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Frostpunk
蒸気機関が発達したものの突如火山が大噴火し空が灰に覆われ太陽光が届きにくくなり寒冷化した空想世界の19世紀イギリスで、人々はロンドンを脱出して新たな居住地を作って生き延びようとする。ストラテジーゲーム。

VTuber芸能事務所ホロライブに所属する沙花叉クロヱが自らのおすすめゲームを紹介した中にこのゲームがあり、実際にプレイしたのを見ていずれやりたいと思ってセールで買ったもののしばらく放置していたが、この猛暑でふと涼しさを求めて(!)遊んでみた。おもしろかった。

【#おすすめさかまた】第二回!最近ハマっているゲームを紹介します!【沙花叉クロヱ/ホロライブ】
https://www.youtube.com/watch?v=czj8520Ba_Q

このゲームはおそらくシムシティ以来の街づくりシミュレーションの一種ではあると思うのだけど、いろんな点でだいぶ違っている。マップはジェネレーターと呼ばれる巨大なストーブを中心にした窪地だけで、そこから放射線状に街を作っていく。人は勝手に集まるのではなく、メインシナリオ「新しい家」では65人の大人と15人の子供しかいない。

チュートリアルに従って一つ一つ目標を達成しながらゲームを進めていく。まずは以下の目標が示される。

・石炭を200あつめる。
・ジェネレーターを起動する。

マップにはあらかじめパイルと呼ばれる資源のかたまりがいくつか配置されているので、さっそく石炭の近くに集積場を建て、そこに人を配置すると石炭が集まりだした。しばらく待つと、ゲーム内で夜が訪れ、朝を迎えたところでいきなり24人が凍死した(!)。

ここで自分はいくつか間違いを犯していたことに気づいた。まず、上の二つの目標は順次達成する必要はないこと。あくまでジェネレーターという巨大なストーブを起動するために石炭を集めているのであって、200集めなくても起動できる。次に、集積場を建てるまでもなく、資源のパイルに直接人を配置しても資源を集めてくれるということ。たぶんそうすると朝が来るまでに石炭を目標の200集めることができ、朝が来るまでに自然とジェネレーターを起動できたのかもしれない。

とにかくいきなりこのゲームの恐ろしいところをまざまざと見せつけられてしまったので、ここでいったんゲームをやりなおした。

次に、ゲームがなんとか軌道に乗ったと思ったら、負傷者が大量に発生するようになった。そこで救護所を建てて治療にあたったのだけど、焼け石に水だったので続けていくつも救護所を建てていったらようやく治療が間に合うようになった。ところがついには凍傷により四肢を切断する必要のある重傷者が出てきてしまった。

このような困難が起こるたびにイベントが発生し、なんらかの対策を立てるよう選択肢が出てくる。たとえば今回のように重傷者が出た場合、彼らをそれぞれの家庭で看護させるか、専用の施設を作ってそこに放り込むか、法律を制定するよう言われる。なにせ厳しい環境下なので思い切った方策が必要になってくる。

画面下部に「不満」と「希望」という二つのパラメータが表示されている。プレイヤーはこの小さなコロニーのリーダーなので、人々があまり不満を抱かずに希望を持ち続けられるようにしなければならない。言ってみれば「不満」は短期的なマイナス要素で、なにか人々を抑圧するようなことが起きるたびに増えていく。一方の「希望」は長期的なプラス要素で、この先の生活が安心できると思ったら増えていくが、失望すると減っていく。これらが限界に達するとプレイヤーはリーダーからおろされてゲームオーバーとなるらしい。

ちなみになぜ負傷者が大量に発生したのかというと、寒すぎるからだった。天候が変わっていくので、寒い日が来ると凍傷患者が増える。人々は日中は働きに出て、夜になると家に帰っていく。家というか最初はテントなので、ラボラトリーを建てて研究を進めるともっといい家を建てることができるようになるほか、さまざまな有用な施設を作れるようになる。資源を効率的に集める施設のほかに、このゲーム特有のものとして各種暖房が用意されている。

