| 平成敗残兵☆すみれちゃん 5巻まで |  
    トップアイドルの夢破れ場末のスナックでバイトしながら自堕落な生活を送っていた元アイドルグループのリーダー東条すみれだったが、従弟の高校生から強く乞われて仕方なくコスプレ写真集を撮る。平成という時代に飲まれた敗残兵31歳すみれちゃんがなし崩し的に同人アイドルを目指す。青年マンガ。 
 
タイトルが気になって乗せられまいとずっと我慢していたのだけど、最新刊の表紙が逆に普通のアイドルっぽくなっていて興味を引かれたので読んでみた。とてもおもしろかった。 
 
この作品のおもしろいところは、一度マイナーながら本格的なアイドルグループを率いていたすみれちゃんが、お金に困って渋々コスプレ写真集のモデルを引き受けたところから、昔のことを思い出しつつコスプレイヤーとしていまどきの成功を目指していくところだと思う。自分はこの界隈に疎いので新鮮に感じた。福田晋一「その着せ替え人形は恋をする」の汚い版って感じw 
 
すみれちゃんは31歳と年は取ってはいるけれど圧倒的なスタイルを維持しており、いまは写真もレタッチするので細かい部分は気にならないことから、ちゃんとプロデュースされれば無双する可能性を秘めている。そこが読んでいてワクワクする。 
 
そんな彼女をプロデュースするのが、従弟でだいぶ年下だけど今どきのオタク文化に詳しい高校生の男の子、泉雄星。こいつはすみれちゃんのことを普段はダメな大人の女として見ているけれど、子供の頃はアイドルをしていたすみれちゃんのファン第一号と言われたほどあこがれていて、いまでもそんなすみれちゃんのことを世間に見返させてやりたいという秘めたる情熱を持っている。 
 
あまりストーリーを紹介しちゃうとおもしろくないので最低限の説明だけすると、最初の写真集は50部だけしか刷っていないし、撮影もなんとすみれちゃんの自宅の安アパートでそのままスマホのカメラで撮っているところから徐々に活動を広げていき、直売会のイベントに出たりSNSを始めたりしてどんどん知名度を上げていく。 
 
かつての仲間も次々と登場する。一人目は手っ取り早く金を稼ぐために同人動画のプロダクションに行ってみたらそこで社長をしていたあゆみで、二人目はイベント会場で自作の同人エロマンガを売っていた颯子。この二人も時代にもまれて結構ヤサぐれていて笑った。 
 
高校生の男の子である泉雄星がこいつらのヒロイン(?)みたいになっていて、あゆみは雄星のことを昔の彼氏に似ているといって近づこうとするし、颯子はイベント会場で目ざとく自分を見つけてやさしい声を掛けてくれた雄星に求められるかもと淡い期待を持っている。一方ですみれちゃんにとっては子供の頃から知っているせいか、いいお姉さんでありたいと思っている感じ。みんなキャラが活きているなと感じた。 
 
すみれちゃんが時々さわやかに下ネタをかますのがウケた。 
 
途中で「ファムファタール任三郎」という妙な芸名の女に勧誘される。こいつすっとぼけた芸名で最初はナシかと思っていたけど、自身も体を張って活動しているばかりか中小プロダクションを切り盛りしており、高校生の雄星が知らないような大人の事情を知っていたり、ある程度大手の仕事を取ってこれる手腕を有していたりする。 
 
絵はちょっとヘタだと思うけど、細かいところを気にしなければ色気があり、デフォルメな表情がかわいかったりする。 
 
まあこの作品は設定的に若くてかわいい女の子が出てこないところが人を選びそうではあるんだけど、自分的にはかわいい女ばかりで楽しめた。全員三十過ぎなんだけど。みんな感情豊かでよかった。特に颯子は急に悲しくなって泣き出したと思ったらスンとなって吹っ切れたりするのがウケた。 
 
すみれちゃんがかつてアイドルをやめた理由がとても印象的だった。 
 
ちょっと…というかだいぶ変化球がエグい作品だけど、自分はすごく楽しめたので興味がわいたらぜひ読んでみてほしい。 
 |  
    
   |   
 | 
| 題名 |  | * | 
|   | コメントを一言で要約して題をつけて入力してください。 |   | 
| ファイル |  |   | 
|   | アップロードしたい画像ファイルを入力してください。 |   | 
    | 中身 |  | * | 
|   | 必ず日本語を入れてください(SPAM対策)。 |   | 
|   | コメントを書いてください。 |   | 
| 続きリンク |  |   | 
|   | 上に URL を入力しておくと、上の文章のあとにその URL に飛ぶ「続き」というリンクが作成されます。読者を他のページに案内したい場合に利用してください。 |   | 
| 評価 | 
 | * | 
|   | この事物に明確な評価を与えてください。現在のところ 最高(+50) 傑作(+30) まあまあ(+10) いまいち(-10) 駄作(-30) 最低(-50) の六段階評価となっています。0 つまり平凡だという評価を下すことはできませんが、省略することもできます。 |   |