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少年計数機 池袋ウエストゲートパーク2
悪ガキとヤクザと商売人がたむろする裏の池袋でトラブルシューターとして活躍する果物屋の息子マコトの事件簿。テレビドラマにもなった人気連作短編小説の二作目。

テレビドラマでは長瀬智也が主演していたらしい。なるほど。主人公マコトの役は誰でも好演しそうだと思ったけど、たとえば香取慎吾なんかだと完全にミスキャストだろうな。母親に頭があがらず、すっとぼけていて、三枚目だけど時々モテて、頭悪そうだけど知的なとこもあり、頭を悩ますところがさまになってないとダメだろうな。そう考えるとこの配役はぴったりだなと感心する。

「妖精の庭」は、もともと女だったが性転換して男になった客引きのショーが、自分のところの女に純愛する話。彼女がストーカーに狙われているというので、主人公マコトが仲間たちも動員して助ける。この話に限らないが、このシリーズはほんとテレビドラマにするのにちょうどいいなと思った。映像とか展開が浮かぶようだった。特にこの話は、盛り上がらせ方なんて読んでて誰でも分かるんじゃないだろうか。っていうほど逆に言えばシラジラしかった。良く言えばこの作品は映像作品的なんだろうな。

「少年計数機」は、数に異常にこだわる精神障害を持った少年の話。これも同じく映像的。ヘルメットやサポーターをつけてカチカチとカウンターを押して日常の色々なものを数える少年。親の関係で危機が訪れ、例によってマコトが助けることになるのだが、少年の精神障害に絡めてちょっとした謎解きがある。正直、活字の作品としては薄く思えてならないのだけど、テレビドラマにしたらキッチリまとまっていて映えそうだな。

「銀十字」は老人たちが活躍する話。彼らのマドンナである老女がひったくりにあって骨折して寝たきりになりそうになったので、犯人を捕まえようとする。正直この作品も薄い。私はこのシリーズの登場人物がどれも描写不足に思えてならないのだけど、この話に出てくる老人は特に空回り感が強いように感じた。下ネタ好きで明るいけど真面目でやるときはやる、みたいな。あとデザイナーもいまいち。うーん。これもテレビドラマだと映えそうなんだけど。あと後日談も都合よすぎ。

「水のなかの目」は、違法風俗荒らしの少年たちを追う話。ヤクザ側から用心棒ミナガワをつけられ、聞き込み先の障害者風俗で働く健常者の福祉学生マドカとも親しくなり、取材中の女子高生リンチ殺人の元犯人グループの一人でパシリ美少年アツシとも接触しながら、主人公マコトは彼らと仲良く一緒に考えて行動を起こしていく。途中で話が大体分かってしまったけど、それでも断定しきれず、誰かが犠牲になるんじゃないかドキドキしながら話に引き込まれた。この話に限れば主要登場人物は概して魅力的だった。

なんか私はこのシリーズを読みながら途中何度もケナしているけれど、この人は話の筋の組み立てと語りがうまいのか、文句言いながらも結局面白く読んでしまう。
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