Athlon MP 2000+ |
Intel x86シリーズ(IA32) 互換CPU の雄 AMD によるマルチプロセッシング用 CPU 。
同等の速度でシングル用の Athlon XP と比べると多少高価。インプレス AKIBA PC Hotline! によると、今週の Athlon XP 2000+ の平均店頭価格が 13,454円なのに対して、Athlon MP 2000+ は 20,622円。私は二週間ぐらいまえに 20,800円で買った。
Athlon XP でも、チップの載った土台にある焼き付けされた配線の状態によっては、問題なくマルチプロセッシング可能らしい。Athlon MP ではなく Athlon XP を使っているという人が結構いる。しかし、買ってみてハズレだったら困る。Athlon MP を二個買う代わりに Athlon XP を三個買っても同じなのだが、こんな馬鹿馬鹿しいリスクを背負う必要はないだろう。マザーボードも大体三万円くらいするのだから、こんなところでケチってもしょうがない。
私は ASUS A7M266-D に Athlon MP 2000+ を二つ載せた。これまでは Thunderbird の Athlon 1.2GHz(FSB200) と 800MHz を載せていたのだが、体感速度こそ目立って変わりはしなかったが、super π というベンチマークでの速度は倍近くになった。これまでは π 106万桁を計算するのに 2分10秒くらい掛かっていたが、Athlon MP 2000+ × 2 にしてから 1分10秒くらいになった。
おそらく FSB が上がったことが大きく影響したのだろう。ほかに、Thunderbird コアが Palomino コアになったことで 10% アップだそうだし、周波数で言っても 1.2GHz が 1.67GHz (2000+ の実際の周波数) になっている。
デュアルマシンの利点は、二つの CPU をフルに使った各種エンコーディングや 3DCG などのスレッド対応ソフトのほかに、複数のアプリケーションを同時に動かしても速度があまり落ちないことだ。
しかし、ディスクに書き込みに行くと意味がなくなる。たとえば最近私はカセットテープに入った音楽をパソコンに録音しているのだが、ディスクにデータをガリガリ書き込んでいるときは他のことが何もできなくなる。ディスクも 10,000rpm の Ultra Wide SCSI なのだがまったく意味がない。もう一台の方を作業領域に指定してやったら解決するかもしれないが。
Palomino コアは発熱も下がったらしいが、さすがに Athlon MP 2000+ となると Thunderbird コアの最上位クラスと同じくらいの発熱があるようだ。CPU 温度は 5度近く上がった。
最初、片方の CPU クーラーの向きを逆にしてつけてしまった。ものすごく発熱している。おかしいと思って一度 CPU クーラーをはずしてみたら、コアが CPU クーラーの熱伝導シートから 1/3 ほどズレてついていた。危なかった。もう少し気づくのが遅ければ熱でコアが壊れていただろう。
その点、ライバル Intel の Pentium 4 の場合、コアにヒートスプレッダと呼ばれる金属製のカバーがついていて、このカバーに CPU クーラーをつけるのだから気が楽だろう。AMD の Athlon はコアがむき出しになっていて、下手をすると CPU クーラーに力を入れすぎたりすることが原因でコアが欠けて最悪壊れてしまうことがある。ヒートスプレッダには、コアをガードするほかに、名前の通り発熱を発散させて効率よく CPU クーラーに伝える効力があるそうだ。この点考えて欲しい。
リテールファンが薄くて高回転なタイプなのでうるさい。もともとうるさかった私のマシンがさらにうるさくなった。SOLDAM (星野金属工業) の欠陥ケース MT-PRO1100 のおかげで、5インチベイ一つとフロントパネル下部両サイドの隙間が通気孔になっていて、そこからノイズが漏れているから余計うるさい。
文句もあるが、AMD がマルチプロセッシングに進出してきてくれたのがうれしい。Intel も Xeon や Pentium III-S でデュアルプロセッシング対応もしているのだが、Xeon は高価だし Pentium III-S はチップセットの問題があってあまり広まっていない。そこへ AMD が Athlon MP とそのチップセットを投入してくれたことは素直に嬉しい。
当初は独自の電源が必要だとかいってガッカリさせられたが、いまでは普通の大容量電源なら動くようになった。
安定志向で知られる 3DCG 用マシンのコンサルタントで Graphic World に山田道場という連載を持つ店長も、一台目のマシンとしてはまだリスクは残るが大して問題のないところまで来たと評価していた。この人は、各種カードを買うときはチップを見て買えと言っているほど硬派だ。
私がそんなに満足できない理由は、ちゃんと挑戦するつもりで買った 3DCG ソフト Shade 6 spirit を放ったらかしにしているからだろう。
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