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Vintage Series 4 (VS-4)
アメリカのフロリダでミュージシャン向けのカスタムイヤホン(ライブで使う耳型とって作るオーダーメイドのやつ)を作っていたCTM (Clear Tune Monitors)というメーカーが作ったユニバーサル(普通の)イヤホン。音導管つまりイヤホン内部の音の通り道にソフトシリコンという柔らかい素材を使うことで、暖かみのある音を出すのが特徴らしい。

こいつは家電量販店で七万近くするイヤホンなのだけど、いくつかの場所で投げ売りされだしたのでしばらくアマゾンで値動きを見ていたら、ついに一万七千円まで下がったのでちょっと面白そうだからと試聴もせずに買ってみた。後悔した。

まず良いところから言うと、素朴な曲を結構リッチな音で鳴らしてくれる。片側で4つのバランスドアーマチュアドライバが入っていて、そのうちの中音域に2つ使っているらしい。よく分からないけれどこの2つの中域用ドライバが豊かな音を出しているんじゃないかと思う。

デザインについて言えば、良く言えば60年代風のレトロな、悪く言えばクソダサい形をしている。自分はアリだと思う。色によって値段がちょっと違ったけれど、値段が近かった黒でなくわざわざピンクを選んだ。まあ全部ピンクじゃなくて外側のプレートはメーカーのロゴ入りの黒なのでそんなにきつい感じはしない。ボディが意外と小さいので装着しやすいけれど、耳にフィットするとは言いがたい。

良いところといえばこのぐらいで、あとは基本的にダメダメなイヤホンだと思う。ちょっと音数の多いいまどきの曲を聴くとまるでおもちゃみたいな音を出す。一万円以上するイヤホンがこんな音を出しちゃダメだろっていう。全然フラットじゃない。ネットワークがいい加減でクロスオーバーつまり各ドライバ間のつながりが悪いんだと思う。

付属ケーブルが悪いんじゃないかと思って換えてみたけどそれほど変化しなかった。Beat AudioのSupernovaも試してみたところ、色物に色物を重ねても相乗効果は起きず、違う感じの音になっただけだった。色付けのあるケーブルはフラットなイヤホンに合わさないとダメなんだと思う。結局付属ケーブルが一番良かった。付属ケーブルに戻してみたら、このイヤホンならではの味みたいなものが前よりも感じられた。味っていうか単に一つ一つのドライバの音の響きなんだと思う。

スタンダードなナンバー(yesterday once moreみたいなの)とか、せいぜい少人数のバンド音楽ぐらいまでなら割と悪くない感じで鳴らしてくれるので、そういう音楽ばかり聴く人とか、そういう音楽のためだけに買ってもいいという人には需要があるのかもしれない。でも、これはわざわざ買うようなイヤホンではないと思う。羽生結弦が言うように、イヤホンの音を聴く、という広い気持ちで聴けばそれなりに楽しみかたはあると思うけれど。
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