評 review の RSS
評 review の静的版 とその ziptar.gz
表 top
評 reviews
称 about us

イメージの作成

あなたの名前 
あなたのメール 
 未登録またはログインしないままで評を書くと、その評は登録者によって書き換えられたり、準管理者によって削除されたりする可能性があります。 
Neo ATLAS 1492 Switch版
西暦1492年、地中海貿易をヴェネツィア商人に抑えられていたポルトガルは、アフリカの南端を回ってアジアと交易できないか考えていた。プレイヤーは貿易商となり、ポルトガル王の求めに応じて新たな航路の開拓に乗り出す。「A列車で行こう」シリーズで知られるアートディンクによる大航海時代を扱った探検と交易のシミュレーションゲーム。

学生の頃、シリーズで最初に出たThe ATLASを友人から借りて遊んですごく面白かったのでそれ以来のファンなのだけど、その後コンシューマー機向けに遊びやすくしたNeo ATLASシリーズの3を遊んでから長いことご無沙汰していた。新作が出たと聞いて調べてみたらリメイクだというし、バグも多いようなのでしばらく様子を見ていたらセールで二千円ぐらいになったので買って遊んでみた。おもしろかったけど途中でダレたしいくつか問題があって遊びきれなかった。

大航海時代を扱ったゲームというとコーエーテクモゲームスのその名も大航海時代シリーズというのがあって、自分はそれの4だけやったことがあってとても面白かったのだけど、ちょっとアクション要素があったりいちいち自分で船を操作したりする必要があって面倒くさかった。一方でこっちのNeo ATLASはプレイヤーが貿易商のボスになり、船を買って提督を雇って航海させるので戦略的要素が強い。

どの海域をどういう風に航海させるのか、出港時に指示を出す。地図が表示されるので、通過点を決めていく。航路が決定するとあとは提督が艦隊を指揮して勝手に航海してくれる。しばらくすると戻ってくるので報告を聞く。その報告によって新しい陸地や人の住んでいる町が見つかったりして、商売のタネになりそうな特産物が見つかったら貿易を検討する。

貿易は特産物と特産物とを結ぶ航路を決め、貿易船を買って就航させる。探検と違って貿易は提督を必要としないけれど、国が本数を制限しているので無制限にはできない。基本的に遠くにある価値の高い特産物同士を結ぶほど儲かるようになっている。貿易でお金を儲けないと提督を雇うための給料を払えないし船も買えない。探検と貿易の両輪で進めるのがこのゲームの基本的な流れとなっている。

他にクエストというのがあって、何か条件を満たすと始まるようになっている。沈没船を捜して財宝とか引き上げたり、遺跡を見つけて宝を捜したり、有名な海賊が出没するので倒したり、謎が出されて解き明かしたりする。ゲームをプレイしているとなにかしらクエストが進行しているので暇になることはない。また、陸地をこまめに探すと珍しいものが見つかってお金がもらえたりもする。すっとぼけた「白黒グマ」などの珍妙な動物なんかが見つかったりしてニンマリする。

Neo ATLAS 3よりも親切になった気がする。チュートリアルが割と充実していて、どうやってゲームを進めていけばいいのか教えてくれる。序盤にイベントが手厚いのでそれらを消化していけば自然とゲームに慣れることができる。まずは王様の指示どおりアフリカ大陸を南に進むのがいいのだけど、北極海のほうに行ってもいいし、思い切って大西洋にこぎだしてみてもいい。ただし序盤から使える船は流氷で痛みやすいし航続距離も短いので、いい船が手に入るようになってからでないと難しい。

女性の提督マリア・アルメイダがかわいい。父親を海難事故で失っており、アルメイダ家の復興のためにがんばっている。潜水が得意で海の中の探索を行うときはシャツ一枚になる。男勝りではなくおてんば(死語)な感じが良くて、甲板で滑って転んだとかついつい航海中に歌を歌ってしまいそれを船乗りたちに聴かれて恥ずかしがったりする。航海を重ねるごとに水夫たちとの距離が縮まっていくのが微笑ましい。

こういうエピソードは航海に行かせると報告として聞ける。マリアだけでなく提督ごとに個性があって、たとえばセントエルモの火に出会うと、学者提督フランシスコ・ペレスは冷静に分析するし、信心深い提督はおびえるし、オカルトに強い提督は対話までしてしまう。ゲームの中身にはほとんど影響がないのだけど、それぞれストーリーがあって楽しい。

さてここからは残念なことについても触れていくのだけど、まずフルボイスじゃなくなった。Switchだったら十分容量あると思うんだけどダメなんだろうか。二十年以上前に出た初代The ATLASのFM TOWNS版はCD-ROMで航海中の提督のセリフが全部あってすごくよかったのに。海の上で怪物に出会った話とか真剣にしてくるのが面白かった。やたら不機嫌な提督が愚痴をこぼすのも良かった。

画面の切り替わりが遅い。これだけハードの性能が上がったのになぜこんなに遅いんだろう。ストレスで我慢できなくなるギリギリ手前だったので自分はなんとかプレイできたけど、ダメな人にはダメだと思う。

ジパングを発見できるのだけど、日本海側に重要なイベントを発生させる場所があるみたいなのに、自分がプレイしたときは内海になってしまってその場所が出現せず、当然イベントも発生しなかった。これにより一人提督が出現しなくなったほか、終盤での主要なクエストが発生しなかった。内海になりそうだったら提督の報告に対して「信じない」を選ばないといけないのだ。

