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答えのない時代を乗り切るためにロジカルシンキングを身につけよ
SAPIO の世界の教育特集の一つ。理科系出身の大前研一が、学生時代に見聞きし身につけたロジカルシンキングこそ重要なのだと説いた文章。論理的思考力さえあれば、どんな問題でも解決法を考え出せる。

まさに私は我が意を得たりと言いたくなるほど共感した。問題解決のためのパターンを多く覚えることも重要だが、未知の問題を解決するにはパターンなんてないのだから、論理的思考力で答えを導き出すしかない。

作者の学生時代に、なんでも原理から説明しなければ気が済まない知人がいたという。定理をそんなに覚えていなくても、定理から説明して最後の結論まで持っていってしまうそうだ。こういう人たちが本当に頭がよかったのだという。

私もこのタイプの人間だ。しかし私は受験戦争では華々しい成果を上げることはできなかった。というのは、入試問題くらいではパターンをできるだけ多く覚えた方がいいからだ。まず制限時間が厳しい。それに、一工夫された問題は、その一工夫を見抜くまでに、まともに考えていては時間を要するからだ。

本当に優れた人ならば、ロジカルシンキングとパターン思考の両方を使いこなせるだろう。それに、ロジカルシンキングも高速できっちりと組み立てて行うことができることだろう。だから、入試に完全に対応できる。

では、どちらも中途半端な人はどうすればいいか。入試をくぐり抜けなければならないので、どうしてもパターン思考に特化せざるをえない。多少ロジカルシンキングができたところで何の意味もないのだ。

入試に限ったことではない。世の中の大抵の問題は、パターン思考で解くことができる。一握りの問題だけがロジカルシンキングを要求する。だから私は、作者が言う程度にロジカルシンキングが重要だとは思わない。

ロジカルシンキングとは何なのかを説明するための例題が挙げられている。二つの問題が用意されていて、二つとも、うそつきの人たちの中に正直な人が一人だけ混じっているという設定の上に立った設問だ。非論理的な解法として、総当たり、つまりこの人を仮に正直な人だとしておいて矛盾がないかどうか調べていく、という方法が挙げられている。それに対して、論理的な解法として、鍵となる部分を見つけ出して解いていく方法を挙げている。しかし、鍵を見つけるところから論理的に考えていけるのだろうか。こればかりは勘に頼る部分があるのではないかと思う。勘というか、センス。このセンスに頼るところが大きい。

というわけで私は、日本国民の多くにロジカルシンキングを浸透させる必要はまったくないし、浸透させたところでさしたる意味はないと考える。限られた一握りの人たちが持っていればいいのだ。それから、どんなに方法論を確立していても、キラリと光るセンスがなければ、どこをとっかかりにすればいいのかも分からないだろう。

とはいえ記事自体は非常に興味深かった。私に色々考えさせてくれた。
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