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私たちは繁殖している 4巻
作者自身の出産・育児を、限りなくノンフィクションに近い形で主人公ジジに投影してフィクションとしてつづっている日記マンガ。

作者は内田春菊。漫画家だが確か小説も書いていた。東京電力のマスコットキャラクターでんこちゃんを描いている人。ただし、主な作品はたいてい男女間のドロドロを扱っている。

育児・出産について、ここまで踏み込んで書かれた作品はないのではないかと思う。それだけでとても興味深い。特に、ちょっと大きくなって会話できるようになってからの子供がとてもかわいい。

主な特徴は、まず非常に赤裸々であること。限りなくノンフィクションなので、セックスの描写もあるし、昔の夫との離婚までの道すじも時折語られる。

なんでもないようなこともうまいこと 4コマ 8コマにおさめていて、小さい子供の雰囲気が伝わってくる。普通の作家なら取りこぼしてしまうところだろう。読んでいるとボーッと眺めてしまうが、よくよく考えてみると内田春菊は天才ではないか。

普段は邪険にされるのに、誕生日でなぜかみんなから急にちやほやされたりプレゼントをもらったりして、顔を赤くして興奮気味で疲れる娘、などなど、とてもかわいくてリアルなエピソードが満載だ。

バリバリに若い母親なので、旧来の育児方法やグッズで気に入らないものがあると批判している。こういうものがあればいいのに、だとか、これこれ、と新しいグッズを手に入れて報告している。なるほどなとは思うが、独身男の読者にとってはそんなに興味深くはなれない。

ここまで書くのになぜフィクションということにしているのか、非常に不思議である。特に、作者自身の業界での付き合いが描写されており、作者の周辺にいる人々が実名で登場するのだから、作品自体はほとんどノンフィクションなのだ。しかし作者はフィクションだと断り、主人公も自分ではなくジジという架空の女性だと言っている。これはルール違反なのではないか。ルール違反だからつまらないかと言われると困るのだが、釈然としないものを感じる。主人公をあえて架空の人物にすることで、若くて美人の主人公のほうがいいだろうという作者なりのサービスなのだろうか。

私はこの作品の 1〜3巻を持っているのだが、この 4巻は実のところパスした。作品自体にほとんど起伏がなく、さあ読もうという気になれない本だ。内田春菊の本の中では、この作品は値段のわりに中身が濃くて良いのだが、それでもひたすら続く日常は、読んでも読まなくてもいいやという感じのする作品に思えた。しかし、実際に借りて読んでみたらやはり面白い。

倉田真由美「だめんずうぉ〜か〜」を読んでからこの作品を読んで、内田春菊も「だめんずうぉ〜か〜」つまり簡単に言うと「男を見る眼がなくオスとして選んで失敗する女性」なんじゃないかと思った。4巻ではいきなり新しいパートナーと三人目を産む話から始まるが、驚くべきことに三人とも父親が違うらしい。4巻ではユーヤこそいい男だと言っているが、4巻の巻末にある 4人目妊娠から予告される 5巻ではこのユーヤともあっさり別れてしまう可能性もあるんじゃないかと危ぶまずにはいられない。「も〜!! だから!! 男っていや〜!」って言う前にまず男を選べない自分を自覚しろとも言いたくなるが、こうやって常に人のせいにできる性格は非常にうらやましい。
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