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Express 5800 / S70 hf NP8100-9023PS03
NTTグループの通販サイトNTT-X Storeが鼻毛抜きとセットで投げ売りをしたことからネット上では通称「鼻毛鯖」と呼ばれているNECのサーバ機S70シリーズの最新モデル(?)。

2012年11月からNTT-X Storeで投げ売りが始まり、明けて2013年3月にはなんと瞬間的に9,980円になった。あまりの安さに使い道もないのに思わずポチッた。

ミドルタワーではなくスリムタイプになった。薄い「鼻毛鯖」ということで「薄毛鯖」と呼ぶ人が現れ、頭の薄い人々の不興を買った。電源容量が150Wしかなく、ケースが薄くて小さいことから拡張性が低いため、従来のように適当なビデオカードを突っ込んでゲームマシンにすることが出来なくなったなど、「鼻毛鯖」のファンからは失望の声が上がった。そのためかどうか分からないが、当初の19,800円からの二千円引きや四千円引きのクーポンが出た程度ではあまり売れなかったみたいで、年度末にかけてたびたび値下げされ、最終的に3月30日の段階で9,980円になったことでようやく在庫がほとんど捌けたようだった。

スペックはCeleron G540という2コア2.5GHzのCPUにメモリ2GBのHDD 500GBとなっている。従来の「鼻毛鯖」が一世代古いLGA1156のCPUだったのに対して、このモデルはLGA1155になっていて、コードネームIvy Bridgeつまり第三世代Coreプロセッサを載せることが出来る。Coreシリーズで言えば3xxxまでの、Xeonシリーズで言えばE3のv2までのプロセッサが使える。ただしオンボードのVGAがついていないので、チップセットC216を介してCPU内臓のビデオ機能を利用するか、PCI Express接続のビデオカードを別途刺す必要がある。

S70シリーズは準サーバ機とでも言うのか、チップセットこそサーバ用のものを使っているものの、ECCのついていない普通のメモリが使えたり、サウンドデバイスがついていて普通に音が出たりする。光学ドライブもなんと書き込み可能なDVDドライブがついている。Windowsをインストールするとスリープも使えるので、サーバ機としてでなく普段使い用のPCとして使うのも十分可能だと思う。ちなみにWindows 10 Technical Previewも問題なくインストールできた。

ただ難点として、背面についている4cmファンが非常に高回転でうるさい。カタログスペックによると5500-13000rpmぐらいで回るらしい。設定で静かにしようとしても5000回転は出てしまうみたいなので、そのままではどうにもならない。そこでネットの情報を参考にして、SCYTHEのSY124010Lというやつに交換してみたところ、だいぶ気にならなくなった。ただし、そのままだとブートのときに警告が出てしまうので、BIOSの設定をいじって警告をオフにする必要がある(いじりたくなければ4pinのPWMつきのファンをつければいいのだがレアだと思う)。交換したファンはカタログスペック上だと14dBAと相当静かな3500rpmのファンなので、まだ少しうるさいのは他のファンとかHDDのせいだと思う。前面の8cmファンはネットの声によるとわりと静からしいので、小型マシンとしては十分静かになったと思う。

最初から刺さっていたメモリはECCのついていない普通のメモリだったのだけど、一応試しにECCつきのメモリも刺してみたら普通に使えた。ただ、ECCが機能しているかどうかは分からなかった。CeleronだとECCは機能しないとか、いやサーバ機に搭載されているCeleronはECCが使える特殊なモデルだとか、ネットでは色々と噂されていたけれど、調べてみたらインテルの公式サイトの資料にはちゃんとCeleron G540がECCに対応していると書いてあった。ただしチップセットC206と組み合わせたときに限るとあった。このマシンにはその直系の次世代C216が使われているので、たぶん組み合わせ的には使えそうな気がするのだけど、ECCのサポートにはマザーボードのBIOSによる対応も必要なのでなんともいえない。ECCによるエラー補正は普通に使っているとほとんど発生しないらしいので、よほど重要なサーバでない限りいまでは必要のない機能だと言われている。

拡張カードはPCI Expressのx16とx4が一つずつライザーカードでL字に方向転換して横向きに刺せるようになっている。ただ、すぐ近くに電源モジュールがあるので、ヒートシンクがでっぱったファンレスのSapphire Ultimate HD 7750 (AMD Radeon)は刺せなかった。PT3を二枚刺しして録画サーバにするのもいいかもしれない。でも3.5インチベイは二つしかないので、SSDを搭載すると3.5インチHDDは一台しか積めず、あまりたくさんのデータを詰め込むのには向いていない。

言い忘れたけれど電源はTDK-Lambdaの150Wの特殊形状のものを搭載していて、80PLUS GOLDクラスの高効率なものが使われているらしい。でも汎用品じゃないので交換は出来ない。CPUをCore i7に積み替えるぐらいなら出来そうだけど、ビデオカードは仮に物理的になんとか刺さったとしてもミドルレンジクラス以上のものは使えないと思う。

完全に私事になるのだけど、いま住友系の会社の仕事をしているせいか、職場にはNECのスリムタイプのPCばっかり置いてあって、こいつを見ているとちょっと仕事のことを思い出してしまわなくもない。昨日は休日だけどウイルス対策ソフトの一斉更新のためにインフラ系じゃない人間まで駆り出されて一日中延々とアップデート作業をしていた。こういうソフトウェアの更新は今では遠隔でやるものなのだけど、古いソフトを動かすためのXPモードのWindowsに対してはうまくいかないのか全部手でやった。こういうときVMWareのvSphereだったら遠隔で出来たんじゃないかなあと思わずにはいられなかった。

さて今年も3月に入って投げ売りの季節になったのだけど、いまのところはHPと富士通のAMD系のサーバしか安売りされていないみたいだった。使い道が限られているせいかあんまり盛り上がっていないし、自分自身あまり欲しいと思わないのだった。まあそれを言ってしまうと、このS70 hfも自分にとっては使い道がないのだけど…。

いまだったらASUSのオンラインショップやその他で時々売り出されるWindowsの入った安いマシンを二万から三万円ぐらいまでで手に入れるのがいいのかもしれない。あるいは、いまインテルとマイクロソフトがタブレットに力を入れていて、AtomなんかのBay-Trail系のCPUを投げ売りしていたり、低スペックなマシンに限定してWindows 8.1 with Bingなんていう名前でWindowsをタダで配っているので、二万円台でWindowsタブレットが購入できてしまう。こいつはさすがに3Dゲームマシンには出来ないけれど、モニタとOSまでついて格安で手に入ってしまうのでネット用にはこれで十分なんじゃないかと思う。

仕事やめて貯金切りくずしたり生活保護を受けたりしながら格安PCを買ってやりくりする生活にあこがれたりするのだけど、だらだら働いて稼ぐほうがなんだかんだで楽なこともあり、こうして必要のないマシンが無駄に部屋に増えるだけなのだった。
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