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Stellaris
超光速技術を確立させ本格的に宇宙に進出した帝国を操り、広大な宇宙を探索して謎の現象や構造物を発見したり未知の知的生命体と接触したりしながら銀河を手中に治めることを目指す、「パラドゲー」の愛称でマニアから親しまれるスウェーデンのパラドックスインタラクティブ社が開発した戦略ゲームの一つ。

いわゆる4X(eXplore, eXpand, eXproit, eXterminateつまり探索して拡張して開発して征服する)と呼ばれるゲームの雄であるシヴィライゼーションシリーズがいよいよ凋落し、最近ではあらたにこのパラドゲーがマニアの間で人気となっているらしい。その中でも初心者向けとされ唯一Steamで日本語対応しているこのStellarisがちょうどセールされていたので遊んでみた。20時間ほどプレイした段階での感想を言うと、システムはよくできているように思えたけれど、微妙にセンスを感じない大味さがあるように思った。

この手の戦略ゲームはヘックスと呼ばれる六角形のタイルが敷き詰められた世界の中で拠点を作ったり軍事ユニットを作って侵攻させたりするものだけど、このゲームでは星系を線でつなぎあわせたグラフのようなマップになっている。星系は恒星なんかを中心にその周りをいくつかの惑星が回っており、その中でも居住に適したものがあったり資源が埋まっているものがあったりする。

だからまずは次々と星系を探索して確保し、拠点を定めて強化して敵の襲撃に備え、どの勢力と手を組んでどこと当たるとか、研究開発を優先するか軍備や拡張を優先するかなど戦略を立てながら進める。舞台が宇宙であれ地球であれこの手のゲーム、基本は変わらない。

自分はまずいつでもロードしてやりなおせる初心者向けのモードで開始してみた。人類以外の奇妙な異星人も選べるけど最初は人類のプリセットにした。やれることが多いけど面倒なので可能な限り自動化してやってみた。探査船を作ってマップを探索し基地を建設していくのも自動化できる。人が住めそうな惑星が見つかったら入植船を作って送り込む。そうやってどんどん領土いや領宙(?)が広がっていく。

最初は積極的に外交とか戦争とかしないで適当にプレイしたらどんな風に詰むのか確認したくてダラダラやってみたのだけど、難易度が低いせいか特に問題なく進んでしまう。さすがに自分より大きな勢力がいくつかあるけど友好的な相手なので争いは起こらず共存し続けることができた。このまま十時間以上プレイしたけど自分があまりこのゲームを楽しめていないことに気づく(そりゃそうだ)。時間が経つのが早く感じられたので割と夢中になってプレイしていたとは思うんだけど。

実績がまったく解除されないので調べてみたら、ロードしたらセーブデータが消えるモードでプレイしないと解除されないことが分かったので、もうある程度システムも理解したことだし一度やり直してみることにした。

次は人類以外の攻撃的な種族を選んで遊んでみた。割と序盤のほうで同じく好戦的な勢力と隣接し、小競り合いが始まる。こっちのほうが国力で勝っていたので軍備に振って敵の1.5倍ぐらいの艦隊を揃えて攻め込んだらあっさり負けた(!)。敵の拠点じゃなくて艦隊と戦ったので三倍の法則は関係ないはず。

このままだと逆に敵に攻められると思って絶望していたら、急に謎の勢力がやってきて戦闘艦を買わないかと言ってきたので買ってみたら結構強くて、敵を返り討ちにした上に逆に攻め返して版図を拡張して和平を結び属国にすることができた。うーん、これって救済イベントだったんだろうか?それとも単に運が良かっただけ?

で萎えて以来ずっとプレイしていない。

この手の戦略ゲームっていったいなにが楽しいんだろうかとよく考える。シヴィライゼーションシリーズにせよエイジオブエンパイアシリーズにせよどんどんシステムが複雑になって面倒になるし遊んでいてもつまらなくなる。たぶん、ゲームシステムを把握して最適解を見つけ出すこと、毎回変わる状況に合わせて戦略を練ること、なかでも自分好みの戦略を考えることなんかが楽しいんだと思う。

このゲーム、「伝統」と呼ばれるシヴィライゼーションシリーズで言うところの社会制度ツリーにあたるものが重要で、アセンションパークだのアセンションパスだのをいかに組み立てていくのかが頭の使いどころなんだと思う。これ強いんじゃないか?みたいなのを見つけたら試しにやってみて、ダメだったら違うのを試す。複雑なシステムを相手にこういう試行錯誤をしていくのがやりがいだと思う。なんか他人事みたいに話しちゃったけど実際他人事だった。

