゃれ言葉を使っているのに気づかずにそのまま発表したらしい。本当は、
坊主は髪がない ⇒ 無髪 ⇒ 無法
傘をさす ⇒ 空がかくれる ⇒ 無天
あわせて「無法無天」つまり法律も道徳も無視してムチャクチャやりほうだい、という意味だったらしい。著者をはじめとした中国語教師は「ちがうちがう」と言ったが結局、どこかの新聞が一面で「孤独な行脚僧」をそのまま踏襲したそうだ。
日本でも
便所の火事 ⇒ 糞が焼ける ⇒ ヤケクソ
という上品でないしゃれ言葉があるが、これをそのまま便所の火事だと勘違いして騒ぎだすのと同じだと結んでいる。
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