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笑点 大喜利 歌丸~昇太が司会の時期
落語家たちがお題にそって答えを出しあい、面白かったら座布団をもらえその枚数を競うお笑い番組。長寿番組としてギネス記録を持っているらしい。

最近はコロナの影響で色んな番組が出演者同士の感染拡大を防ぐため遠隔地で収録するようになり、司会の春風亭昇太の前に各出演者の自宅をつなぐモニターがずらっと並んだ様子がネットニュースで紹介され話題となった。自分はなんだかんだで夕食時に見ていたので、最近の笑点大喜利についてずっと思っていたことを書くことにする。

自分にとって笑点といえば先代円楽という絶対権力者(?)が剛腕で回している印象が強く、その下で歌丸と楽太郎(今の円楽)が仲良くケンカしたり、こん平がハイテンションでチャラーンとか言っているイメージがずっと続いていた。先代円楽は正直自分の気に入った答えにしか座布団をあげていないなあと子供ながらに思っていた。ちょっと知的なネタが好きみたいで、解説をちょい足ししてドヤる様子が印象に残っている。でもドリフターズのいかりや長介のように強力なリーダーシップを発揮しており、番組は非常によくまとまっていたと思う。

その後、年功序列で(?)歌丸が司会となり、相変わらず楽太郎とケンカしていたのだけど、どうも歌丸が本気で腹を立てているようで見ていてヒヤヒヤするようになった。司会者として権力(?)をもった歌丸はふてくされて強引に座布団をはぎ取ったり頑なに座布団をやらなかったりした。それを他の出演者はしょうがないなあと笑って受け入れていたが、楽太郎あらため当代円楽は多少控えながらも歌丸をいじるのをやめなかった。自分の目からするとあきらかに歌丸のほうが子供っぽく思えた。歌丸が丸くなる気配はついになく、そのまま引退することになった。そのかくしゃくさが周りに愛されたのか、終身名誉司会という肩書で番組に出演し続けた。

次の司会は年功序列ではなく次の世代の春風亭昇太になった。木久扇や好楽や小遊三はあんまり司会をやるタイプじゃなかったし、順当に行けば当代円楽が継いでいたところだったと思う。たぶん制作側は歌丸をいじりつづけて番組を危うくした円楽を信頼できなかったんだと思う(憶測)。それにひきかえ春風亭昇太は落語家としての人気と実力に申し分ない上に、平均年齢の高くなった出演者の若返りを図ることができ、先輩への敬意もあった。司会になれなかった円楽はふてくされ、それを芸風にしておどけてみせたが、時に笑えなくなるほどの執着を見せてしらけさせた。一方で昇太は昇太で独身ネタを多用し自らいじられにいくのがお寒い感じはしたけれど、司会として非常に安定した回しを見せ、安心して見ていられた。

円楽は新たに入ってきた若手の三平へのパワハラも見ていられなかった。なにかとおまえは未熟だとあげつらい、三平はそれを受け入れつつなんとか笑いにつなげようと努力していたが、なかなかうまくいかず見ていてつらかった。こん平の代理から正式メンバーとなった弟子のたい平はうまいこと師匠のハイテンションな芸風を引き継いで昔からの視聴者にすぐ受け入れられており、三平もまた海老名家の闇と恐妻家という自虐ネタを駆使しつつ育ちの良い真面目さも感じられて十分面白かったと思う。

なんで円楽がこんなことをするのか疑問だったけれど、円楽もまた先代円楽からパワハラを受けていた過去の映像を見て衝撃を受けた。先代円楽は楽太郎(当代円楽)だけできていないとみんなの前で平気で言っていた。まあ師匠なわけだし裏で言う分には指導としてそういうのもあるだろうけれど、全国放送で公然と言うのがとても怖かった。

まったく別の話だけど、逆恨みにあって放火された京都アニメーションがかつておおっぴらに「監督としてその域に達していない」と発表して自社の監督を解任した事件(?)があったのだけど、正直自分はこの話と今回の事件とを結びつけて「この会社には人を無神経に扱う文化があるのかもしれない」と思った。

といっても一流の芸を引き継いでいくにはそういった厳しい精神が必要なんだろうなとも思う。一流のスポーツ校に体罰が欠かせないことからも言える。もちろん体罰は絶対ダメだし、体罰は一番良い方法なのではなくて単に手軽なだけなのだけど。

ちなみに芸人の松本人志はこういった先輩からのパワハラをお笑いで表現していてとても面白かった。理不尽なことを言って後輩をいじめる先輩のことをあくまでおかしな存在として扱い、視聴者を笑わせるという方向性は見事だと思った。

話を戻すと、最近は円楽も丸くなり、自分は性格が黒くて友達が少ないという自虐ネタや、たい平との友達ごっこで笑いを取るようになった。いま自分は木久扇のボケ具合と商魂たくましさに一番危うさを感じているけれど、そこまで不安を感じるほどではないと思う。

司会が昇太に若返ったとき、座布団運びの「山田くん」がどうなるのかも気になった。昇太は最初、引き継いで「山田くん」と言っていたけれど、最近はさん付けにしている。年下の上司と部下みたいで見ているこっちもやきもきする。最初の紹介で毎回ヘンなボケを入れているのは一体誰のどんな意図なのだろうと気になる。

そんなこんなで危うい面を見せながらも、社会の縮図だということで大勢の視聴者から見守られ、いまなお好評をもって続いているお化け番組がこの笑点なのだった。小遊三の軽犯罪ネタやハンサムネタやエロネタ、好楽のちゃっかりした答え、結婚した昇太の新婚ネタと、安定して多くの人を楽しませている。自分にとっては欠かさず見続けていたい番組ではないのだけど、続いていることがどこか安心できる不思議な存在なのだった。
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