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育成スキルはもういらないと勇者パーティを解雇されたので、退職金がわりにもらった【領地】を強くしてみる
人の才能を見抜いて育てることに特化した能力を持つ青年エイガだったが、自分自身の能力は頭打ちになったためパーティから追い出される。餞別に辺境の領地をもらった彼は、領地の民を集めて巨大な冒険者グループを育成する。小説投稿サイトに書かれた小説のコミカライズ版。

領主になって領地を発展させる作品が読みたかったので読んでみたら、そんな要素はほとんどなくて期待が外れたけれど、傭兵団みたいなものを経営していく感じになっていてこれはこれでおもしろかった。

領主になるまでが長かった。まずは領地が辺境にあるので行くまでが遠い。途中船で若き商人ガルシアと出会う。着いてみると冒険者に与えられるほどだから人口の少ない農村の集合体みたいなところだった。そこから領主の名義を書き換える必要があるとのことで一度帝都へ行く。便宜を図ってもらった大臣から秘書の五十嵐さんを預かる。

領地では特徴のある村々を順に訪れていき、それぞれに合った政策を考える。でも経営はここまでで、各村から有望株を集めて冒険者として鍛え始める。材木運びの女の子が武闘家の素質を持っていたり、海女をしていた女の子が弓の才能を見せたりする。男もいるけど強いやつは大体女の子になっている。

一方で追い出されたパーティの面々とも関係は続いていく。ずっと友情をはぐくんできたまっすぐな勇者クロス、交際していた魔術師の女性ティアナ、長身の剣士デリー、ロリなツンデレ回復役エマ、攻撃魔法の天才少女モリエ。なんで別れちゃったのかよくわかんないほど仲がいい。彼らとの関係はいろいろな感情が入りみだれながら続いていく。

舞台はファンタジー世界だけどちょっと近代化が進んでいる。冒険者向けの雑誌があって女性記者が取材活動をしている。でもリアルではなくヒロイックな感じで低レベルの敵なら一人でばったばったと無双する。主人公の青年エイガは中級冒険者どまりなのだけど一人で巨大なボスモンスターを倒せてしまう。エイガの領地は東洋風というか日本風の土地「遠雲(とくも)」で神社なんかもある。でもエイガ自身は西洋人っぽくて東洋のものには疎い。

最新話まで読んで話の続きが楽しみだし、作品への没入をさまたげるほど突飛な設定や人物はなかったのだけど、いまいちこの世界や登場人物が好きになりきれなかった。コミカライズによるものなのか知らないけれど人物の掘り下げが浅く感じられた。

主人公の青年エイガは自分がこれ以上強くなれないことにいらだちを感じている。こいつの挫折と成長の物語なのかもしれないけれど、あんまり挫折と向き合っている感じがしない。村人150人の大パーティを運営していくと決めたのに、あるとき急に一人でダンジョンを攻略しにいってしまう。まだまだ割り切れない感情がくすぶっているんだろうか。

勇者クロスはあんなにいいやつに描かれているのになぜエイガと別れる決心ができたのか納得できなかった。また、ティアナのためを思ってこっぴどく振ったエイガと、そんなエイガのことをそれでも想い続けるティアナの感情がちょっとうそっぽく感じた。子供の頃からエイガに親同然に育てられた天才少女モリエの気持ちもシチュエーションに寄っかかっているだけのように思えた。

冒険者ランキング一位の魔法戦士グリコがやたらエイガに執着してきたり、昔仲良くしていた鍛冶屋の娘がしなだれかかってきたり、秘書の五十嵐さんがよくわからないうちにエイガに惹かれていたりと、無節操においしい人間関係を詰め込んでいるようで素直に楽しめなかった。

いま思ったのは、主人公の青年エイガがみんなから好かれる理由みたいなものがもっと欲しかった。たとえば自分を顧みずに周りのことばかり考えてしまうとか。そういうのがないと育成スキル目当てだけってことになってしまう。で、ティアナはエイガのためを思ってパーティを抜けさせようとし、ついでに自分も一緒に抜けて想いを遂げるつもりだったのに突き放されてしまったとか。そういう人間関係を丁寧に描いてくれていたらもっと楽しめたかもしれない。

というわけで産業や文化を発展させていく感じを期待していたら拍子抜けするけれど、傭兵団を運営して百人以上の部隊で強大な敵を倒すような展開が好きになれそうなら読んでみてもいいと思う。
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