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IS12T (Windows Phone 7.5)
マイクロソフトがWindows Mobileを捨てて新たにWindows Phoneとして開発した携帯電話用OSを採用し、auが富士通東芝モバイルコミュニケーションズと共同開発した携帯電話。

確か2011年8月に発売されたものの、さっぱり売れなかったみたいで、投売りされていたものを2012年6月に新規一括1円で購入して契約した。ただし二年縛りで毎月780円と契約手数料三千円ぐらい掛かり、二年以内に解約すると違約金が一万円掛かる。32GBのストレージを搭載したメディアプレイヤーを二万円ぐらいで買ったと思えば最悪元は取れると思ったのと、Windows Phoneに触れてみたいという好奇心が購入の理由だった。

事実上iPhoneとAndroidの一騎打ちになっている携帯電話用OSに、パソコン用OSでは圧倒的なシェアを持つマイクロソフトは一応Windows Mobileを開発して参戦していたのだけど、大して気合を入れていなかったみたいであまり戦果を上げなかった。この市場の重要性を再認識したマイクロソフトは、新たにWindows Phoneを開発して仕切りなおしを図った。

触ってみるとヌルヌルサクサク動く。Androidのもっさり感と比べると明らかにキビキビしている。ユーザインタフェイスのセンスもなかなか悪くない。もしこれをもっと早く投入していればどうなっただろう。しかし出すのが遅すぎた。とまあ市場の評価はこんなところで、自分もまったく同感だと思った。

ブラウザはインターネットエクスプローラそのものが動く。フォントは懐かしいMS UI GOTHICそのままで、いまとなってはちょっとチープに感じるものの、パソコンと同じフォントで表示されることがそのまま信頼感となっている。マシンスペックが低いにも関わらず、遅いながらも確実にページを表示してくれることに少し感動した。

さらになんとOfficeまで搭載されている。WordやExcelがそのまま動くのだ。ほかにPowerPointやOneNoteが動くらしい。OutlookやAccessは知らない。Excelだけちょっと試しに使ってみたところ、まあなんとか使えなくもないかなといったところ。Skydriveというネットストレージに入れておけば、パソコンからも携帯からも同じ文書を編集できる、という使い方を想定しているようだ。Office 2013のプレビュー版だとSkydriveとの親和性が高くなっているので便利だと思う。

ディスプレイのサイズは800×480なので、SDサイズの動画なら問題なく再生できる。自分は1280×720のMP4で動画をエンコードして保管しているので、試しに転送して再生してみたらうまく再生できた。main profileなら問題なく再生できるほか、high profileでも割合問題なく再生できたので驚いた。どうやらhigh@3.1までなら再生できるらしい。ちょっと画面が小さいけれど、DVD画質なら問題なく再現できていることになる。

オーディオプレイヤーとして見た場合、ZuneというPC用転送ソフトが少し扱いにくいのだけど、使えることは使えるのでまあいいやといったところ。AppleのiTunesやSonyのxアプリなんかと比べると一歩劣るような気がするけれど、あまり使い込んでいないのでよくわからない。IS12Tのオーディオ再生の音質はまあまあ。SonyのWalkmanには少し劣るけれど、AppleのiPodには負けていないと思う。ただ、曲と曲の切れ目に意味不明のプチノイズが入るのが不快だった。

なんとこのIS12Tは生活防水になっている。そのまま風呂に持ち込めるというのがすごい。試しに風呂に入りながら動画を見てみたけれど、自分はそんなに長風呂しないのでそれっきりになった。音楽を聴きながら風呂に入る場合、貧弱な内蔵スピーカーで聴くことになるからいまいちだった。インターネットラジオなら悪くないかもしれない。

とまあここまでの説明だと素晴らしい端末だと思うところだけど、実のところ自分はほとんどこいつを使っていない。このサイズの小さい端末は、iPod touchしか使っていないのだった。なぜなら、2ちゃんねる(匿名巨大掲示板)と電子書籍の閲覧を行うためのソフトがいまいちだから。

iPod touchには、2ちゃんねるの専用ブラウザとしてtwinkleなどの優れたフリーソフトがいくつもあり、電子書籍の閲覧にはSideBooksなどのフリーソフトのほか、私はシェアウェアのComicGlassを使っているのだけど、フリーまたは小額の有料ソフトがたくさんある。

