転生したらスライムだった件 コミカライズ版 17巻まで |
37歳の独身男性サラリーマン三上悟は、路上で通り魔から後輩を守ろうとして刺され、殺されてしまう。しかしなぜか意識は残り、気が付くとスライムとなって別の世界へ転生していた。出歩いているうちにゴブリンなどの魔物たちと出会い、彼らの王として祭り上げられていく。ファンタジー小説。
たぶん「小説家になろう」系の中で総合的にもっともメジャーな作品で、同サイトで累計総合1位のビュー数を誇っており、これまでに何度かアニメ化されている。自分はアニメの1クール目だけ見たのだけど、いまいちに思えて途中で見るのをやめた。人気あるみたいだしもうちょっとじっくり見てみようと思ったのだけど、原作小説を読むほど内容があるとは思えなかったのでこのコミカライズ版を読んでみることにした。まあまあ面白かった。
この作品の面白いところは、スクウェア・エニックスのドラゴンクエストシリーズの影響により和製ロールプレイングゲームの中でもっとも弱いモンスターとされるスライムに転生した主人公が、スライムとは思えない強力な力を身につけて魔物たちを統べるというギャップと、王として魔物を統治するうちに様々な問題が起きてそれに対処しているうちに魔物の国がどんどん発展していくことだろうか。
転生直後に主人公は洞窟の中で封印された暴風竜ヴェルドラと出会い、友達となった証として互いに名前を付け合う。リムル=テンペストという名前になった彼は、暴風竜ヴェルドラ=テンペストを封印ごと自身へ取り込んで旅に出る。
ほどなくしてファンタジー世界でおなじみの最弱の魔物ゴブリンたちと森で出会い、なんだかんだで王に祭り上げられた彼は、その後も狼やオーガなんかも傘下に治め、森の一大勢力となっていく。近くのドワーフの王国で技術者をスカウトするなどして寄合を発展させていくが、そんな彼らのテリトリーにオークの大軍団が迫ってくる。
この世界には魔王と呼ばれる強力な存在が何人もいて、オークの大軍団もそんな魔王たちがけしかけて動員されたものだった。魔王たちは互いに手を組んだり対立したりして覇を争っていた。リムルたちとは敵対する魔王もいれば味方となる魔王もいる。フェアリーみたいな小さい妖精まで魔王だったりするのでよく分からない。
人間の国々もあって交易したりもするんだけど敵対する国もある。西方教会は魔物を認めていないので話し合いの余地なく襲ってくる。
スライムといいつつ取り込んだ魔物の姿と能力をまねることが出来るようになり、そのうちある事情により人間も取り込むので人間の姿になることも出来るようになるのでちょっと興が覚める。といっても正式な場面ではなるべくスライムでいるようにしていて、ぷるんぷるんの姿を人前に晒している。「僕は悪いスライムじゃないよ」というゲームの有名なセリフをマネしてみせるのがウケた。といっても同じ転生者にしか分からないんだけど。
自分がアニメ版を見るのをやめた直接的な理由は、ゴブタというゴブリン(ホブゴブリンに進化したんだっけ)のいじられキャラっぷりにイラッときたからで、作中自分が大して思い入れを抱いていないキャラが多く取り上げられるようになると急に作品との距離を感じてしまうというか、今後この作品はこんなしょうもないノリが続くのかと思うと急に期待がしぼんでしまったからだった。
他にも魔物の中で外見が最初から人間に近いオーガというか鬼族の面々が、登場時は自分たちの理屈でえらそうに戦いを挑んできたのに急にメインを張り始めるのも気に喰わなかったし、最初の暴風竜ヴェルドラからしていきなり友達になるみたいなノリとか、この作者の描くキャラの数々が全然好きになれなかった。たぶん子供向けなんだと思う。
他国と仲良くしようとしたりするけれど、あんまり政治的な感じはしない。あくまで主人公が前面に出て、話し合ったり力でねじ伏せたりする。そりゃ臣下のほとんどが魔物だから話し合いは難しいか。アニメとコミカライズ版しか見てないせいか、細かい技術とか料理とかの描写があまり見られなかった。メシマズネタもキツい。
少年誌の王道的なバトルものに近いんだと思う。そういう視点で見るとよく出来ていると思う。一見最弱のスライムがすごく強くて敵をどんどん倒していくし、一度倒した敵が味方になるし、修行はないけれど次々と新しい能力を獲得して強くなっていく。人助けをしたりもするし、そんな中でちょっとしたシリアスな話も出てくる。強大な敵が次から次へと出てくる一方で、強力な味方が現れたり仲間も育ったりする。
まあだから自分にとってはこれ以上見なくていい作品だと思ったのでここまでにすることにしたけれど、こういう作品が好きな人ならいまもっとも面白い作品の一つだろうから見てみるといいと思う。
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