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駐日アメリカ大使
戦後赴任した歴代13人の駐日アメリカ大使を一人ずつ、その経歴から仕事までを読み物として新書にまとめたもの。

面白い。なにが面白いかって、まず人物を中心とした外交史が面白い。外交史というと、誰と誰がどこで会ってどういう交渉をしたとかいう話になるのだが、外交官個人がどういう人なのかを事前に紹介しているので人情味がある。戦後の外交官というと戦争に巻き込まれた人々で、なおかつなんらかの形で日本と関わりがある。

大使が選ばれる過程も面白い。当時の政治状況から選ばれるわけだが、大統領の交代だとか、政策の変更、一区切りついたとき、年齢など。日本大使となることをずっと望んでいた人もいれば、引退間近にいきなり連絡が来てやってくれと言われた人、財界や学界から引き抜かれた人など。

駐日アメリカ大使というと外圧の象徴という印象が強かったが、実際には日本の立場に立って行動する人もいたそうだ。

人事を見てみると、アメリカにとっての日本がどういう国なのかが垣間見えてくる。おおざっぱに言うと、初期は文化大使が、貿易摩擦のときは強硬派が、そして最近は政界の大物といった傾向だ。

読み物として面白い。日本の近代外交史に詳しくない私には十分楽しめた。詳しい人からすれば多少退屈かもしれないが、それでも駐日アメリカ大使周辺の舞台裏は十分興味深いと思う。

作者の安保観は、私の考え方とそう大差ないので、私は自然に読めた。ただ、いわゆる自由主義陣営から見た視点となっている。

キッシンジャーが「属国・日本」と書いているようだが、これは明らかにアメリカの総意ではなく、多数派でないどころか、少数派ですらない希少な考え方だろう。戦略家はともかく、普通の政治家や外交官たちは日本をパートナーだと考えている。

ワシントンにいる駐米日本大使への批判はなかった。客観的事実として日本は職業外交官を送り続けているといった点だけ述べている。古森義久のような外務省批判を簡潔にでもやってくれていることを期待したが、その点作者は普通に歴史家で踏みとどまった。

読みやすいので、読んでおいていい本だと思う。

今度は人物よりも交渉内容や政治背景に重点を置いた本を読んでみたいと思った。読んでて眠くなったりするかもしれないけど。
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