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【隻狼-SEKIRO-】やがて玄人になる。
フロムソフトウェアの高難度アクションゲームの実況解説動画で知られる「ふぅ」氏が、発売日から「SEKIRO: Shadows Die Twice」を初見でプレイして編集した動画。戦国末期の架空の国「葦名」で忍びとして育った「狼」が「竜胤の御子」九郎のために戦う。

最初ホロライブ所属VTuber博衣こよりがプレイした配信を見て、まあ沼ってるなあ(難儀してるなあ)と思いながら前半の大ボスとの四時間にわたる戦いを見守った。こよりは理系なためか論理思考が得意でゲームのシステムをわりと的確に掴んでいったと思うのだけど、最初はなかなか手がついてこなくて苦労していたように見えた。

次に同じホロライブの天音かなたの配信を見たのだけど、第一回で中ボスの赤鬼になんと三時間も掛けたあげく結局倒せなくてヘラっていた(精神的に参っていた)。リスナーからのさまざまな助言を素直に聞きすぎて消化しきれていなかったように見えた。それでも最終的にはなにか掴めたみたいで、第二回の最初であっさりと赤鬼を倒してみせてからは比較的順調に攻略を進めていった。ただしシステムを頭で理解するというよりは肌で感じて動いているみたいだった。仙峯寺のギミックボス(仕組みが分かれば簡単に倒せるボス)はまったく理解しないままクリアしていて笑った。

この二人が苦労していたのでどんだけこのゲームが難しいのか気になり、ついには自分も買ってしまった。あらかじめ配信で見ていたおかげもあってこの二人よりは順調に攻略できたのだけど、そもそもこのゲーム自体にも問題があるんじゃないかと思うようになった。そこでフロムゲーの実況解説動画の第一人者(?)である「ふぅ」氏の動画を見てみることにしたのが今回紹介する動画シリーズなのだけど、氏も最初は結構しょっぱいプレイをしていてウケたw

氏もかなたそ(天音かなた)が苦労していた赤鬼に苦戦していた。同社のソウルシリーズなんかを相当やりこんでいる氏ですら赤鬼の掴み技に何度も地面に叩きつけられて死にまくっていた。ついでに言うと、ゲームのシステムを掴んでからも、二度目に登場した赤鬼にまたやられまくっていたw

自分も赤鬼と戦ってみたのだけど、確かに掴み技はいやらしかったものの、普通に二回か三回で倒すことができた。そこまで強い敵ではなかったと思う。ちゃんと弱点の「火吹き筒」を用意したのも大きかったと思う。その「火吹き筒」をなんと三人とも使っていなかった(!)。入手のためのヒントはあったんだけど、導線が弱いと思う。ネットで調べてみたらこの赤鬼でこのゲームを放り出した人がそれなりにいるみたいだった。

なぜそうなったのかは順を追って説明する必要があると思う。

このゲーム、序盤から雑魚敵がこっちの攻撃をガード(防御)してくるどころか反撃してくる。そういうときは、むやみに攻撃せずにこっちも敵の攻撃を「弾き(はじき)」で受け流して敵の態勢を崩すことが有効となる。敵のHPがいくら残っていても、敵の態勢を崩し切ることにより「忍殺」という即死技を繰り出して倒すことができる。

というのはちゃんとチュートリアルで説明してくれているので分かるのだけど、じゃあ結局どうやって敵を倒せばいいの?となる。それをこの動画で「ふぅ」氏が解説してくれている。整理すると以下のようになる。

(1) まずは攻撃
とにかく敵に斬りかかる。攻撃が当たると敵のHPを減らすことができるし、ガードされても敵の態勢を崩していくことができる。どれだけ敵の態勢を崩したのかは「体幹」ゲージが増えていくことで分かる。HPは減らすものなのに体幹は増やすものなのが混乱を招くけれど、そういうものだと割り切るしかない。

(2) 反撃されたらガードまたは弾き
敵がこっちの攻撃を弾いてきたら、こっちは少しの間攻撃できなくなってしまうので、その隙に反撃される。SEKIROの難しいところはここが分かりにくいことだと思う。説明が全然足りていない。敵から反撃されてもこっちが攻撃を続けようとすると、その前に敵からザクザク攻撃を受けてやられてしまう。だから、このときガードまたは弾きをする必要がある。ガードはボタン押しっぱなしでできるので簡単な反面、敵の攻撃を受けることでこっちの体幹ゲージが増えてしまう。弾きは敵の攻撃に合わせてタイミングよくボタンを押す必要がある代わりに、成功すると敵の体幹ゲージを増やせる上に敵の行動を遅らせることによりこっちから攻撃をしやすくなる。

