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ずっと続く米国の選挙不正疑惑
前回のアメリカ大統領選挙でバイデン陣営が大規模な選挙不正を行ったのではないかとの疑惑を報じた作者が、選挙の終わったいまも選挙制度を不正しやすいものに変えようとする民主党に対して、連邦政府を抑えられた共和党が州政府レベルで対抗していることを報じた記事。

作者の田中宇は元共同通信の記者でマイクロソフトのMSNジャーナルの編集を経てフリーで独立し、ノンフィクション作家として本を出しつつ海外メディアの記事を読み漁りながらまとめ記事を書いて有料発信している人。無料の記事もあって自分はそれしか読んでいないが今回紹介するのはその一つ。

民主党の選挙不正の手段は主に郵送投票によるものだと言われており、今回さらに人々のためと称して本人確認をもっと簡単にしようとしているらしい。アメリカの面白いところは、連邦政府の下に州政府があるのだけどかなり独立しており、法律なんかも独自に制定できる。共和党は自分たちが優勢な州で不正しにくい選挙制度に変えていっているのに対して、今後民主党は連邦法で抑えようとする流れになるだろうと言っている。

そこからさらに話が進み、そもそも世界最強の民主主義国家であるアメリカがなぜこんな貧弱な選挙制度を維持しているのかという疑問を挙げており、結局のところ二大政党制は談合政治なんだと言っている。その談合がなぜ崩れたのかというと、エスタブリッシュメント(既得権益層)やニューエコノミーや軍産複合体といったアメリカの民衆から収奪している勢力に対して、トランプがアメリカファーストを掲げて抑え込んだことで民衆の高い支持を得たから。

ちなみに日本はどの政党が政権をとっても結局官僚独裁体制なので逆に選挙制度がしっかりしているらしい。政党が選挙不正して大勝してしまうと官僚機構を無視して政治を行えるようになってしまうから。

私たちのうちのほとんどは民主主義が当たり前の時代に生きているので感覚が分からないかもしれないけれど、民主主義は民衆の勝利の結果というだけでなく権力者のためのものでもあるということ。「みんなが決めたことだから」という題目で結局のところ権力者が力を持っている。今回のアメリカの話はそんなことを改めて思い知らされた。

昔は日本にも身分制度があって士農工商があり、さらに武士はお殿様に仕えていたりした。いまは人間みな平等で、労働者はそれぞれ自分の意志で好きな企業と平等な雇用契約を結んで就労していると思っているかもしれない。しかし実際には私たちはお金に縛られ、なんらかの企業に仕えなければならないか、自営業としてやっていくにも誰かしらに頭を下げなければならないことが多い。下っ端として働く人もいれば、何百人何千人と人を従え女をはべらせ贅沢に暮らしている人もいる。才覚があって世の中に貢献していればそれでいいのだけど、必ずしもそうでないならば身分制度とどこが違うのだろうか。

いまの日本では普通選挙が行われているけれど、落選すれば数百万の供託金を没収されるし、小選挙区制なので一番票を取った一人しか当選できないし、地盤カバン看板といった人脈か金か知名度がないと得票できないので、民主主義があまり機能していないように見える。自民党は一度下野したけれど民主党がひどかったのは民主党のせいだけではないように思う。

話を戻すと、今回の記事では触れられていないけれど、トランプが高い支持率を得ているのは外国に対して強い態度を示したからというだけでなく、アメリカを根拠地としながらアメリカの民衆のことをロクに考えていない巨大な国際企業に対しても圧力を掛けたからだ。人件費の安い海外に逃げた製造業に対して高い関税を掛けるだとか、アメリカ本土に工場を建てろと要求するだとか、民衆のためになる政治をした。それだと困るネット大企業や既存メディア企業がトランプを妨害し、SNSに投稿された記事を検閲したり自分たちに都合の悪いニュースを報じないばかりかフェイクニュースだと言って封殺したりした。もちろんトランプや共和党が正義というわけではなく、民衆からの支持という民主主義の基本に立ち返りながらなにより自分たちのために働く政治家だ。

そんな背景を前提とすると、なぜアメリカが急に中国を脅威に思い始めたのか分かる気がする。中国が進めている極端な管理社会は、自分たち(といっても一部のニューエコノミー企業)が進めている情報管理による隠然とした支配よりもあからさまで間違いなく強くなることが分かってしまったからだ。実際中国はGoogleやFacebookを締め出している。共産主義が国際金融資本を締め出したように。しかしいまさら中国のことを権威主義だと罵っても、自分たちだって民主主義が一部の権力者しか利していないじゃないかという話になる。

作者の一連の記事を読むとアメリカはおそらく負けると言っている。正直まだ自分は半信半疑で、というのも中国はこれまで技術を盗んできただけだった。論文の数が飛躍的に増えているといっても互いに引用し合ってスコアを上げているだけなんじゃないかという疑念が晴れない。世の中を変えるような発見も現代中国から生まれただろうか?とはいえ製造業の特にハイテク分野はもう空洞化の激しい日本を追い抜いたんじゃないかと言われている。

一つ疑問として、アメリカが負けて中国が勝ったらニューエコノミーの人たちはどうするのだろう。GAFAMは中国を盟主とした管理社会の国々では共産党の要求を飲まなければ活動できない。それでも自由主義同盟の民衆からの収奪を続けるだろうか?作者の紹介する説によるとネット大企業は二大政党制の談合に戻すことを望んでいるんじゃないかと言っている。民間企業にとってみれば国が強すぎても弱すぎても困るので妥当な見方だと思う。

作者は別の記事でアメリカがQEつまり量的緩和により金融システムを無理やり延命しようとしておりいずれ破たんすると言っているが、大量に刷られたお金が証券から逃げる先がなければバブルは崩壊しようがないと思う。日本の土地バブルが弾けたのは量的緩和ではなく借金で資金を調達したからだった。現物資産や仮想通貨にでも流れ込むんだろうか。たとえばあなたが10億円もっていて株や債券に突っ込んでいたけれど近いうちに暴落することが分かったとしたら代わりに何に突っ込むだろうか?ちなみに現金として持っていると量的緩和が続いて価値がどんどん下がっていく。たとえバブルと分かっていても証券を持ち続ける気がしてならない。アメリカの金融システムが破綻する未来がまだ見えない。非米経済圏が勝利するという単純なことなのだろうか。いまのところ大して魅力のある商品があるようには思えないのだけど。

これは自分の能天気な予測なのだけど、中間層から収奪し続けるチキンレースがどこかでいずれ止まるような気配も一応漂ってきた。富裕層への増税が実現するのか、法人税の値下げ競争を国際協調で止めることができるのか、タックスヘイブンをある程度でも潰すことが出来るのか、ちょこちょこ希望みたいなものも出始めているように思う。

それはともかくとして、作者が立てた予測によるとアメリカは今後、議会制民主主義を壊して独裁を企む民主党と、なんとか選挙制度を守って民主主義の力で権力の座に返り咲こうとする共和党との仁義なき戦いが続くと言っており、その主張はとても真実味があって戦慄した。作者が踏み込んでいないところまで踏み込むと(別の記事でかなり踏み込んでいたのを見た覚えもあるけど)、この民主党のやり方を裏で中国が操っているんじゃないかと思えてくる。日本もこの戦いに巻き込まれるのは必然であり、今後の展開に目が離せない。世の中がどうなっているのかを見る上で、作者のようなガイド的な存在は欠かせないと思うので見てみてほしい。
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