FAIRY TALE |
倉木麻衣の三枚目か四枚目ぐらいのアルバム。帰国子女のせいか英語多用で洋楽っぽい単調だが流れるような曲調のポップス。宇多田ヒカルもどきと言われ続けていたが最近はどうか。
私はMP3プレイヤーの曲の入れ替えが面倒なので最近ずっとこのアルバムを聞いている。飽きてきたこともあったのだが、聞き続けているうちにそんなに気にならなくなった。もう音楽自体どうでもいいやと思っているからかもしれないが、飽きのこない音楽だからというのが大きい。
週刊文春で近藤なんたらという音楽評論家が言っていたことがまず頭の中にあった。このアルバムのメインに入っているシングル曲 Feel Fine! は、コマーシャルで一時期頻繁に流れていた曲だ。I can feel fine. 打ち寄せる波のリズムに乗って、で始まるアップテンポの曲なのだが、この曲をその評論家は、宇多田ヒカルもどき路線からのキッパリした離脱、この曲で一皮剥けた、みたいなことを言っていた。なるほどな、と最初は感心した私ではあったが、この曲は実は単なる客寄せウケ狙いの意図的なシングルナンバーで、アルバム自体はほとんど前作と似たような彼女独特の曲で埋まっていた。
私は前作の Perfect Crime が実にいいアルバムだったと思っている。序盤から引き込まれ、中盤から終盤までを、特徴的な曲が埋めていた。なかでも官能的に転調するあの曲には背筋がゾクッとしたものだ。
それと比べると、今回の FAIRY TALE は随分あっさりしたアルバムだなと思った。一曲目二曲目と元気のいい曲が続いたあとは、割と淡白な曲が続き、最後はベタなバラードで終わる。楽器編成も薄めで無機質。うがった見方をすると、予算が減ったのではないかとさえ思った。
だが、聞いていくうちに良くなっていった。光る道をただ進めばいいから、というフレーズの軽快な曲。思わず口笛を吹きたくなるまでになった曲。
大きな理由が二つあると思う。一つは、曲の流れがいい。流れが速いとか、軽快だと言うよりも、実に実に流れている、というか、そうとしか言いようがない。初めは中途半端なテンポだなと思っても、聞いているうちにこれが快感になってくる。
もう一つは何といっても倉木麻衣自身の声。せつないと言うと違うし、けなげだというほど明るくもない。もう麻薬的。一時期は安っぽい天然ファルセットだとさえ思ったが、この声自体にクラクラ来るようになった。この声が好きになると、宇多田ヒカルの声はなんだったんだろうと思う。
まあ難点を言うと、全部英語の歌とかあったりして歌詞がわからん。単純なフレーズなら聞き取れるけど、ちょっと込み入った部分に入るとサッパリ分からなくなる。まあ普段私は歌詞なんてそんなに気にしないのだけど、たまにドキッとするような歌詞からその曲全体が好きになったりするので、なるべくなら全部英語にするのはやめたほうがいいと思う。って芸術家に言うのは筋違いなんだろうけど。
あと、いくら声に魅力があって、こういう歌い方を敢えてしているのであっても、声を楽器として聞くと倉木麻衣の声はそんなにいい楽器じゃないと思う。
聞き込みが必要だったという点もマイナスにしておく。少なくともこのアルバムについては、他人に無差別に勧めるべきではないと思った。その点では前作の Perfect Crime のほうが良かった。
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