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高台家の人々
地味な30前のOL平野木絵の職場に、ニューヨーク支店から青い目をした黒髪のクォーター美男子・高台光正が戻ってきた。職場中の若い女性を虜にした彼だったが、なぜか平凡で口下手な木絵を食事に誘うのだった。人とのコミュニケーションが苦手で日々頭の中で妄想ばかりしている彼女のことをなぜ彼は気にするのだろうか。少女マンガ。

NHKの非モテ特集番組に出てきた女性が愛読していたマンガが画面に何冊か写っていて紹介されていたのでそれをメモって読んでみたうちの一作。作者の森本梢子の代表作は、仲間由紀恵の主演でテレビドラマ化された「ごくせん」だろうか。そっちは自分にはあんまり面白くなくて1巻で読むのをやめたけれど、こっちはすごく面白かった。

ヒロイン(?)の平野木絵の妄想がまず面白すぎる。落ち込むと西洋風の村で自分を見失って村人を殺してひきこもっていたり、かわいそうな動物が何一ついいことなく死んでいたり、嫌な現実を考えないようにするためにデンマーク人の監督に指導を受けてひたすら水泳に打ち込んだりする(ムキムキの彼女が頭の中で出てくる)。

そんな彼女になぜイケメンが惚れるのかというと、高台家の人々は人の心が読めるから。幼い頃から人の醜い心の中が分かってしまい、人との付き合いが苦手になってしまった高台光正にとって、普段はあまりしゃべらずに心の中で(基本的には)楽しくてポジティブな妄想をする平野木絵は好ましい存在だった。

非モテのヒロインの物語かと思ったらちょっと違っていて、平野木絵は非モテという以前に妄想癖の強い変わった人なのだけど、自分に自信がなくてつい悲観的に考えてしまうところとか、そんな自分のもとに素晴らしいパートナーが現れるシンデレラストーリー的なところがウケたのかもしれない。

題にあるようにこの作品は高台家の光正以外の人々にも多く焦点が当たっていて、さっきちょっと読み返してみたら2話目からいきなり次男の和正の物語になっているし、ほどなくして長女の茂子の話も展開される。また、そもそもの話であるテレパシー持ちの祖母アンの物語は2巻の多くを占めている。四者四様に心を読めるがゆえの苦悩を抱えており、彼らだけでなく彼らのパートナーの心情も当然描かれており、どれもすごくいい話で心をうつ。普通に考えると人の心が読めるだなんて傲慢になりそうなものなのだけど、結局それでも相手の心を操れるわけではなく、他人の気持ちに一喜一憂する一人の人間だということが浮き彫りになっていると思う。

次男の和正はいじわるな性格をしており、長男の光正のことを一途に想い続ける女の子をからかいつづけていやなやつだと思われるのだけど、自分がその女の子のことを好きなことに気づく。長女の茂子はお高くとまった美女なのだけど、学生の頃から広い心を持った男と友達付き合いをしていて、臆病なので恋人同士になれずに悩む。

あー、こうして改めて説明してみるとやはりこれは非モテの物語だ。実際にモテているかどうかは関係なく、自分は意中の人に好かれないかもしれないと悩む時点でこれはもう非モテなのだろう。逆にモテなくても、まあいいやしょうがない、次の相手にアタックしようと思うような人は非モテではないんじゃないかと思えてきた。そういう人の方が結果的に交際人数は多いだろうし。

そんなわけでこの作品は笑いあり涙ありの名作で、どんな人にも勧められる素晴らしい作品だと思う。いや、たぶんこの作品をつまらないという人は、非モテじゃない人なのだと思う。
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