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十三機兵防衛圏
1985年の首都圏の高校を主な舞台とし、謎の外敵に対して13人の男女がそれぞれの物語をつむぎながら交差しつつ機兵と呼ばれる巨大ロボットに乗って戦う。シミュレーションRPG。

ホロライブのVTuber尾丸ポルカが同じメンバーの大空スバルに勧めて見守りしたコラボ配信を初回だけ見て、このゲームは自分でプレイしたいなと思ってしてみた。おもしろかった。

【#生スバル】ポルカに布教してもらった十三機兵防衛圏をプレイしてみるしゅばああああああああああああああああああ!!!!:13 Sentinels: Aegis Rim【ネタバレあり】
https://www.youtube.com/watch?v=ZEgqraEAfOc&list=PLOLvMgy3Jf3FHkTncXgYuGoNhxaGGAfp7&index=1

ゲームを開始すると一人の少女が巨大ロボットを呼び出すシーンが出てきて、崩壊編と呼ばれるシミュレーションバトルパートになる。街中のクォータービューのマップが表示され、自機と敵機とが戦闘情報処理されたアイコンのようなもので表されている。状況がよくわかっていない少女に対して先輩キャラが現れて操作方法を教えてくれるチュートリアルになる。

戦闘はリアルタイムに進む一方で、自機に行動ターンがまわってくると時間が停止し、コマンドを入力できるようになる。戦況に即した武装で攻撃を繰り返していき、基本的には敵機を全滅させるとステージクリアとなる。攻撃のほかに移動もできる。

次に追想編というアドベンチャーパートになる。このゲームはバトルとアドベンチャーとを並行して進めていくのだけど、時間軸的にはバトルが始まるまでにストーリーはすべて終わっているので追想という形になっている。

最初の少女の物語から始まるのかと思いきや、鞍部十郎という特撮映画好きの少年から始まる。映画のビデオの貸し借りを行っているのだけど、1985年だけあってVHSっぽい巨大なテープをやりとりしていて懐かしくなった。制服も詰襟とセーラー服だし。

アドベンチャーモードでは13人の主人公(?)のうちの一人を操作してストーリーを進めるようになっている。人に話しかけたり、考えをめぐらせたり、移動したりして進めていく。ストーリーはこまぎれになっており、一定の段階まで進むとTo be continued…と表示されて中断される。

ある主人公のストーリーを進めていくと、どこかで別の主人公が姿をあらわす。こいつは一体なにをしていたんだ?というのはそいつのストーリーを進めることで明かされていく。もちろんそいつのストーリーにも別の主人公が現れて一見謎の行動をとっている。

序盤はバトルモードとアベンチャーモードとが大体交互に自動的に進んでいくのだけど、一定のところまで進むと好きなように選べるようになる。先にバトルモードを進めるもよし、アドベンチャーモードで特定のキャラを優先して進めるもよし、…なのだけど進行条件があってどちらかを一定程度進めないと他方をそれ以上進められなくなったりする。

各主人公の物語は互いに絡み合っている。たとえば、最初の少女こと冬坂五百里(いおり)と鞍部十郎とはなぜか共通点のあるリアルな夢をよく見るのでその情報交換を行っている。ありがちなので言っちゃうとその夢はいつかのどこかで実際にあったことで、なぜそんなことが起きたのか真相をさぐっていく形となる。

ストーリーを説明してしまうと興ざめなので言わないけれど、かといってまったく言わないのもどうかと思うので、自分がお世話になった攻略サイトのアンケートで一番人気だった陸上部の南奈津乃という少女の物語を少しだけ話すと、こいつはUFOとか宇宙人とかが好きで、映画「E.T.」のように異星人との出会いに憧れているのだけど、あるとき更衣室で謎の小型ロボットBJと出会い、こいつのことを異星人だと思って狂喜する。学校には謎の黒服たちがなにかを探すように徘徊しはじめたので、こいつらはメンインブラックだからBJを守らなければならないと思って逃がしつつ、BJの願いに応えて機兵と呼ばれる巨大ロボットを一緒に探す。

ストーリーの内訳はおおまかに言うと、最終的なバトルにいたるまでの真相と、少年少女たちが巨大ロボットに乗って戦えるようになるために必要な手続き、時間を飛び越えて活動する犯罪者への対処などが重層的に描かれている。

このゲームは1985年だけでなくいくつかの時代で物語が語られていく。1945年は大戦中だし、2025年にはネット全盛でSNSがあるし、2065年という近未来のほかに、2105年や果ては2188年なんて時代が出てくる。タイムリープできるので未来や過去から人がやってきている。まあその真相はネタバレ厳禁なので書けないけれど。

絵がすごくきれいだった。2Dの透明感のある水彩画風の絵なのだけど、ちょっとデフォルメされたアニメっぽい絵柄で独特の魅力がある。各キャラの強い意志を感じさせつつかわいらしい(かっこいい)たたずまいや、西日の差した光と影の表現、巨大ロボットの重量感なんかが特に素晴らしかった。少しアニメーションするのもよかった。

