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PX-Q1UD
USB接続の地上デジタルテレビチューナー。一度に4チャンネル分の視聴や録画が出来る。ただし、メーカーが提供しているのは機器とドライバだけであり、説明書もなく必要なソフトウェアは別途用意しなければならないマニア向けの製品。

自分はメインマシンで地上デジタルテレビ放送を少なくとも同時に4チャンネル以上録画できるようにしておきたいので、地上波2チャンネル録画できるEARTHSOFTのPT3を二枚さしている。そしてサブマシンにはやはり同様にPT2を二枚さしていて同じ番組を違うマシンで二重に録画していたのだけど、最近は面倒だし他にPanasonic DMR-BRX7020という録画機で地上波8チャンネルを24時間一週間分録っていることもあり予備機ということにしている。さらに予備としてPT3とPT2を一枚ずつ確保している。

最近メインマシンがたまにスリープ時にブルースクリーンでフリーズするようになったので、もう5年以上使っているしそろそろ新しく組もうかどうか検討を始めた。いまのメインマシンは出来るだけそのままにしておきたいので予備のPT3とPT2だけでなんとかしたいのだけど、PCI-Express用のPT3はいいとしてPCIスロット用のPT2はもうほとんどのマザーボードが対応していない。PT3はとっくに生産終了しており中古品がプレミア価格で流通しているだけになってしまっている。

そこで今回PLEX製のチューナーにも目を向けてみたもののEARTHSOFT製のものより安定性に劣ると言われておりいままで敬遠していた。ふと見てみたらUSB接続のこいつが一万三千円ぐらいに値下がりしていたので試しに買ってみた。いまのところ結構安定している。ちなみにいま見たらamazonで11,955円だった。

ネットで調べれば分かるけれど、こいつはPX-S1UDというシングルチューナーの製品を内部で4つつなげたのと同じ構造をしている。分配器も内蔵されているのでアンテナ入力は一つだけで済み、おそらくブースターで増幅もされているのではないかとのことだった。あとさすがに電源が足りなくなる恐れがあるのでACアダプタもついてくる。

ネットではPX-S1UDの情報はよく見かけるのだけど、このPX-Q1UDのほうは少なかった。どうも発売当初は二万円以上したみたいで、それならPX-S1UDを4台買った方が安いし1台故障しても壊れたやつだけ買いなおせばいいから無駄だという声が多かった。いまはPX-S1UDのほうが割高だし別途分配器やケーブルや万が一の時には増幅器も買う必要があるので微妙なところだった。

せっかくUSB接続なんだから仮想ホストESXi上の仮想マシンで録画できたら最高じゃんと思ってやってみたけどうまくいかなかった。最初、安定しているほうがいいと思い、よりによってWindows Server 2012 R2で始めたのだけどサーバOSは色々と環境が違うせいか色々やってもダメだった。ドライバは入ったしソフトも動いたけれど受信が出来なかった。じゃあと今度はESXi上のWindows 7でもやってみたけどこっちもダメだった。仮想マシンがダメなのかと思って今度はWindows 8のノートPCでやってみたらうまくいき、BonDriver_Siano.dllでTVTestから見ることができた。ネットで調べた限りだと、仮想マシン上ではWindowsはなぜか不可能で、Linuxでは可能とのことだった。

そこでWebサーバ等も立てているCentOS 7でやってみたのだけど、デバイスは認識されたもののドライバがなかった。底辺迷走さんというブログによるとどうもカーネルのバージョンが3.15以降だとドライバが取り込まれているらしかったのだけどCentOS 7の最新は3.10だった(惜しい!)。なお、PT3のドライバも3.18以降で取り込まれているらしい。

しょうがないのでDebian 9の環境をESXi上に追加で作り、BonDriverProxyEx_Linuxとその中のBonDriver_DVBを使ってPX-S1UDのDVBドライバにつなげ、それを同じくESXi上のWindows 7マシン上からBonDriver_Proxy.dllを使うことによりEDCBによる録画環境を作ることに成功した。結果的に仮想マシンが2つも増えてしまった。

