The Witcher 3: Wild Hunt 血まみれ男爵に会ったとこまで |
リヴィアのゲラルトはかつて同族の幼女シリに稽古をつけてやったことがあったが、そのシリに関してある日不吉な夢を見る。なにやらシリに危険が迫っているのではないかと思い、恋人のイェネファーに連絡を取ろうとするが…。ポーランドのゲーム会社CD PROJEKT REDによる全世界四千万本以上売り上げたファンタジーRPG。
名作だと聞いていたのでいずれやろうと思っていたらSteamでアホみたいに安くセールされていたのでとりあえず確保しておいたものの、こういう洋ゲーってなかなかプレイする気になれなかったのでしばらく積んでいた。そろそろいい加減消化しておこうと思ってプレイし始めたものの、ちょっと自由度が高くてうまくゲームを進められているのか不安になったので、にじさんじ所属VTuber葉山舞鈴のゲーム実況を見てみたりもした。それなりに遊べたのだけど、16時間近くプレイしても全然ハマらずダラダラプレイし続けるだけになってしまったのでやめることにした。
このゲーム、ポーランドのファンタジー小説「ウィッチャー」が原作らしい。普通にファンタジー世界が舞台なのだけど、ちょっと違うのはウィッチャーと呼ばれる独自の種族がいて主人公がその一人であること。あえて言うとダークエルフみたいな感じ?人間よりも屈強で特殊な能力も持っている生まれながらの魔法戦士のような強種族なんだけど、金にがめつくて汚れ仕事もするので人間からは嫌われている。
最初の舞台となるホワイトオーチャードは帝国に攻め滅ぼされたばかりの大国テメリアにある村とその周辺で、村の空気は重く、兵士たちの死体がそのままになっている戦場が近くに残っている。まだ帝国兵が村はずれに駐屯しているのだけど、村に圧政を敷いているわけではなくて、農民出身の指揮官が村人に害なすモンスターをなんとかしようとしている。いかにも本格的なファンタジー世界って感じ。
主人公がしかめ面のおっさんで、落ち着いたベテラン冒険者だった。理知的だけど荒事もこなす。クール&ワイルド&セクシーな感じ。インディー・ジョーンズっぽい?実際学者とも交流する。なんと帝国の皇帝とも知り合いだし、この世界では知る人ぞ知る有名人?
ヒロインは妖艶な美女イェネファーと美しく育ったシリで、どちらもビジュアル的に説得力のある美人でよかった。まあ16時間しかプレイしていないので性格的なものはまだよく分かってないんだけど。
事実上のチュートリアルステージであるホワイトオーチャードを攻略すると恋人イェネファーに導かれてシリを探すのが目的となる。広大な世界に放り出されてオープンワールドの世界を存分に探索することになる。でも目的を見失うことはなくて、ちゃんとメインシナリオには丁寧なジャーナルによる導線が用意されているし、寄り道も好きなだけできるようになっている。あ、寄り道はホワイトオーチャードからできるか。
戦闘は大体ソロでたまに仲間がいて一緒に戦ってくれる。基本は剣を振るって戦うのだけど、主人公ゲラルトは魔法戦士なので魔法を使いながら戦う。魔法は最初から五種類ぐらいあって使い分けもシンプルでそんなに難しくない。強力な攻撃魔法はなくて相手にちょっと衝撃を与えて隙を作ったり、補助魔法で自分を強化したりする。
フィールド上にはいろんなアイテムが落ちている。民家とかにあるものを拾ってもエルダースクロールシリーズみたいに泥棒になったりはしない(例外あり?)。野原にはいろんな野草が生えていて、調合すると戦いに有利になる薬草とか油とかが作れる。といっても野草だけではダメで店で売ってるアルコールとか敵のドロップアイテムなんかをなにかしら組み合わせなければならないことが多い。武器や防具も拾えるけれどだいたい錆びていて弱いので売るしかない。宝箱からは新品の装備を手に入れることもある。
