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哈日族 なぜ日本が好きなのか

酒井 亭 (光文社新書)

いまいち(-10点)
2005年3月26日
ひっちぃ

日本大好きな若者たちが突如現代の台湾に出現したことの背景を、現地の日本人学者や台湾人学者の論文を拾って作者が分析している本。

私はこの本にフィールドワーク的な内容を求めていたのだが、その期待は裏切られた。新聞の文化面程度の内容しかない。作者は台湾語に韓国語も出来るそうで、現代の台湾模様を生で伝えてくれるものとばかり思っていたのだが、これは私の勝手な願いだったのだろうか。

論文を集めてきて要点を紹介してくれるという仕事自体は非常に堅実で価値があるやり方なのだが、どうにもこれらの論文自体の価値が高いとは思えない。社会科学の論文はなんだかいい加減に思えてしまう。それに修士論文が多い。まず統計資料からして杜撰なように見える。アンケートの取り方がいまいちだから、そこから得られる数字に強い意味を見出せない。そこから導き出したつもりの結論も説得力がない。さらに、調査研究内容とかけ離れた作者の想像で結論を述べている。

その上、台湾の歴史から大上段に構えて長々と語っているのには、正直私はうんざりした。こういった内容は類書に譲るべきだろう。作者が本当はこっちを語りたかったのではないかと思えるくらい力が入っている。

退屈と言うほど詰まらない本ではなかったが、読んでも読まなくても良かった本だった。あえて嫌味を言うなら、社会科学というものは本当に価値があるのだろうかと改めて考えさせられた。

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