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テルマエ・ロマエ 4巻まで
ローマ帝国の五賢帝の時代に生きる建築家ルシウスは行き詰っていた。留学先で学んだ伝統的な様式で設計した公衆浴場が、目新しさの求められる時代にそぐわなかったのだ。建築事務所を飛び出したルシウスは、友に誘われて渋々行った古い公衆浴場の湯につかっているうちに、謎の力で現代日本の銭湯に飛ばされる。そこで見た目新しい浴場文化に刺激を受け、元の時代に戻ったルシウスが次々と新しい公衆浴場を作っていき、一躍時代の寵児となっていく。マンガ作品。

口コミなのかステルスマーケティング(善意の第三者を装って巧みに作品を褒めて宣伝する手法)なのか知らないが、いつのまにかネットやマンガ紹介誌で一時期やたらと取り上げられていた作品。通好みの作品のはずが却って推すのが恥ずかしくなるほど一部の間で有名になってしまった。それほど興味を引かれなかったので放置していたが、ふと思い立って読んでみた。

面白い。筋書きは読む前から大体知っていたのだけど、それでも読むと心地良い。なにせ現代日本の風俗が古代ローマ帝国で大ヒットする話だ。ナショナリズム(愛国心)を刺激されるだけでなく、私たちにとって当たり前のものが古代人の間でウケるというのはベタだけど面白い。これはSFだ。

ただ、そんな流れで楽しめるのはせいぜい一巻ぐらいまでだけだ、という辛口のコメントをする人もネットにはいた。自分もそれを聞いて多少心配しながら読んだのだけど、まだまだ十分面白い。ネタバレになるからいちいち書かないけれど、公衆浴場にはいろんな文化があるのでしばらくはネタに困らない。それに、現代日本では言葉の通じなかったローマ人ルシウスの前に、ついにラテン語をしゃべることができる才媛キャラが登場する。こいつのキャラ設定が少々強引で極端なのが危なっかしいけれど、まだまだ目が離せない展開になっている。

作者のあとがきを読んで気づいたけれど、表紙に堂々と成人男性のちんこが描かれている。石像なんだけど。各巻の表紙は有名な彫刻に風呂グッズを持たせたシリーズになっているようだ。作者はイタリア人の夫と結婚しているのだそうだが、さすがに畏れ多いと猛反対された彫像も描いちゃったらしい。にしてもほんと掲載誌のコミックビームは「エマ」「乙嫁語り」の森薫といい独特な作家を見つけてくるなあ。

突き抜けて面白いわけではないけれど、誰にでも勧められる間口の広い作品で、分かりやすい面白さがある。序盤ちょっと硬い以外はマンガ表現的にも劣るところはないし、幕間に挟まれる一口エッセイもちょうどいい量で楽しめる。欲を言えばもう少し勉強になれば良かったと思ったけれど、そういうのを捨てて娯楽に徹したからこそなのかもしれない。気軽に楽しめる良作。
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