それにひきかえ、Windows Phoneはシェアが少ないせいかソフト開発者も少なく、優れたソフトが少ない。2ちゃんねるの専用ブラウザとしてNel(ねる)があるけれど、ちょっと使う分には悪くないものの、常用には色々機能的に物足りない。電子書籍の閲覧ソフトとしてはMil(みる)があるけれど、閲覧自体はほぼ満足ながら書籍の形式に制限が大きかったり転送の方法が不便だったりと面倒でしょうがない。それにハードウェアとして800×480の画面はちょっと狭い。iPod touchの私が持っている第四世代?は960×640なので画面が一回り小さい。

まあだから私はこの端末を、非常用のマシンとして携帯している。携帯電話のバッテリーが切れたときやeMobileが使えないとき。WalkmanやiPodのバッテリーが切れたとき。でもほとんど出番がない。

マイクロソフトはWindows Phoneのメジャーバージョンを上げた。ソフトウェアの上位互換は保たれたらしいが、IS12Tはバージョン7.6どまりなので、バージョン8専用のソフトは動かない。

ふと思ったのだけど、マイクロソフトはせっかくWindowsで.NETとかいうJavaもどきのバイトコードの実行環境を開発してCPUに左右されないプラットフォームを用意したのに、なぜWindows Phoneでもそれを動かせるようにしなかったのだろう。まあ仮に動いたところでボタンの大きさとかあるから使えたものじゃないだろうし、AndroidがJavaのせいでもっさりしているのと同じように遅くなるのだろうけれど、インパクトは大きかったと思う。Windowsで圧倒的なシェアを握っているのをなぜうまく活かせなかったのだろう。まあ携帯電話用OSとしてはもっと特化した設計にしないと使いにくいだろうから、マイクロソフトは思い切って新しく設計したのかもしれない。同社の強みはVisual Studioという優れた開発環境にもあるのだろうし、Windows Phone用のSDKでもそれは使える。

でWindows Phoneのバージョン8はもっと大きな画面もサポートし、確か1280×720ぐらいも可能になったほか、Windows RTというタブレットPC向けのOSとも共同歩調で推進していっているみたいだった。でも、ソフトが増えないとしょうがない。マイクロソフトはいまから巻き返しができるのだろうか?

中央集権のAppleのiOSに対して、GoogleのAndroid OSはなんでもありの無法地帯で勢力を拡大してきた。じゃあマイクロソフトはどうやっているのかというと、なんとApple以上の中央集権なやりかたでソフトを管理しようとしている。どのOSにもソフトを入手するためのマーケット(市場)と呼ばれる仕組みがあってそこで探して選択してソフトを購入したりタダで手に入れたりできるのだけど、ソフトを公開するほうは金を払って登録しなければならない。怪しい挙動をするソフトがないか審査するコストが掛かるからというのがその理由だ。Androidの場合はマーケットを経由しなくてもソフトをインストールできるようになっているので、ユーザ側がリスクを許容すればソフトの供給者も使用者もコストが掛からない。マイクロソフトはアップルよりも高い登録料を必要とする。これではまったく追いつけないと思う。これがなかったら、せっかく手に入れた端末だし、自分もちょっと開発してみようかなという気になったところだったのに。

かつてWintelと言われたマイクロソフトと半導体世界最大手インテルのコンビは、アップルとARM陣営に携帯電話とタブレットPCで足元をすくわれようとしている。そのせいでUltrabookと呼ばれる超薄型PCがあまり売れておらず、将来的な業績不安を抱えるインテルのCEOが引責辞任したらしい。一方のマイクロソフトは、PC用OSのWindowsを中途半端にタブレット向けにしたWindows 8を出して方々で叩かれまくり、責任者が退社している。まだ気の早い話だとは思うけれど、私自身もう小さいノートパソコンは必要ないと感じている。

私はもう自分の携帯情報機器のメインをiOSにしたいと思っていて、テザリングも解禁されたことだし携帯電話もiPhoneにしてしまいたいのだけど、月額料金が七千円ぐらい掛かるのがアホらしくて乗り換えられずにいる。イーモバイルに四千七百円払っているのも自分の使い道からするとちょっと高いので、iijmioの毎月二千円で1GBまでのサービスに乗り換えようかと考えている。

まだまだ携帯電話は高すぎる。NTTドコモは毎年数千億円も利益を出している。アップルと違い単なるインフラ企業なのにこの収益性は高すぎる。
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