X5 2nd generation |
中国の音響機器メーカーFiioが出しているミドルレンジのデジタルオーディオプレイヤー。AppleのiPod Classicを灰色にしたような外見が特徴で、大きなダイヤルをタッチでクルクルまわして再生する曲を選択したりメニューを操作したりできる。
JH AudioのAngieという高級イヤホンを買ったので、デジタルオーディオプレイヤーもちゃんとしたのを買おうと思ったのだけど、イヤホンと違って落とすと壊れる確率が高いので(イヤホンも壊れるときは壊れるけど)、ビックカメラで二万六千円台で投げ売られていたこの機種を買った。本来の売値は多分四万円台半ばぐらい。3rdが出たばっかりで在庫処分されていた。
正直Fiioというメーカーは安かろう悪かろうというイメージしか持っていなかったのだけど、ネットで調べてみたらそれは自分の思い込みで、もうモノづくりは中国のほうが日本よりもがんばっているみたいだった。そんな中国のメーカーの中で、DX200というフラッグシップ機が異様に高音質と話題のiBASSOや、小型なのにやたら高機能なShanlingなんかをおさえて、たぶん一番日本でのシェアが高いのがFiioだと思う。
ラインナップはX1, X3, X5, X7とあって、その中でX5はミドルレンジにあたる。他は聴いたことないのでよく分からないけれど、X1は普通のスマホに毛が生えた程度、X3は高音質なスマホには一応勝てるぐらいで、X5でようやくスマホとは違った音が出る。
X5は2ndまでは独自ソフトを使っていたのだけど、3rdからはAndroid機になっている。3rdはフジヤエービックという店のイベントで試聴したことがあるのだけど、これといって特徴のない素直な音だったのに対して、この2ndは中域に独特の味付けがあって耳に心地よい。3rdはあくまで短時間試聴しただけなのであまり強くは言えないのだけど(しかもウリであるバランス接続ではなくアンバランス接続のほうを)、正直この2ndのほうが音がいいと思った。どんな味付けなのか口で説明するのは難しいのだけど、コクがあるというか(笑)、エレキベースが胴鳴りしているようなというか、少し不思議な鳴り方をする。原音と違うといえば違うのだけど、それほどまでには違わない。まあこれを感じるには一万円以上するイヤホンで聴かないと分からないと思う。
操作性については、やはり最近のスマホやiPodと比べるとモッサリしているしモニタが小さくて画面が見づらいけれど、ジャケット写真は割とうまいこと表示してくれるし、曲名やアルバム名が分かりにくいといったこともなくて普通に使える。独自ソフトなので曲の再生に特化しており、最近流行りのAndroidベース機と比べてバッテリーの持ちがいい。
ただ、本機の操作方法には大きな欠陥がある。タッチパネルではないので物理ボタンで操作するのだけど、ボリューム以外のボタンは画面が点灯しているときしか使えない。再生や曲送りをするにはいったん電源ボタンを押して画面を点灯させてからでないといけない。また、再生中に一時停止したいときは、曲の再生画面でないとならない。というのも本機には「再生/一時停止」にあたるボタンがなく、再生画面を表示中に「決定」ボタンを押さないと一時停止にならないから。なので、現在の曲を再生中に次の曲を物色していて急に曲を一時停止させたくなったら、「戻る」ボタンを何度か押して再生画面を表示させてから「決定」ボタンを押さなければならない。そうすると、曲の物色もやり直しになる。これは地味に不便すぎると思う。
あと、一万曲以上入れると遅延がひどくてストレスを感じる。ボタンを押してからの反応が1コンマ何秒か遅れる。microSDカードのスロットが二つあり、128GBのカードまで対応しているので最大256GBにできる。内蔵メモリはないので別途カードが必要。自分は余っていた64GB+32GBのカードを使ったのだけど、mp3の192kbpsぐらいだとこれで一万曲いってしまう。Flacなどでハイレゾの音源を想定しているのだろう。
いくつか問題はあるけれど、値段の割に音がよくてこの機種ならではの魅力的な音がするし、シンプルに使えばそんなに不満はないので、スマホよりもいい音で聴きたい人にはいいと思う。ただ、いまはもう3rdに入れ替わってしまったので、新品を手ごろな値段で手に入れるのは難しそう。3rdは音に独特の色付けがない代わりに操作性など全般的な機能が大幅に向上しているので、別の製品と考えたほうがいいと思う。
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