ニセモノの錬金術師 5巻まで
原作: 杉浦次郎, 作画: うめ丸 (KADOKAWA MFC)
まあまあ(10点)
2026年3月8日
新人の錬金術師パラケルススは転生者で、材料さえあれば手順通りにやるだけでなんでも合成できるスキル「天地万物のレシピ」を与えられていた。生活が軌道にのってきた彼は、スキルの秘密が外に漏れないよう奴隷の少女ノラを買って事業を拡大しようとする。異世界転生ファンタジーマンガ。
表紙の小麦色の肌をした少女ノラの絵がとても肉感的で魅力的だったのと、錬金術という読みやすそうな題材を扱っていたことから読んでみた。おもしろかったけどいろんなところが微妙だった。
主人公の名前は実在した化学者にして錬金術師のパラケルススから取っている。そう名乗るのを気恥ずかしく思っている描写があって、じゃあなんでこんな名を名乗ってるんだと思ったw こいつ自身は日本人っぽいけど転生前の描写がまったくないので違うかもしれない。普通の若者っぽい。
彼のことを日本の若者だと思ったのは彼が非常にお人よしだったから。この世界の奴隷制度はきっちりとした契約で成り立っており、奴隷でもちゃんと働いていればそれに見合った「返済」が行われて奴隷から解放されるようになっている。その返済額は所有者の心理的なものによって決まるため、ノラのちょっとした労働によりお人よしの彼が多大な感謝をするので、ノラはたちまち多額の返済を行うのだった。そんなこともあってノラは彼に対して深い信頼を寄せるようになる。
彼は転生時にアレウスという謎の老人からスキルを二つもらっている。この老人は転生者同士を戦わせて楽しむために全員にスキルをあげているらしい。だからなのか主人公は自分のスキルがバレないよう気を使っている。
ところが彼は性能のいい製品を街で納品してしまい、魔法店の女店主ノルンに目をつけられてしまう。彼女は魔術と錬金術と調理を広く浅く習得している変わり者で、独自の正義感を持っており主人公が悪い人間かどうかを見定めてくる。自分はこいつのことが好きになれなかった。
この作品は作者が商業ものとは別に趣味全開でSNSに連載していたらしい。そのせいなのか知らないけれど、良くも悪くも個人の創造性が生に近い形で出ていると思う。
自分が前述のノルンを好きになれなかったのも、ぼくの考えた最強の女性能力者っぽいチグハグさを感じたからだった。こいつは自分の正義感が強いことについて開き直っており、それに対して自罰的であるにとどまらず他人に自分を罰せさせた上で、それを言い訳にして自由気ままに振舞うといった邪悪な(?)キャラだった。好きな人にはハマるんだろうなあと思いつつも、年取った自分からしたら自分勝手に振舞うのがそんなに怖いんだろうかと思ってしまった。やってることは変わらないのに。
もう一つ、四肢を切断され五感すら奪われた、まるで性玩具として生かされているかのようなエルフの女の子が出てくる。この世界のエルフはエーテル体だったか忘れたけど再生可能なので主人公は彼女を錬金術で再生しようとする。とてもエグい設定でよく商業誌に載ったなあと思う。下半身に触れると自分から股を開くしw
このまま主人公が錬金術師として成功していく話になるのかと思ったら、転生者同士の能力バトルになっていく。他の転生者によって鏡の世界へ引きずり込まれた彼は、そこで同じように閉じ込められた人々と共闘して敵を倒そうとするが…。
主人公は錬金術のスキルしか持っておらず、戦闘能力はあまり高くない。一応錬金術を応用して戦うこともできるんだけど、他の能力者とまともに戦うのは厳しかった。だから能力バトルものとしても消化不良だった。
一方で奴隷少女ノラのほうは呪術師として教育を受けており、彼よりもよっぽど戦闘能力が高かった。彼女の父親はすでに亡くなっているのだけど霊体としてまだ存在しており、呪術的な力で彼女をサポートする。ネタバレになりそうなのでここまでにしておく。
鏡の世界の描写も正直あまりピンとこなかった。これもネタバレになるので詳しいことは書かないけれど、出てくる登場人物への感情移入がしづらいような複雑なしかけがあった。
編集不在だからこそ描けた作品と言えるけれど、自分に刺さる部分が少なかったので、そこをこだわる必要あったの?って思うことが多かった。でも、こういう入り組んだ設定をちゃんと自分の中で読み解いて味わうことができる人にとっては独特で素晴らしいと思うんじゃないかと思った。
実質メインヒロインの少女ノラが主人公の信頼に応えて愛情をこめて付き従ってくれるのも、自分にとってはなんだか主人公の甘えた性格を完全肯定しているようで素直に楽しめなかった。
まあそんなわけでこれは正しくカルト的な作品だと思うので、なにかピンときた人は読んでみるといいと思う。
そういえばこの作者はアニメ化された「僕の妻は感情がない」も描いている。家事をしてくれるアンドロイドと真剣に付き合おうとする男の物語で、アンドロイドといっても廉価版なのであまり人間っぽい感情は持ってないのに、男が真剣に向き合うことで愛情が芽生えてくるという問題作(?)だった。機械が奇跡を起こす前に男が自分の受け取り方で愛を生み出すところがとてもよかったんだけど、その後のギャグ展開が安易すぎて自分は見ていられなくなってしまった。たぶんこの作品が自分に刺さったのは人とは違うところだと思う。