このゲームのウリは自分だけの世界を作れる(?)ことなのだけど、現実の世界で陸地がない場所を陸地にすると(?)大抵は人が住んでいなかったり特産物がほぼ価値のない塩だったりするので面白くない。まあ町があれば探検航海の中継点にすることは出来るのでうれしかったりもするのだけど味気ない。

探検航海は運に左右されるので、陸や町が見つからなかったり、町が見つかっても住人が友好的でなかったら寄港を断られることがあったりして、アフリカをただ南下するのさえ難しくなってしまうこともある。おいしい特産物がなくて貿易で儲けられなくて資金が思うように稼げなかったりもする。それが逆にこのゲームの醍醐味でもあるので、がんばって逆境をはねのけるのは楽しかったりする。

でも今回、貿易がちょっと安易すぎるように思った。初代The ATLASだったら貿易するには少なくとも片方には交易所を、探検する艦隊の拠点には商館を建てなければならなかった。今回は好きなように貿易できるし艦隊を駐留させられるので戦略性がなくなった。せっかく金払って商館建てたのにすぐ次にいい町が見つかったり、商館を建てたいのに住民の友好度が低すぎて建てられないのでまずはよその町と貿易させて仲良くしようみたいな戦略性があった。

自分はゲームに慣れているせいなのか、あまりお金に困らなかった。でもネットを見ると、特産品の在庫が尽きて赤字になりやすいと文句を言っている人がいた。宝石とかの希少なものを近場同士かつ大きな船で交易するから悪いんだけど、事前にある程度分かるようにしてほしかった。貿易航路が赤字になると一時停止か廃止しかなく、一時停止だと船が遊ぶし廃止すると船を売却しなければならない。もっと融通を効かせて別の貿易航路に切り替える仕組みにはできなかったんだろうか。まあそのあたりをうまいことやるのがこのゲームの醍醐味でもあるし、システムが複雑になりすぎるのも良くないので仕方ないのかもしれない。あと三角貿易もできない。貿易周回航路を作れたらいいんじゃないだろうか。

提督がワープできる。具体的に言うと、リスボンにいる艦隊の提督を解任し、そいつをアレキサンドリアにいる艦隊の提督に任命すると、瞬時に提督を移動させることができる。ゲーム的には便利だけど情緒がないと思う。アジア方面を探検させている提督にはなんとなくずっとそこを担当させたかったり、交代させるには時間を掛けて移動させなければならなかったりしたほうがいいと思う。まあでもイベントで急にヨーロッパに行かせないといけなかったりもするのでそうも言っていられないんだけど。

The ATLASでは世界中にヘンな部族がいてすっとぼけた紹介のされかたをしていてそれがこのシリーズの味としていい雰囲気を出していたのだけど、昨今の情勢なのか未開の部族をからかうような描写はなくなってしまった。でも動物関連とジパング関連はまだ残っている。そりゃ動物には人権がないしジパングは自虐だから大丈夫ってことなんだろうな。

広大な世界地図の中から場所を探すのが結構大変だった。錬金術関連のクエストを進めていくと振り子が手に入り、そいつを使うと未発見の場所に近付くごとに振り子が大きく揺れるのでダウジングの要領で見つけやすくなる。でも時間制限があって年に一回しか回復できない。また、「うわさ」は引っかからないので、クエストの進行には地道に「うわさ」を捜さなければならないこともあり、割とストレスを感じた。

未探査の領域をなくすとエンディングロールが流れてクリアとなる。その後も続けることができるので未消化のクエストがあってもいったんクリアしていい。終盤はただ海域を確定させる作業に没頭することになる。ちょっとなんとかしてほしかった。見落としがちなところに未探査の領域が残ってしまうことがある。自分の場合は北極付近に残った。海が白いから見つけにくい。でもまあ目をこらせば一応分かる。未探査の雲の色を変えられれば良かったと思う。

自分が遊んだときにはバグらしきものはまったく発生しなかった。

自分はこのゲームが好きだけど、たぶん多くの人にとっては面倒くさいゲームなのかもしれない。自分で艦隊を操作して、寄港した先々で交易品を仕入れたり売ったり、海賊と戦ったりするほうが面白いという人の方が多いんだろうなあ。そういう人には前述の大航海時代シリーズのほうがいいんだけど、アクションが苦手だとかシミュレーションゲームが好きな人だったらこっちのほうが楽しいと思うので興味をひかれたら遊んでみてほしい。
題名*
 コメントを一言で要約して題をつけて入力してください。 
ファイル 
 アップロードしたい画像ファイルを入力してください。 
中身*
 必ず日本語を入れてください(SPAM対策)。 
 コメントを書いてください。 
続きリンク 
 上に URL を入力しておくと、上の文章のあとにその URL に飛ぶ「続き」というリンクが作成されます。読者を他のページに案内したい場合に利用してください。 
評価 *
 この事物に明確な評価を与えてください。現在のところ 最高(+50) 傑作(+30) まあまあ(+10) いまいち(-10) 駄作(-30) 最低(-50) の六段階評価となっています。0 つまり平凡だという評価を下すことはできませんが、省略することもできます。 


確認画面(プレビュー)があります

Copyright © manuke.com 2002-2024 All rights reserved.