考えてみたらこの社会制度ツリーがシヴィライゼーションシリーズをつまらなくしたような気がする。自分は別に複雑なシステムを相手に試行錯誤したいわけじゃない。システムはあくまでゲームを支える裏方なのであって、自分の国や文明を発展させたり敵と戦ったりするときの審判をしてくれるだけでいい。社会制度ツリーなんていうものはそもそも文明それ自体の特性でよかったんじゃないだろうか。周りの状況に合わせて決められる?テクノロジーツリーだけで十分だと思う。それにヘンに複雑化しちゃったらゲームバランスの調整に失敗する。

じゃあ簡略化すればいいかというとそういうわけでもなくて、シヴィライゼーションにはエヴォリューションという家庭用ゲーム機向けに簡略化されたバージョンもあるのだけど、自分はそれほど遊ぶ気になれず一回クリアしただけでやめてしまった。システムのためのシステムを作って複雑化するのではなく、いろんな状況になるようにしてユーザに分かりやすく見せた上でそれに合わせてシステムでコントロールするのがいいんだと思う。まあそれでも複雑すぎるとなんでこんな状況になるんだみたいなことが起こりそうで、なんだかよくわからないのにうまくいかないみたいなことが起きるのが一番よくない。

このゲームのテクノロジーツリーはなにせ未来を扱っているので空想科学技術だらけになっている。物理学、社会学、工学とそれぞれの分野で発展していくので並行して三つのツリーがあると考えていい。初見でプレイすると、次から次へとわけのわからない技術が出てくるのでフィーリングで選ぶことになる。なかなか居住に適した惑星が見つからないなあと思ったらテラフォーミング技術を研究してみるとか。でもこのゲーム、技術が多すぎて研究候補の中に出てくるかどうかは運に影響される。

全然紹介する気になれなかったから説明しなかったけれど、このゲームには他にもいろんな仕組みがあってよく出来ているなと思う。たとえば「請求」というのがあってあらかじめ相手に宣言しないと領土を奪うことができないとか、惑星を占領するには地上軍を編成して送り込まないといけないとか、多国間同盟である「連邦」や今日の国連のような「銀河共同体」なる国際組織があったりする。原始時代から始まるわけじゃないから未来を扱ったシステムなのは良いと思う。たとえば銀河共同体で決議される〇〇保護みたいな取り決めにより特定の国の発展を妨げたりとか。

このゲーム、なんとリアルタイムでのマルチプレイができる。一人でプレイするときは一度時間を止めてから戦略を練るほうがいいんだけど、別にそうしなくてもできなくはない。いろんなことが自動化あるいは半自動化できるので、こだわりすぎなければ勝手にやってくれる。システム的に半分RTS(リアルタイムストラテジー)のようにプレイできる。まあ条件が一緒じゃないと厳しそうなのでAI相手じゃなくて人間同士じゃないといけないんだろうけど。

中盤と終盤にゲームをかき回す大きなイベントを発生させることができる。これによりおそらく膠着しがちな展開を動かすことができる。自分はそこまでプレイしていないので体験してはいないのだけど、ゲーム実況を見ておもしろそうだなと思った。

無数の拡張パックが用意されている。たとえばゲーム実況を見て知ったのだけど奴隷を扱っている巨大企業の帝国と、そこから逃れてきた逃亡奴隷が集まってできた帝国を扱ったもの。奴隷の種族ごとに故郷が用意され、そこを確保するとイベントが発生して有利不利になるらしい。

ちなみにパラドゲーと言えば自分は以前Europa Universalis IIIもほんの少しだけ遊んだことがあるのだけど、史実の国を扱っているのでどの国で遊んだらいいか考えただけでやる気がなくなった。強すぎても弱すぎてもつまらなさそうだから。ちょうどいい感じの国がどこか分からなかった。今回このStellarisは帝国ごとの差異はあるものの全員平等に一からスタートするのでその点は悩まなくてよかった。そういえば以前コーエー「信長の野望」「三国志」シリーズをやってたときはいかに弱い大名で全国統一するか挑戦したものだけど、もう年なのかそんな気も起きなかった。

というわけでこのゲームは王道4Xゲームとして割ととっつきやすくて遊びやすいので、この手のゲームが好きなら遊んでみてもいいと思う。
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