シミュレーションバトルモードは戦闘情報処理された画面となっており、実写風ではなく自機も敵機も街並みもすべて記号や地図で表されている。カーソルを合わせると敵のイメージ映像が表示される。想像力を喚起できるいい演出だと思う。それに自分はNintendo Switch版をプレイしたのだけど、スイッチの非力な性能でも十分快適にプレイできた。

脚本と声優の演技がよかった。セリフは画面に表示されると同時にフルボイスで流れるのだけど、無駄のない絶妙な量を都度都度じっくりと聴かせてくれる。一度に画面に表示されるセリフで区切りがつけられて、若干詩の朗読をするかのように間が置かれるのも独特の拍子があってよかった。ゲームの構造上、同じセリフを聴くハメになることがあるのでその時はスキップしたけれど、初出のセリフは全部欠かさず聞いた。

声優は大物揃いで、ちょっと流されがちな少年の鞍部十郎の声は下野紘だし、威勢のいいスケバンの鷹宮由貴は小清水亜美と、ちょっとわかる人なら誰でも知っているような有名どころばかりだった。でも自分が一番印象に残ったのは、鷹宮の助手をやる相葉絵理花というお嬢様っぽい女の子の声で、調べてみたら東城日沙子というほぼ見かけない人がやっていた。使いどころの難しい人なんだろうか。この人の声でオーディオブックとか聴いてみたい。

といういかにも大作な感じのゲームなのだけど、ゲーム自体はカジュアルというかライトな感じがした。正直、自分でプレイしないで他人がプレイした配信を見たほうがよかったとさえ思った。自分でクリアしたあとで改めてVTuber大空スバルの配信を見てみているのだけど、こいつの反応を見ながらゲーム画面をただ眺めているほうが楽しい。

こう言っちゃなんだけど、アドベンチャーパートは基本的にほぼ紙芝居に毛が生えた程度だった。選択肢を総当たりしていけばそのうち進む。ただ、無限列車編(?)の緒方稔二のストーリーをはじめとして、一部ちゃんと正しい行動をとらないと堂々巡りしてしまうストーリーもあってちょっとおもしろかった。

クリアするとちゃんと真相が明らかになり、すべての伏線は回収される…らしい。自分は全部のシナリオをクリアしたけれど、細かいところまではよくわからなかった。正直なところを言うと、キャラクターは良かったけれどSFとしては佳作ぐらいだと思う。見せ方がうまいんだと思う。このゲームは日本SF大会の星雲賞を受賞しているらしい。

シミュレーションバトルパートは、いろんな敵が押し寄せてくるのでそいつらを撃退していく。小さい敵が大量に来る場合はこっちも大量に射出する武器を使うとポップコーンがはじけるような音とともに一気に殲滅できるのがすごく爽快だった。また、大きな敵やバリアを張っている敵に対しては一発の威力が大きい武器を使う必要がある。

攻撃だけでなく、敵に対して妨害電波を出すEMPや、自機にシールドを張ったり、自動的に敵を攻撃したり敵からの的になったりするドローンのようなものを出したりする武装もある。防御も考えないとスコアが下がり、評価Sの報酬がもらえなくなってしまう。

巨大ロボットこと機兵には種類があり、第一世代は格闘型、第二世代は万能型、第三世代は遠距離型、第四世代は飛行型と大きく分かれているほか、同じ世代であっても若干個性があるし、成長させたり武装を入れ替えたりできる。

一度クリアしたステージを何度も繰り返し遊ぶことができる。ステージをクリアするとなんたらチップというものが手に入り、それを消費して自機や基地のグレードアップができるようになっている。また、パイロットにも経験値とレベルがあり、成長してスキルを覚えていく。

ただ、これらのシステムがどれも大味なように思えた。好きなように育てる楽しみはあるものの、結局そんなに考えなくても適当にやってればうまくいってしまう。まあ下手に詰んでしまうのも困るんだけど、もうちょっと報酬の与え方とかに工夫があってもよかったんじゃないだろうか。

13人のパイロット(=ユニット)がいて、一度に出撃させられるのは6人までで、二回出撃させると脳に疲労がたまったとかで次は出撃できなくなる。そんなとき、休息することで全員出撃可能になるのだけど、代わりにチップ取得の連続ボーナスが途絶えてしまう。チップ取得なんて同じステージを何度もクリアすればいくらでも取り返せるので、あくまで効率だけの話であり、ちょっとモヤッとした。

戦略ゲームが好きな自分の意見としては、シミュレーションバトルパートはもうちょっと難しくしてもよかったと思う。このバランスだとわけのわからないうちにクリアしてしまう人もいそうで、ゲームとしての魅力を味わいつくせないと思う。それに多少ストレスが掛かってもアドベンチャーパートで真相を明らかにするというモチベーションが働くのでそれほど苦にならなかったと思うし、達成感も十分に得られたと思う。

好きな配信者がこのゲームをプレイして配信していたら、それを見た方が楽しめると思うけれど、一人でじっくり物語を楽しみたい人や、戦略ゲームが大好きな人は自分でやってみるといいと思う。
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