ウィッチャーには「ウィッチャーの感覚」と呼ばれる特殊な視界があって、ボタンを押すとあやしいものが浮かび上がってくるので、それを利用して足跡とか証拠とかをたどってクエストを解決していく。フルボイスで推理してくれるのが渋い。
このように魅力的なキャラと興味をかき立てるストーリーとよくできたシステムのゲームなのにどうして自分はそれほど楽しめなかったのかというと、たぶんこの世界とそこに存在するリヴィアのゲラルトという人間(ウィッチャーだけど)が好きになれなかったからだと思う。
昔はこういうダークな世界が好きだったし、もちろんインディ・ジョーンズみたいな賢くてたくましくて性的な魅力まであるヒーローも好きだった。でもいまは成熟した世界に成熟したヒーローなんておもしろみがないと思ってしまう。いや、インディ・ジョーンズにも「アンチャーテッド」のネイサン・ドレイクにもユーモアがあったけど、リヴィアのゲラルトは大体ムッツリしてる。恋人イェネファーと一緒に行動してたら小粋なジョークをまじえながら魅力的な一面を見せてくれた気がするんだけど、少なくとも最初は一人旅で独り言ばかりだった。あ、導入部だけ仲間と一緒だったっけ。男だけど。
村や町がどこも似たような感じでワクワクしない。城や砦もそう。辛気臭い。そりゃ村人なんて地を這いずって生活しているんだからみんな貧しい服装にしょぼくれた性格をしていて当然なんだけど、ドラゴンクエストシリーズの陽気な村人たちが懐かしくなる。
操作感がいまいちだった。普段は馬に乗って移動し、建物に入ったり敵と戦ったりするときは降りて行動する。第三者視点なので画面の真ん中に主人公がいるんだけど、妙にもっさりしていて気持ちよくない。集団で襲ってくる敵を一匹ずつ引きはがしながら戦うなんていう地味な作業を強いられるし…ってまあそれは当たり前か。雑魚がしっかり強いので囲まれるとボコられる。
このゲーム、敵を倒してもほとんど経験値が入らず、基本的にクエストの達成によりレベルが上がるようになっている。また、クエストにも難易度があって自分のレベルが上がりすぎるともらえる経験値が下がっていくし、逆に適切なレベルよりも低すぎると敵が強すぎて全然歯が立たないようになっている。要はうまいことレベルがコントロールされている。これがちょっと興ざめだった。なんと拾う装備のレベルも自分のレベルに合わせてある程度決まっている。
敵の弱点をつくのが面倒くさい。初めての敵と戦うと図鑑に登録され、読むとそこに弱点が書かれているのだけど、その弱点を突くには武器に特定の油を塗ったりする必要がある。その油は錬金術によって自分で作ることができるのだけど、特定のアイテムを組み合わせる必要があり、それらをフィールド上で見つけたり商人から買ったりして集めなければならない。こういうところは本来ゲームのおもしろさにあたる部分なんだろうけど、なんかもう面倒くささしかなかった。そこまで劇的な効果はないので別に弱点を突かなくても普通にちょっと長く戦うだけで問題なく敵を倒せるんだけど、逆にそこも萎える。じゃあやらんわって。…どんだけ自分勝手なんだと自分でも思うけど。
誰かを護衛するクエストがあるのだけど、普通にプレイしてみたらそいつがあっさり殺されてそのままクエストが終わってしまった。やりなおすことはできなかった。また、依頼主から頼まれた仕事が実はよくないことだと分かったので問い詰めたらその依頼主と戦うハメになったこともあった。こういうのが好きな人にはたまらないゲームだと思う。自分には演出があっさりしすぎていたこともあってあまりピンとこなかったけど。
要はこのゲームはにわかファンタジー好きやカジュアルゲーマー向けではないということ。ダークファンタジーが好きでゲームもしっかり遊びたいという人にはいいゲームだと思う。日本でも百万本以上売れたらしい。
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