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アメリカのヘヴィなプログレッシブロックバンドDream Theaterの2ndアルバム。ヴォーカリストとして新たに元オペラ歌手のJames LaBrieを迎え、バンド名「夢劇場」にふさわしく様々な曲想を描きつつ、プロデューサーの方針によりこのジャンルにしてはとても聴きやすいのが特徴。

確か最初は図書館で借りたんだったと思う。一回二回と聴いたときは特に引っかかるところもなく聴き終わってしまったのだけど、三回目に聴いていたときに急にこれはすごいと覚醒し、以来CDを買い譜面を買い実際に演奏したり打ち込んだりして愛し続けている。ちなみにこの経験により自分はどの音楽もなるべく三回は聴くようにしている。

一曲目のPull Me Underはこのグループの中でもっとも定番の曲で、遊びが少ない中で特徴がよく出ていると思う。クリーントーンのギターから静かに始まったかと思うと力強いディストーションギターがリズムを刻み、比較的長いイントロのあとにやっとヴォーカルが入ってくる。歌がAメロBメロ(?)と続いたかと思ったらいったん引っ込んで間奏が入る。でサビに向けて激しく歌い上げつつ盛り上がるバッキング。それがサビで解放されてまた間奏。2番(?)は1番を短縮した感じだけどCメロっぽくて別の雰囲気がする。で曲が落ち着いたかと思ったら粛々とキーボードソロとギターソロが続き、最後にサビもう一回とアウトロで終わる。

あんまり曲の構成を説明してもしょうがないのでこれだけにするけれど、要は「イントロ長い」「間奏で歌がちょくちょく止まる」「曲が展開してめまぐるしく変わる」「ソロパートを存分に楽しめる」のがこのバンドの特徴だと思う。

二曲目のAnother Dayはうってかわってストレートなバラードになっていて、ヴォーカルのJames LaBrieの歌声を間奏に邪魔されず(笑)存分に楽しめる。この人は元オペラ歌手と言うけれどさすがにオペラっぽい歌い方はしておらず、豊かな声量により余裕のある歌いっぷりをしている。でも自分はあんまりこの人の歌が好きではなくて(!)、表情豊かに歌っているときもあるわりになんか声が画一的に感じられてあんまり面白くない。1stアルバムのときにいたCharlie Dominiciは典型的なハイトーン・ヴォーカルで声域も狭くて声を振り絞ってだしている感じがしてあまりうまくなかったのかもしれないけれど、一生懸命歌っていて熱量を感じられるところは良かったと思う。それと比べるとJames LaBrieはなんだろうロックの魂(?)に欠けているような感じがしてならない。

三曲目のTake the Timeは長い曲で、すごく明るくてハッピーな感じ。縦横無尽に曲が展開し、拍子が変わり、各パートが奔放に競演する。このバンドの特徴の一つにユニゾンを多用するというのがあって、特にこの曲ではギターとキーボードとが高速で同じフレーズを奏でながら途中でハーモニーに変わるところが圧巻。こういうのは曲を第一に考えているバンドじゃないと出来ないしやらないと思う。メンバーの多くがバークリー音楽院などに在籍していたことがあり、技術的にも理論的にもしっかりしたバックグラウンドを持っている。

四曲目のSurroundedはちょっと変化球が仕込まれたバラード。変拍子や曲の遊び要素が分かりやすく使われていて聴きやすい。

五曲目のMetropolis, part I: The Miracle and the Sleeperはこのアルバムを代表する名曲。映画音楽っぽくて切ない感じがする前半の歌と、楽器陣だけで盛り上がる長大な間奏、で最後にちょろっと歌があって終わる。唯一ベースソロがあり、韓国系アメリカ人のJohn Myungがベースなのにタッピングを披露している。この人は普段は曲に忠実に演奏しており、やたらと技巧を見せつけたりせず奥ゆかしい。三本指で弾くのが特徴で自分もマネてみたけれど、素人がやってもリズムが崩れるし音の粒が揃わなくて聞き苦しい。

このバンドは長いこと活動していてスタジオアルバムはもう15枚も出しているのだけど、いまだにこのアルバムやこの曲を超える作品は出せていないと考えているファンが自分も含めて多く、やはりこの曲を聞くとその理由がよくわかる。曲の展開が素晴らしいし、楽器同士の掛け合いが見事なのだ。以降の曲を聞くと、曲はつぎはぎな感じがするし、楽器同士は協調よりもソロで技巧重視になっていく。

ファンの多くはキーボーディストのKevin Mooreが抜けたせいだと思っている。この人は次の3rdアルバムを仕上げたところでバンドを抜けている。確か3rdの時点でバンドの方向性と合わなくなっていたんだったと思う。このバンドは基本的にはヘヴィメタルバンド(?)なのでギンギンのギターとかズンズンのベースとかドコドコのドラムがメインなのだけど(?)、キーボードというのは曲を色彩づけるための重要なパートだったのだと思う。その後バンドはDerek Sherinianを経てJordan Rudessといういずれも実績のある技巧派のメンバーを入れて続いていくのだけど、以前あったような曲の豊かさがどこか失われたような感じがする。

六曲目のUnder a Glass Moonはテンポの速いヘヴィな曲で、正直自分は最初それほどいいとは思わなかったのだけど、ギターのうまい友人がこの曲を一番好きだと言っており、このアルバムの中でギターソロが一番長くて面白い曲になっている。ギターのJohn Petrucciはなんでもできる万能型のギタリストなのだけど、逆に言うと特徴がなくて楽曲に忠実に弾く人といった感じ。フルピッキングを多用するのはChris Impellitteriっぽいけれど、スウィープなどなんでもやる。手癖もないので、いかにもこの人といった感じのフレーズとかが全然なくて逆にびっくりする。

七曲目のWait for Sleepは透明感のある変則的なピアノが特徴的な短いバラードで、独特の雰囲気があって魅了される。シーツを頭に掛けるという部分だけ歌詞が頭に入ってくる。言い忘れていたけれど自分はごく一部の例外を除いて洋楽は歌詞を理解しようと思わず曲だけ楽しんでいる。これだけ好きなバンドなので歌詞もじっくり読んだことがあるのだけど(翻訳されたものを)、ちょっと哲学的だなと思うだけで全然面白くなかったのでやめた。

最後の曲Learning to Liveはこのアルバムの中で一番長い曲で、生き方を学ぶという重そうな内容らしいけれど雰囲気を楽しむだけだった。歌のパートはなかなかいいんだけど、間奏とか展開とかがちょっと散漫な感じがしてそれほど好きになれなかった。でも普通にいい曲だと思う。フェードアウトでアルバムを締めるのがいい。

ドラムのMike Portnoyの紹介を忘れていた。このバンドの特徴どおり、とにかくうまくて正確な人で、プレイスタイルとしてはいわゆるツーバスつまり両足でキックドラムを叩く力強さと、複雑なドラムセットを器用に叩きこなすこと、変則的なリズムを難なく叩くことだろうか。

いまでも年に一回ぐらいは聴いているのだけど、まったく色あせていない。一生聴き続けると思う。
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