そんな未来はウソである 第1巻 |
他人のウソを見抜いてしまうばかりに冷めた目で人を見てしまい普通の友達付き合いが出来なくなってしまった少女佐藤アカネが、人と目を合わせるとその人の未来が見えてしまうばかりに伏し目がちになり人付き合いが苦手になってしまった内気な少女大橋ミツキにひょんなことからなつかれてしまい、しかたなく彼女のために世話を焼いてあげる話。青年誌に連載されているマンガ作品。
作者は私の大好きな「みなみけ」や「今日の5の2」を描いた桜場コハル。私の中では書店で見かけたら必ず作品を買う著者リストに入っているので即行買って読んだ。
まず「みなみけ」の千秋に似た眠たい目つきの少女大橋ミツキが出てくる。人の未来が見えてしまうという突飛な設定にいきなり話に引き込まれる。かなりの天然キャラで、その場を取り繕うために言葉をつむいだり、友達になってくれそうな佐藤アカネにすがったりするところがかわいい。
そして実質的な主人公の佐藤アカネは、人のウソを見抜くことが出来るため、未来が見えるのをごまかそうとする大橋ミツキのことが分かってしまう。彼女がどんなウソを見抜くのかということが話の背骨になっている。
ここで高山君が現れる。大橋ミツキは自分が高山君と結婚する未来を見る。でも自分は高山君とは結婚しないだろうと言う。それを聞かされた佐藤アカネは、自分のせいで未来が変わってしまったのだと責任を感じて、高山君を大橋ミツキとくっつけようと努力する。とりあえずこの第1巻はこれがメインで大体の話が進む。
高山君は大橋ミツキのことが好きなのだけどそれを隠そうとする。しかしそのウソは佐藤アカネに完全にバレている。でも佐藤アカネにとってそのウソはあまりに自明なことなのでハイハイとばかりに無視して二人をくっつけようとする。しかし大橋ミツキは高山君にはそれほど興味はない。大橋ミツキは佐藤アカネともっと仲良くなりたい。でも佐藤アカネはそれを疎ましく思う。という三角関係になっている。さらにここへもう一人の女、白石マドカがあらわれ、話がややこしくなっていく。とまあそんな仕掛けになっている。
この作品、それぞれの登場人物の持っている自分ルール(?)がはっきりしていて、そのルール同士が絡み合うのが楽しい。読んでいて知的な楽しみがある。でも読んでいていちいち頭を使わなければならないのは少々疲れる。
登場人物のほとんどの気持ちがはっきりと描かれているのに対して、ウソを見抜く佐藤アカネの本心だけは隠されている。この仕組みは面白い。ただ、私は結構じっくり読んだつもりなのだけど、佐藤アカネの本心がそれほど浮かび上がっているようには見えなかった。まだ最初の巻だからなのかな。制限付きながら人の心が読めるという佐藤アカネが今度どう魅力的なキャラになっていくのかが楽しみなのだけど、なんだか「みなみけ」の夏奈のように終始すっとぼけたままになりそうな気がする。
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