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とある魔術の禁書目録(インデックス) 5
超能力を研究している空想近未来の日本の巨大学園都市で実力ナンバーワンだった少年・一方通行(アクセラレータ)は、さらなる高みに登るための実験が自らの敗北により中断されて以来、その座を狙う雑魚どもから狙われ続ける日々を送っていた。いつまでも敗北を消化できない中で彼は、自分が実験中に殺害してきたクローン人間に似た幼女と出会う。他に二編が収録された人気SFライトノベルシリーズの短編集。

アニメ化された本シリーズの第一期の中でこの原作回をベストエピソードに挙げている人がいた。本シリーズはかつての悪役たちが次々に善玉になっていくベタなパターンがネットでは揶揄されているのだけど、この一方通行(アクセラレータ)の話は良かった。クローン人間という言い訳がありながら一万人を殺してきた人間を善玉(?)にするというのはちょっと無理があるのでさすがにそれは留保されているのだけど、かつての悪人が自分なりの改心(?)をするというストーリーにはじんとくる。ここにかつて同僚だった二人の科学者が交叉し、劇的な結末が待っている。

ここで無粋なことを言うと、こういう育ちの悪い人間が改心することはありえないと思う。読んでいて不自然に感じた。現実にはまずないことだと思う。でも物語的には王道だと思う。人々はこういう話を好むものだし、自分もこういう話がなんだかんだで好きだ。

二番目の話は、勘違いヒロイン御坂美琴が、最近特につきまとってくる優男から逃れるために、偶然鉢合わせた主人公上条当麻と恋人を装うことになるという超王道的な導入から始まる。分かっていてもニヤけてしまう。いいねえこういうの。しかもその後、御坂美琴が少し席を外したときに上条当麻はその優男と仲良くなってしまうのがウケた。物語はその後急転する。

私はまだ原作7巻目の途中とアニメ二期までしか見ていないのだけど、ひょっとしたらこの話が私にとってのベストエピソードかも。この優男の心情が良かった。最後に御坂美琴が勘違いするところとか。

ただ、この話の組織的背景がショボいのと、戦闘中の会話が饒舌すぎるのが気になった。戦っている人間同士がなぜ不必要に饒舌になるのか?という「言っちゃいけないお約束」について言っているのではなくて、なんかこの人の語り口はクドいんだよなあ。でも面白いことに作者自身が作中で堂々と釈明している。やたら「プロ」がどうのという寒い口上が語られていながら、同時に「プロなら本当は黙って相手を殺しに掛かるのだけど魔術師は弱い心を同居させているので戦闘中に弱みをさらけ出してしまう」みたいなことを説明していた。こういうことって言わないほうがいいと思うのだけど、それをあえて言っちゃうところがなんとも言えず作者に好意を持ってしまう。

三番目の話はこれ没にするべきだと思った。特にアニメ化されたものを見たときは視聴を続けるのをやめようとさえ思ったほど。敵が甘えすぎ。でもヒロイン緊縛というおいしいシーンあり。

まあさすがにこの五冊目まで読んできた人ならこのシリーズのノリについてはある程度了解しているだろうしこの巻はかなり楽しめるほうだと思う。
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