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ジャンヌダルク
まず最初に礼を言うことにする。中世の鎧を着た騎士たち兵士たち、城郭に攻城兵器、これらを映像化してくれたことに感謝したい。

だが映画自体は駄作。

リュックベッソンはジャンヌダルクという少女を描きたかったみたいなのだけど、なにをしたかったのかよく分からない。ジャンヌダルクという一人の英雄の真実の姿を描きたかったわけではないだろう。感情の起伏と思い込みの激しい少女でした、という自分の解釈を示したかっただけなのだろうか。

ジャンヌダルクは実際には聖少女と呼ばれるには程遠い現実的な存在だった、とする解釈には敬意を覚えなくもないが、それだけを主眼に作品を成立させることに意味があるのだろうか。

リュックベッソンは、日本のアニメ界の人たちと考え方がよく似ている。一言で言えば「キャラ萌え」なのではないだろうか。キャラクタをとことんいじっていじって、それ一点だけで作品を成立させようとするところである。

良いと思える点もあった。幼い日のジャンヌダルクが草原で剣を拾ったことについての、それは神の啓示なんかではない、と説明する謎の老人。その映像が見ていて笑えた。こればかりは映像ではないと不可能な面白さがある。

登場人物の性格が非常に行き当たりばったりではあったが、脇役たちが時にやれやれと仕方なくジャンヌダルクについていき、時に勝利をたたえるさまが微笑ましい。

ミラ・ジョボビッチが好きな人、中世ヨーロッパの世界が好きな人だけが見ればよい。
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