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ガヴリールドロップアウト 5巻まで
天界に住む天使たちは、天使学校を卒業すると下界で人間たちと同じ学校に通って修行することになっていた。天使の模範生だったガヴリールもまた下界に降りたのだが、人間世界の娯楽に毒されてすっかり自堕落になってしまった。一方で天界だけでなく地獄もまた同様に下界に若い悪魔を修行に送っていた。悪魔に似合わず世話好きなヴィーネは、自堕落な天使ガヴリールに世話を焼くのだった。キャラ萌えマンガ。

いつだったかアニメ化されたのを見て、自堕落な天使と世話焼きな悪魔がかわいかったので楽しみにしていたのだけど、いじられ役の悪魔サターニャがいつもひどい目にあうことで安易に笑いを取ろうとするのがワンパターンでつまらないなあと思ってだんだん見るのが面倒になってきた。それでもやっぱりキャラがかわいいので原作に手を出してみた。

主人公(?)の天使「ガヴリール」は多分ガブリエルの英語読みだと思う。彼女は金髪で頭身の小さいかわいいキャラだけど、「世界の終わりを告げるラッパ」などの強力なアイテムや能力を持っていて、ちょっとしたことで使おうとして止められる。天界にいたときは優等生だったけれど、下界で特にネットゲームにハマってしまい、ずっと家に引きこもってゲームの中の世界を救うのだと言い訳をしている。

そんなガヴリールのことを心配して学校に連れてこようとしたりするのが悪魔ヴィーネで、なぜか天使と悪魔が当たり前のように人間たちの学校にまぎれていて、互いにそんなに敵対しているわけでもなく、かといって馴れ合ったりすることもなく(?)一緒に生活している。この不思議な世界観がこの作品の一番の特徴だと思う。

ヴィーネは悪魔なのに人の世話を自然と焼いてしまうというアイデンティティクライシス(!)があるのだけど、そもそもなぜ彼女は悪魔なのか、この世界の悪魔ってなんなんだろう、という疑問を抱いてしまう。弁護士なのに犯人をかばいたくなくなるとか、検事なのに被告に同情してしまうとか、世の中には面白い取り合わせのギャップがあるのだけど、それがこの作品ではただ単に設定上「悪魔だから」「天使だから」というのが読んでいてちょっと納得できなかった。設定だけじゃなくて、悪魔だったら身勝手な人間を破滅させたいという信念を持ちつつも非情になりきれないだとか、天使なら人を救いたいけれど疑問を持ってしまうだとか、ちゃんとした理由で悩んでくれないとキャラに愛着を持ちにくい。

一番オチに使われるのが悪魔サターニャで、こいつは一言で言えばアホの子。自らのことを将来大悪魔になる大物だと思っており、なにかとガヴリールと張り合おうとするが無視される。勘違いぶりが甚だしく、勝手に自滅する。かわいいんだけど扱いが悪すぎて不憫になる。もうちょっと彼女にもいい目を見させてあげてもいいんじゃないかと思ってしまう。そのうえ天使ラフィエルという性格の悪い完全ないじめキャラが出てくるので、あんまり笑えなくなってしまった。

下界にいる天使や悪魔が特に目的を持っていないのは日常系だから別にいいんだろうか。緩くてもいいから何か対立の構図があれば面白かったんじゃないかと思う。

良くも悪くもゆるい作品なので、ちょっと変わったかわいい女の子たちの日常を気軽に楽しみたい人にはいいのかもしれない。
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