ラボラトリーや救護所にはエンジニアしか配置できない。人々が最初65人いると言ったけれど、そのうちの確か二十人ぐらいがエンジニアで、それ以外が労働者だった気がする。エンジニアはほぼ労働者の上位互換で、労働者がエンジニアになることはない。このゲームでは一日一日がゆっくりと過ぎていくのでそんなにすぐには成長しない。

最初に子供がいると言ったけれど子供も大人になったりはしない。じゃあお荷物じゃん(!)と思うかもしれないけれど、働き手が足りなくなると子供を働かせる法律を作るかどうか決断するイベントが発生する。子供を働かせると単純に労働力が増えるけれど、逆に人々の希望は減ってしまう。

人々の不満がたまると、リーダーであるプレイヤーに対して要望を出してくることがある。たとえば、全員に住居を用意して最低限暖かい状態を一定時間保ってくれとか言ってくる。やっかいなのが、これらはあくまで要望であって必ずしも応える必要がないこと。もし約束したらそれを守らないと希望が減ってしまう。約束を守ると希望が増える。十分に守れそうかどうかをその場で判断しなければならない。

ビーコンという施設を作ると、コロニーの外の世界を探検する部隊を派遣することができるようになる。ワールドマップが広がり、気になる場所を訪れて、そこにある資源を拾って帰ってきたり、助けを求めている集団を自分たちのコロニーに招いたりできる。

このゲームは基本的にシナリオありきなので、それぞれのシナリオごとに目的を達成するとクリアとなる。メインシナリオの「新しい家」(たぶん原題はNew Homeだと思う)は文字通りコロニーに移住して自活できるようになるのが目的なのだけど、少しネタバレすると最終的にやってくる大嵐に耐えるのがクリア条件となる。

そこにいたるまでに中盤以降さまざまなイベントが発生するのだけど、急にああしろこうしろと言われてそのたびに対応を迫られることになる。攻略Wikiを読んでいたらこのことを「初見殺しのイベント」と言っていて妙に納得した。さすがに「初見殺し」つまり最初は知識を持たずに普通にプレイしているとまず失敗するような理不尽さがあるわけではないけれど、そんなこと急に言うかよというようなちょっと納得できない気持ちには何度かなった。

シナリオをクリアすると、これまでのコロニーの発展の歩みをタイムラプスっぽく早回しで見せながらNHKのプロジェクトXばりに熱いポエムがテロップで表示され、まるで人類が勝利したかのような語りが入ったのにはちょっと笑ってしまった。でもいいエンディングだと思う。この手のストラテジーゲームにはそもそもエンディングがないことのほうが多いし。

グラフィックスがすごくきれいだった。イベントや法律には超美麗な一枚絵が表示される。3Dのマップは人々が歩くと雪に足跡ができ、やがて地面が露出して道になる。ちなみに道は建設するものなのだけど、実質的には送電線にあたるものなので建設しなくても人々は普通に移動する。言い忘れたけれど、道は場所を取らないので、建物同士は隙間をあけて建てる必要はない。ゲームのカギとなる温度をサーモグラフィのように表示させることもできる。

戦略ゲームが好きな同僚に勧めてみようと思ったけれど、このゲーム最大の特徴はシナリオがあってそれに沿ってコロニーを発展させていかなければならないので、自由に街づくりができない点で人を選ぶと思う。ただし、エンドレスモードといってシナリオのないゲームを延々プレイすることもできるらしい。

自分はメインシナリオの「新しい家」と追加シナリオの「聖櫃」をクリアしたところでちょっと飽きたのでいったんプレイをやめた。ゲームシステムがどういうものか分かって楽しめたので、あとはシナリオごとのイベントを楽しむだけならもういいやと思った。またやりたくなったら別のシナリオもやってみたいと思う。
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