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電波少年的十五ヶ国少女漂流記
ジュブナイル小説「十五少年漂流記」をもじって、十五人の少女を無人島で共同生活させて最終的にいかだを作らせて脱出させる企画の続編で、今度は日本も含めた全世界十五カ国から少女を集めた。

なにしろ今回は言葉があまり通じ合わない。下手に言葉が通じ合わない方が、細かい表現で感情を逆なでしたりしないのでいいのかもしれないとも思ったが、やはり共同生活には意志の疎通が欠かせない。

だが言葉の問題以上に大きかったのは、ヨーロッパ的価値観とアジア的価値観だった。ヨーロッパ勢は自己主張が強く、アジア勢は「何も言わないけど分かるよね」といった和を求める。この二つの価値観がぶつかったとき、アジア勢はせっせと仕事をするのだが、ヨーロッパ勢はどんどんさぼっていく。作業の指示だけ出して海で泳ぐ者もいた。そんなこんなでアジア勢(と南米・アフリカ勢)の不満が溜まっていき、白人は有色人種をバカにしていると言い出す者も出る。

色々考えさせられたのだが、インドネシアから来た少女の去り際の翻訳を使ってのメッセージは私も卑怯だと思った。言いたいことがあったのなら、去ると決める前になぜ言っておかなかったのか。言わないと決めたら去り際なんかに文句を言うべきではない。これを含めて、物言わぬアジア勢に対してそんなには同情できなかった。言語の問題もおそらく大きかったのだろう。

それから、ヨーロッパ勢と共同生活を送るには、言うべきことを言わないと成り立たないなと思った。彼女らは、指示されあうコミュニケーションを取っている。アジア勢などに対してああしようこうしようと言ったら言ったっきりで自分たちは遊びにいってしまうのだが、彼女らにも何かやれと言わなければならない。言い方を変えると、彼女らには自分から進んで作業をするというノーブルなマインドを持ち合わせていないので、とことん指示してやる必要があるのだ。遊ぶヨーロッパ勢に対して黙って働く有色人種という構図を見ると、有色人種が生まれながらに奴隷なんじゃないかという観方を多くの人はするかもしれないが、むしろ奴隷として適しているのはヨーロッパ勢の方なのではないかと思った。

そんなこんなでいざこざがあって、最後は四人しか残らなかった。日本、カンボジア、ペルー、ケニア。絵に描いたように、アジアと南米とアフリカから一人ずつ残った。ヨーロッパ勢は、企画に文句を言いつつ離脱してしまった。

こんなに離脱して本当に脱出できるのかと思ったら、ついにイカダを作って漕ぎだしてしまった。しかもスタッフの予測外の時に突然だ。

スタッフは最初イカダがどこにいったか分からず、ついにはカンボジアの軍隊に頼んで捜索してもらうということになった。カンボジア軍と艦長らしいおっさんが妙にかっこいい。

ほどなくして見つかったが、イカダは当初の予測とは正反対の、ベトナム国境付近の小島へ。そこの小島に駐屯している国境警備中のカンボジア軍部隊と接触して、この小島が有人だということが分かってゴール。

多分暗闇の中で小さなイカダの上で陸の見えない海に揺られながら過ごすのは相当怖いはずなのだが、彼女らは明るかった。同行の毛利ディレクターがいて、生命の危険を感じなかったからだろうか。

イカダを作るまでにも、都合のいい道具を時々スタッフからもらったりして、無人島にも色々役に立つモノが最初から落ちていたりと、まあ言ってしまえば随分甘い条件であったとは思う。

それでも企画自体がとてもハードで、若い女の子にここまでやらせるかというぐらいに大胆な企画だった。テレビの可能性を切り開いたと言ったら大げさだが、生ぬるい番組ばかりの閉塞感とは無縁のこの番組には敬意を持つ。明日からまた一週間働かなければならないなという前日の夜には欠かせない私の生活の一部となっている。いつまでも続けて欲しい。
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