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ハイスコアガール 第5巻まで
ゲームセンターに足しげく通う小学生男子・矢口ハルオは、その中でも格闘ゲームが大好きで特に対人戦に熱中していた。あるときそこにクラスメイトで無口なお嬢様の少女・大野晶の姿を発見する。ゲームセンターでの彼女の意外な素顔を発見したハルオは、次第に彼女に心惹かれるようになっていく。古き良きゲームセンターの黄金期を舞台に繰り広げられる、恋を知る前の少年と少女による素朴な恋物語。

大阪に転勤する後輩から勧めてもらったので読んでみた。それまでにもなにかの書評で見た気がしたのだけど、絵柄があまり好みでなかったのと、ゲームセンターものという点にあまり興味を引かれなかったので手を出していなかった。

掲載誌の「月刊ビックガンガン」とその全身のマンガ雑誌のことはよく知らないけれど、出版社としては新興のスクウェア・エニックスのマンガ雑誌というと少年向けのイメージがあったので調べてみたら、青年誌とあるから高校生向けぐらいなんだろうか。ヤングジャンプとかビックコミックスピリッツとかそのあたりと競合するのかな?

にしては恋愛ものとしてちょっと幼くて気恥ずかしい。主人公のハルオはアホな小学生男子そのまんまで、女子に対しては硬派な態度をとっている。しかしゲームという共通の熱中できるものを持っている大野晶に対しては同志だと思うようになる。女の子つまり異性だという意識は持っていない。そこからハルオが自分の気持ちに気付いていく物語になりそうな感じ。

ヒロインの大野晶がほぼ無口なんだよなあ。そこがうまいというかあざといというか。物語はハルオが勝手に大野晶の心情を忖度しながら展開していく。恋愛対象を理想化して楽しめるようになっている。

でもってこの作品にはヒロインがもう一人いる。中学生編になってから登場する茶髪の日高小春。こいつはよくしゃべる。でもってハルオに惚れる。恋愛経験に乏しい男の子が好みそうなこの二人のヒロイン像の設定は絶妙だと思う。

一方のゲームセンターものとしては、最初この作品について聞いたときに、すがやみつる「ゲームセンター嵐」を思い出したのだけど、あんな空想じみた感じではなくこの作品には生活感がにじみでている。何か大きな陰謀とかはなく、ただただ学生の日常に組み込まれたゲーセン通いの日常が描かれている。

時代が昭和末期からになっていて、ストリートファイターシリーズを中心とした格闘ゲームを中心に取り上げられている。いまのじゃなくて昔のゲームばかりだ。いまの若い読者が知らない話をして大丈夫なんだろうか。それとも主な読者はみんな三十代なんだろうか。それもゲームセンターの話ばかりしている。自分は世代的にはぴったりなのだけど、ゲームセンターにはあまり行かなかったので、主に家庭用ゲーム機に移植された作品しか遊んだことがない。この作品を紹介してくれた後輩は当時よくゲーセンに行っていたらしくピッタリハマったと言っていた。でもそういう層ってそんなにいないような気がするんだよなあ。

主人公ハルオの脳内には、彼が主に使っているキャラであるアメリカ軍人ガイルさんが住んでいて、なにかというとこのガイルさんがコミカルに出てきてハルオにアドバイスらしきものをしてくれたりするのが面白い。ほかにダルシムとかエドモンド本田とかもちょろっと出てきたりして懐かしい。ちなみにヒロインの一人であるお嬢様の大野晶はロシア人レスラーでマッチョのザンギエフをよく使う。

自分は恋愛ものが大好きなのでこう思うのかもしれないけれど、この作品は懐かしのゲームセンターものの衣をまとった素朴で幼い恋愛ものだからヒットしたんだと思う。人に勧めるとき、懐かしいゲームがいろいろ出てくるよ、自分はゲームのとこが好きなんであって恋愛ものであるかどうかはどうでもいいんだよ、みたいにできる。そうやって口コミで広まっていったんじゃないだろうかと思ってしまう。いや別にいいことなんだけど。あ、でも作者からするとあくまで懐かしのゲームを描きたくて恋愛要素はオマケ程度に思ってたりするのかな?でも既刊最新刊では鞘当てで盛り上がっているんだよなあ。

ストーリーのほうはちょっとベタな感じ。特にお嬢様である大野晶が家の方針で不自由な生活を強いられている描写はちょっとウンザリする。自分はこの大野晶のことは特になんとも思わなかった。どちらかというともう一人のヒロインのほうがいいと思ったけれど、でもその日高小春のほうもそんなに好きにはなれなかったなあ。いやどっちもかわいいといえばかわいいんだけど。それでも、少年少女が仲良く時にケンカしながらゲームを中心とした交流を進めていくのはよかった。ここまでゲームが好きな女の子なんてめったにいないし、なおかつかわいい女の子だなんて、男にとっては夢物語だよなあ。

正直恋愛ものが好きな人からするとこの作品は物足りないと思うけれど、恋愛ものがあまり好きじゃない人や、恋愛ものばかり読んで食傷気味の人、少年少女の甘酸っぱい物語が好きな人は読んでみるといいと思う。
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