ENDEAR DE-TW01 |
ニュージーランド生まれの音響機器メーカーDearearが開発したフルワイヤレスイヤホン。文字通りワイヤー(コード)がまったくなく、両耳にはめ込むように装着し、bluetoothによる無線接続で音楽を聴くことができる。
中野にあるカメラとAV機器の専門店フジヤエービックの新年初売りWestone十万円福袋を買ったら、Westone W60というイヤホンのほかに色々と小物がついてきた中にこれがあった。自分はすでにBluetoothのワイヤレスヘッドホンは二つ持っていたけれど、イヤホンのほうは持っていなかったのでちょうどよかった。ただ、フルワイヤレスイヤホンはどのメーカーのもあまり音がよくないという評判をネットでよく見たので、進んで買おうとまでは思わなかったのも事実だった。でも、どのくらいの音が出るのか気にはなっていたので、これもまあ福袋のいいところだろうと思って試しに使ってみた。
結論から言うと、まったく使う気になれないぐらい音が悪かった。
調べてみたら定価が二万円ぐらいで、いま色んなところで一万円前後で投げ売りされているのだけど、音質で言えばせいぜい二千円ぐらいだと思う。
プロトコルがSBCしか使えない。SBC自体は必ずしも音の悪いプロトコルではなく、帯域は十分なのでちゃんと作り込めばそれなりの音質で聴けるらしいのだけど、フルワイヤレスイヤホンの場合は再生機器とイヤホンの間だけでなく左右の通信もしているみたいなので簡単ではないみたいだった。
でも音質以外の点では色々と考えられていて悪くはなかった。まず装着性なのだけど、メガネのツルのように耳に引っかけるものではなく、耳の内側のくぼみにうまいことゴムのフィンをはさんで固定できるようになっている。個人差はあると思うけれど、自分の場合だいぶ激しく動いてもまったくズレないくらいしっかり固定できた。JH Audioの重いイヤホンにもこの仕組みを採用してほしいと思った。
再生機器とのペアリングだけでなく、左右のイヤホン同士のペアリングも必要になる。使っていて一度左右の同期が怪しくなって片側からしか音が出ないことがあったけれど、一回か二回ぐらいだったし電源を入れなおせばなおった。原因はよく分からない。ちなみに電源を入れるときは両方の本体についているボタンを同時に長押しし、電源を切るときは片方のボタンを長押しするようになっている。多分電源の切れている状態だとそれぞれの本体の電源を入れなければならないから同時押しする必要がある一方で、電源を切るときは片方のボタン操作によりもう片方に電源オフの信号を送るからだと思う。
本体が小さいので、バッテリーも公称で二時間半ぐらいしか持たないらしい。自分はバッテリーが切れる前に音質に耐えられず使用を止めていたので、実際に使ってみてどのくらいバッテリーが持つのか分からない。さすがにバッテリーの持ちが悪すぎるので、母艦のようなものが付属していて、セットして充電できるようになっている。専用のモバイルバッテリーみたいなものか。
ワイヤレスヘッドホンの場合、本体にスマホと比べて比較的強力なアンプやDACを搭載することができるので、無線というハンデを補って余りある音質上のメリットがあった。しかしこのフルワイヤレスイヤホンにはそれがまったくない。なのになぜ人はフルワイヤレスを求めるのだろう。コードがうっとうしいという人でも、専用の音楽プレイヤーを胸ポケットなりに入れておけばいいだけのことなのだから、わざわざ無線にする必要なんてないんじゃないだろうか。それでもフルワイヤレスイヤホンはいまポータブルオーディオの中でも売れているらしい。実際自分も今回使ってみたのだけど、理由がよくわからなかった。
結局のところ、人はあまり音質を求めていないということなのだろうか。
寝っ転がりながら音楽を聴くとき、ワイヤレスヘッドホンの場合は頭を動かせないし、ワイヤレスケーブルのイヤホンの場合はコードが少し気になってしまうのだけど、フルワイヤレスだと耳が少し出っ張るぐらいなのでそんなに気にならなかった。ただ、さすがに耳を枕にうずめて横向きで寝っ転がるのは無理だった。
機能的にはほとんど問題ないので、音についてはたとえばiPhone付属のイヤホンとほとんど変わらなくてもいいやという人であれば、期待どおりまったくコードのない身軽なリスニングが出来るのでいいとは思う。ただ、余計なおせっかいなのかもしれないけれど、やっぱりいい音で音楽を聴いて欲しい。
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