表紙の小麦色の肌をした少女ノラの絵がとても肉感的で魅力的だったのと、錬金術という読みやすそうな題材を扱っていたことから読んでみた。おもしろかったけどいろんなところが微妙だった。
主人公の名前は実在した化学者にして錬金術師のパラケルススから取っている。そう名乗るのを気恥ずかしく思っている描写があって、じゃあなんでこんな名を名乗ってるんだと思ったw こいつ自身は日本人っぽいけど転生前の描写がまったくないので違うかもしれない。普通の若者っぽい。
彼のことを日本の若者だと思ったのは彼が非常にお人よしだったから。この世界の奴隷制度はきっちりとした契約で成り立っており、奴隷でもちゃんと働いていればそれに見合った「返済」が行われて奴隷から解放されるようになっている。その返済額は所有者の心理的なものによって決まるため、ノラのちょっとした労働によりお人よしの彼が多大な感謝をするので、ノラはたちまち多額の返済を行うのだった。そんなこともあってノラは彼に対して深い信頼を寄せるようになる。
彼は転生時にアレウスという謎の老人からスキルを二つもらっている。この老人は転生者同士を戦わせて楽しむために全員にスキルをあげているらしい。だからなのか主人公は自分のスキルがバレないよう気を使っている。
ところが彼は性能のいい製品を街で納品してしまい、魔法店の女店主ノルンに目をつけられてしまう。彼女は魔術と錬金術と調理を広く浅く習得している変わり者で、独自の正義感を持っており主人公が悪い人間かどうかを見定めてくる。自分はこいつのことが好きになれなかった。
この作品は作者が商業ものとは別に趣味全開でSNSに連載していたらしい。そのせいなのか知らないけれど、良くも悪くも個人の創造性が生に近い形で出ていると思う。
自分が前述のノルンを好きになれなかったのも、ぼくの考えた最強の女性能力者っぽいチグハグさを感じたからだった。こいつは自分の正義感が強いことについて開き直っており、それに対して自罰的であるにとどまらず他人に自分を罰せさせた上で、それを言い訳にして自由気ままに振舞うといった邪悪な(?)キャラだった。好きな人にはハマるんだろうなあと思いつつも、年取った自分からしたら自分勝手に振舞うのがそんなに怖いんだろうかと思ってしまった。やってることは変わらないのに。
もう一つ、四肢を切断され五感すら奪われた、まるで性玩具として生かされているかのようなエルフの女の子が出てくる。この世界のエルフはエーテル体だったか忘れたけど再生可能なので主人公は彼女を錬金術で再生しようとする。とてもエグい設定でよく商業誌に載ったなあと思う。下半身に触れると自分から股を開くしw
このまま主人公が錬金術師として成功していく話になるのかと思ったら、転生者同士の能力バトルになっていく。他の転生者によって鏡の世界へ引きずり込まれた彼は、そこで同じように閉じ込められた人々と共闘して敵を倒そうとするが…。
主人公は錬金術のスキルしか持っておらず、戦闘能力はあまり高くない。一応錬金術を応用して戦うこともできるんだけど、他の能力者とまともに戦うのは厳しかった。だから能力バトルものとしても消化不良だった。
一方で奴隷少女ノラのほうは呪術師として教育を受けており、彼よりもよっぽど戦闘能力が高かった。彼女の父親はすでに亡くなっているのだけど霊体としてまだ存在しており、呪術的な力で彼女をサポートする。ネタバレになりそうなのでここまでにしておく。
鏡の世界の描写も正直あまりピンとこなかった。これもネタバレになるので詳しいことは書かないけれど、出てくる登場人物への感情移入がしづらいような複雑なしかけがあった。
編集不在だからこそ描けた作品と言えるけれど、自分に刺さる部分が少なかったので、そこをこだわる必要あったの?って思うことが多かった。でも、こういう入り組んだ設定をちゃんと自分の中で読み解いて味わうことができる人にとっては独特で素晴らしいと思うんじゃないかと思った。
実質メインヒロインの少女ノラが主人公の信頼に応えて愛情をこめて付き従ってくれるのも、自分にとってはなんだか主人公の甘えた性格を完全肯定しているようで素直に楽しめなかった。
まあそんなわけでこれは正しくカルト的な作品だと思うので、なにかピンときた人は読んでみるといいと思う。
そういえばこの作者はアニメ化された「僕の妻は感情がない」も描いている。家事をしてくれるアンドロイドと真剣に付き合おうとする男の物語で、アンドロイドといっても廉価版なのであまり人間っぽい感情は持ってないのに、男が真剣に向き合うことで愛情が芽生えてくるという問題作(?)だった。機械が奇跡を起こす前に男が自分の受け取り方で愛を生み出すところがとてもよかったんだけど、その後のギャグ展開が安易すぎて自分は見ていられなくなってしまった。たぶんこの作品が自分に刺さったのは人とは違うところだと思う。
[参考]
https://comic-walker.com/detail/KC_004800_S?episodeType=first