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花より男子

袴田泰之監督 (原作 神尾葉子)

まあまあ(10点)
2002年2月26日
ひっちぃ

若い頃の内田有紀に再会できた。もちろん画面の中での話だが。

いきなり余談から入るが、私はこの映画の最初の一分ぐらいのロケを実際に見たことがある。あれは学生の頃だったが、帰宅途中の野川沿いの歩道、対岸に撮影機材があり、それらに囲まれて一人の少女が駆け抜けるシーンを目撃した。私は近視なのでよく確認できなかったが、私の直感が内田有紀だと言っていた。

それを差し引いても、序盤はとてもキツいものがあった。この作品は、いわゆるアイドル映画なので、内田有紀という一人のアイドルをもり立てるためにすべてがお膳立てされている。私は今でもこの若いころの内田有紀が大好きなのだが、それでもこの過剰な演出はまともに直視できない。

この作品には原作がある。原作の方が多分人気が断然高い。原作は少女マンガなので女性向けに書かれている。ところが映画はアイドル映画なので男性向けに作られている。このあたりが難しいところで、多分両方を同時に評価できる人は少ないのではないか。

それでいて、原作と映画とではそれほど設定上の大きな変化がない。いや微妙な違いはある。舞台が高校から大学になったこと。主人公がそれなりにかわいいということになっていること。しかし、驚くべきことにほとんどの設定が変更されていない。それでまったく正反対の映画を作ろうというのだから大したものである。ちなみに、私の記憶ではテレビドラマにもなった。こちらは、主人公にいかにもかわいい系の女優を使っていなかったようなので、原作により近かったと思う。

それにしてもまあ、なんと時代の移り変わりの早いことか。この映画は多分 90年代半ば過ぎくらいの作品なのだが、もう確実に古くなっている。原作をいま読んでも古さを感じさせないのに対して、映画はとてもそうはいかないようである。なにしろ、エンディングが TRF のダンスパーティである。

序盤、内田有紀のアクションが過剰気味なのが、ファンとしても見ていられない。あれは多くのファンが望んだものだったのだろうか。ちょっと暴れすぎ。でも、かわいいアイドルがいじめられるところはなかなか見られるものではないし、よくやってくれたと思う。チョークの粉をあびる内田有紀。バンジーで吊るされる内田有紀。レイプされそうになる内田有紀。どれもいい。監督よくやった。

F4 という、原作ではおなじみの、金持ちエリート坊ちゃんたち、最初に登場したときは「やっちゃった」と思った。オープンカーでキャンパスに乗り付け、周りの女子学生たちがキャアキャアさわぐ。うーん、実写にするとこんな感じになるんだね。まあこんなものか。原作が無謀な設定なだけに、私はよくやっていると思う。特に道明寺の描かれ方は、がんばっていると思う。いくら 90年代でもあのカッコ、裸ジャケットだとかサーカス助手のようなのをそれなりによく着こなしていたと思う。あのちょっと東幹久に似てる役者、全然名前知らないけど、よくまあがんばってた。

一方、F4 の幼馴染で主人公の味方、藤堂静の役者はなんだありゃ。変なイントネーションの日本語をしゃべっているから、外人を使ったのだろうか。あれはないね。一番ナシだと思った。F4 の花沢類も、原作と比べるとナシになるけど、映画の中だけだと一応それなりに小さくまとまっていた。

後半から普通の恋愛ドラマに入る。道明寺が勝手に暴走して主人公を引っ張っていくところは、よく描けていたと思う。反面花沢類がちょっと足りなかった気はする。私は実のところ、この映画の中では、主人公よりも道明寺の方がよく描けていると思う。ひょっとして実はこっちが主人公?でも成立したんじゃないかな。いやこの作品はあくまでアイドル映画なのだけれども。

こう言うのもなんだけど、アイドル映画だけあって、内田有紀以外に変な力学が働いていない分、テレビドラマよりもマシな作りになっていると思う。

でもやはり、内田有紀が好きではないと、とても見れたものではないことには変わらず。原作のファンはこの映画をどう見たのだろうか。

ところで台湾でも独自にテレビドラマ化されたらしい。

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