(3) 敵のHPを削り切るか体幹ゲージをいっぱいにする
最終的に敵のHPを削り切ると敵は死ぬし、そうじゃなくても体幹ゲージをいっぱいにすると即死攻撃をすることができるので敵を倒せる。どっちか敵の弱い方を突けば勝てる。ただし体幹はHPの残量に応じて自然回復していく。つまり結局のところHPを削ることが基本となる。赤鬼みたいな敵は体幹が強すぎるためHPを削るのがメインになるし、逆にテクニカルな敵ほど体幹を崩すのがメインになる。

氏はこの(2)までの流れを葦名城本城の通称「決起会」をやっている中ボスの侍大将松本内蔵佑と戦って初めて掴んだらしい(以来「松本メソッド」と呼んでいるとのことw)。こっちの攻撃が弾かれると赤いエフェクトが出るみたいだった。

さらに(3)までたどりつくにはゲーム後半の「水生のお凛」と戦うまで掛かったらしい。それまでは敵の体幹を狙うのは「長手の百足ジラフ」などの一部の「ギミックボス」(と勘違いしていた)だけだと思っていた(!)。あの居合の達人佐瀬甚助相手にすら地味に削り勝っていたのだからちょっと泣けてくる。

そのせいで氏は当初リスナーからプレイがダサいと批判を受けたらしく(!)、#14でいわゆる「お気持ち」を述べている。ぐだぐだと言い訳しつつ、いちいちリスナーのコメントは読まないなどとかっこ悪いことを言いながら、冷静に顧みて自分のことを「効いていないアピールしている」と自嘲気味に言っているところがおもしろかった。

この件で氏を擁護すると、そもそもSEKIROというゲーム自体が一言でいうと不親切すぎたことのほかに、氏がうますぎてしょっぱいやりかたでも攻略できてしまっていたからだと思う。「蛇の目シラハギ」などを段差でハメようとした(!)のも、氏が本気になってゲームと向き合っていたゆえのことではないだろうか。…と言うと擁護にみせかけた巧妙なアンチみたいで草草の草(大笑い)なのだけど、制作者がプレイヤーにどんなプレイを期待しているのか推測しながらゲームをするのは基本的にはおかしいことだと思う。

まあそれでも氏は最終的にはゲームシステムを大体理解し、エレガントとはいかないまでもすべてのエンディングを回収してトロフィのコンプリートまで行っている。垂れ流しの配信と違ってきっちりと編集しており、一本30分前後の動画が44本あったけれど一気に見終わってしまった。あいかわらず渋い声ですっとぼけた実況をしていておもしろかった。

強制負けイベントである序盤の源一郎戦にも氏は挑戦し、なんと勝ってしまう。それもクリア後じゃなくてプレイ開始してから約4時間後に思い立って始めたらしい。#2に収録してあるので気になる人は見てみるといいと思う。

制作秘話みたいな話もしていた。氏は週末にまとめてプレイし、平日は0時に寝ては3時に起きて毎日動画を編集する生活を続けていたとのこと。アーカイブを見る分には分からなかったけれど、毎日定期的に動画を上げていたのはすごいと思う。ほぼほぼ無編集だったりちょっとカットしただけの回もあったかもしれないけれど、冗長なところはこまめに「弐倍速」「参倍速」にしていて見やすかった。

一方で生配信には生配信のいいところがあって、最初は饒舌に実況していたのに強いボスと戦っているうちに段々と口数が少なくなって緊張感が出てきたり(!)、やっと倒せたときには歓喜と祝福の嵐が飛び交って一体感を感じたりといったライブ感が楽しめる。

というわけでこの動画シリーズは特に最初は制作者の意図に沿った美しい攻略とはほど遠いのだけど、一人のゲーマーが本気でゲームと向き合った記録がきれいに編集されて見やすい形になっているので、今後このゲームをやる気がない人でも気楽に見てみるといいと思う。このゲームの美しいグラフィックスを堪能するにもいいと思う。
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