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矛盾だらけの「雇用促進住宅」の追求を続ける
猪瀬直樹の特殊法人追及の一環。雇用保険を食いつぶす雇用・能力開発機構のふざけた体質を暴く。労働者が支払った雇用保険が、ほとんど知られない賃貸住宅経営にあてられ、住専よりもひどい経営をしながらいままでまったく知られてこなかったことを嘆く。

作者の猪瀬直樹はご存知小泉内閣の道路公団をめぐる委員会で注目された作家。

なんと雇用・能力開発機構は、住宅公団の 1/5 にあたる住宅を持っているそうだ。まったく同じ役割の住宅公団があるにもかかわらず、旧建設省とは別に旧労働省が作った特殊法人だ。

管轄はハローワークつまりいわゆる職安だ。住宅事業はもともと炭鉱労働者が職にあぶれて別の職業を探すときのつなぎとして一時的に安く借りられる住宅を提供することを名目として始まったそうだ。炭鉱はさすがになくなったが、一時的な離職者をターゲットに運営していることはいまも変わりがない。しかしなんとハローワークにもこの住宅の存在を知らせるような情報がないため、ほとんどの人はまったく知らないという。おそらく公団の身内の人間しか使っていないのだと筆者は推測する。

マンションの建設も闇に包まれている。一例として江東区のサン・コーポラス潮見が挙げられているが、公示価格の五倍の値段で土地を買い、これまた異常な建築費が掛かっている。適正な競争入札が行われず、公団の身内の業者が甘い汁を吸ったのだろう。

さらに驚かされるのがその家賃と入居費だ。家賃が安く設定されているのは当然で、3DK で最初の二年が 87,650円だ。これは相場よりかなり安いらしい。ただし入居条件が「毎月の収入額が、家賃十万円未満の場合は原則として家賃及び共益費の合計額の四倍以上であること」なのだ。つまり月収35万円くらいないと入居できないのだ。こんな失業者がいるのだろうか。

この公団、家賃収入だけで毎年390億円もあるそうだが、課税対象となる「収益事業収入」は総務省の資料によるとゼロなのだそうだ。つまり毎年これだけの金が天下り役員や職員の給料や退職金にあてられているわけだ。

もうとにかく読んでいて腹立たしい。この事実(かどうかは確かめたわけではないが)を掘り起こした猪瀬直樹には敬意を払うほかない。この人はジャーナリストであると同時に、冒頭で述べた委員会の委員、さらに政府税制調査会のワーキンググループの一つに入っているなど体制を動かす活動も行っているそうで、こんな人は他には当分現れないであろう。
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