環境を作るのが結構大変だった。つくみ島だよりさんが用意してくださっているバイナリと分かりやすい記事で実機なら割とすんなり行ったのだけど、余計なことをしたせいで週末はこれで終わってしまった。

こんな面倒なことをしなくてもMirakurunというフリーのパッケージを使えば手軽に環境を作れるらしい。なにせDockerなのでOSやドライバからアプリまで含めたすべての環境を全部まるっと作ってくれる。私が使っている仮想ホストESXiは仮想マシンを安定してホスティングするための最低限の機能しか持っていないので、Dockerのような環境そのものをスクリプトで作ってしまえるものは使えない。VMwareもそのあたりはちゃんと考えているようでPhoton OSなるものを作ってDockerデーモンを効率的に動かせるらしいけれど、vSphereで使えるとしか見かけなかったので無料かどうかわからなかったし、結局3階建てになってしまい感覚的に無駄な気がしたのでそれ以上調べなかった。

USB接続なのでRaspberry Piという小型基盤で録画サーバを作っている人をちらほら見かけた。PT3とかと違って拡張スロットが要らないので組み込み系のLinuxでも動かせる。ただ、armなので自分で色々とビルドする必要がありそう。

話を戻すと、いまは新旧環境で並行運用しているところなのだけど、dropは基本的にすべて0で安定している。ただし、4番組同時のときはそのうち2番組の映像と音声で3 dropしたほか、一週間の中で二時間近い映画と30分のバラエティでそれぞれ10 drop近くしていた。そのあいだ、現行のメインマシン上のPT3 + TVTest 0.7.23 + tvrock環境でも何回か1 dropしたほか26 dropした番組も一つあった。まあメインマシンはWindows 10にしてから録画開始時に一瞬すごく重くなるのでどこかおかしいのかもしれない。

というわけでもうPT3にもPT2にもPCIスロットにもこだわらなくていい環境を作れることが確認できた。次にメインマシンを組むときは録画環境を別マシンにできるし、というかもう自作PCを組む必要もなくなった。全部自家製クラウドにして実機一台とノートPCとかにもできる。ちょっと晴れやかな気分になった。

といってもファイルサーバは実機が一番らしいので一台でなんでもやるのは厳しいのかもしれない。NASの専用機を買うのが正解なんだろうか。ファイルサーバ兼テレビサーバで分けるとか。ESXi自身がSamba使えればいいのかもしれないけれど、複雑なことやってホストが不安定になると本末転倒だ。

ちなみに以前NECの安いサーバに立てたESXi上のWindows 7でPT3もつなげてみたことがあってうまくいったのだけどPT2のほうは失敗した。そもそも認識が出来なかった。PCIカードのパススルーは色々あって相性とか厳しいのかも。

まだ一週間ちょっとしか使っていないので耐久性についてはこれからなのだけど、Linuxのカーネルにドライバが取り込まれるぐらいだからドライバはある程度信頼できるし、なんだかんだでPLEXは結構製品を出しているのでハードもそれなりに信頼できるんじゃないかと思う(期待と憶測)。こいつに使われているチューナーのチップもPLEXに限らず広く使われているようだし。

実家にサーバを置いてNHKの受信料を回避しているという人がいて笑った。NHKは受信料を少ししか値下げするつもりがないみたいだしスクランブル化も拒否しているので、若者のテレビ離れも進んでいることだし民放も自社の番組をネットで見れるサービスを行っていることから今後テレビを買って受信料を払う人は減り続けると思う。電波を使わないようになればNHKの投資による研究開発が根拠となっている受信料は関係なくなるし、有線で済むようなテレビにわざわざ電波を使う必要もなくなる。スカイツリーは無駄だった(おい)。

まあ民放も民放で著作権管理ガチガチに縛っているせいで録画した番組は扱いづらいしネットでもYouTubeなんかと違って視聴期間が制限されていたりするので自分はこのようなチューナー機器を使ってTS抜きで録画して好きに保存したり視聴したりし続けるつもりだけど、やっぱり映像文化というのはみんなで好きな時に見て話題に出来る状態が理想だと思うので、著作権者を守りつつ手軽に視聴できるように早くしてもらいたい。いまのままだとNHKだけ不当に守られてお金が潤沢にある状態なのでおかしい。
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