とある魔術の禁書目録(インデックス) 7 |
空想近未来の西東京の超能力研究学園都市で学生生活を送っている無能力者の上条当麻のもとには、魔術の世界の住人である十三歳の少女「インデックス」が居候していた。炎の魔術師ステイル・マグヌスからの半ば強引な招集を受け、誘拐された一人のシスターを救うために三人が戦う。人気SF超能力学園ものシリーズのライトノベル。
今回は誘拐劇が描かれる。「法の書」という強力な魔術書の原典の解読方法が分かったというシスターが、その力を欲する日本のキリスト教分派・天草式十字凄教に誘拐されたというので、十字教最大宗派のローマ成教が試みる彼女の奪還作戦に、「インデックス」の所属するイギリス正教も手を貸すことになった。戦力として主人公の上条当麻も連れてこられ、炎の魔術師ステイル・マグヌスと三人で作戦に駆けつける。
この作品にはいわゆる外国人が大勢出てくるのだけど、日本語が使える設定になっている。このあたりをあいまいにしていないのはちょっと面白い。イギリス正教の最大主教の少女、ローマ成教のシスター隊長の幼女、誘拐されたシスター、みんなちょっとずつ日本語がおかしいのがウケる。萌え要素にもなっていてあざとい。すごいありえない感がするけれど、ここを乗り越えないと作品を楽しめない。例によってシスターたちの脈絡ないサービスシーンあり。シスターが人の話を聞いているようで全然聞いていないというシーンは声に出して笑った。
ストーリーはこの作者お得意の(?)大転回がある。今回は転回自体は意外性に乏しかったのだけど、最後に話をおさめるときに、ある小道具が活きるところがすごく良かった。ここにつながるのか!みたいな。
話の残りの内容はほとんど追跡と戦闘なので、私のような読者には退屈だった。最後の戦いの敵のとってつけたような回想イラネーとか思ったり。でもよく考えたら少年マンガだったらバトル展開中心で話が進んでいくし、敵の回想シーンなんかも結構あるんだから、まさに需要そのままのものが描かれているんだなあと思った。世界的に大ヒットしているNARUTOの序盤にもいきなりこういうのあるし。
毎度設定に凝っているなあと思う。今回初めて本体が出てきた天草式は、キリスト教もとい十字教を弾圧してきた日本の特殊条件を織り込んで、なるべくそれと分からないような自然な所作の中に魔術を組み入れているだとか、隠密性が得意だなんていう設定が語られている。正直安っぽく感じてしょうがないのだけど、突飛な作り話を楽しめないのは読者の側にも問題があるようにも思う。
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