いわゆるシリコンオーディオプレイヤー。他との差別化として、アップルの商用音楽サイトとのシームレスな連携と、大量購買によるハイコストパフォーマンスが挙げられる。もちろんデザインの良さも。

ここ最近、意外な人まで iPod を買ってたりするのを見かけることが多い。むしろ私は買うのが遅かったほうだと思う。MPMANの頃に手を出して以来のシリコンオーディオ派の私なのだが、充電池が劣化しているという以外に不満がなかったのでそのまま古いMPMANを使い続けていた。

というか東芝の開発した比較的廉価な小型HDDのおかげで、もはやシリコンオーディオプレイヤーという呼称は使い道を狭められてしまった。一般になんと呼べば良いのだろう。デジタルというと光学式ドライブとかぶる。

iPodと言えばその小型HDDを搭載しているモデルで、洗練されたデザインと操作性でたちまち人気を博したのだが、シリコンメモリのほうでもアップルは十分仕事をしたと思う。従来のものにはない洗練されたデザインに、小型軽量、十分なバッテリー性能、その上さらに価格競争力まである。とどめにUSBメモリにもなる。スペックだけ見れば他社の製品なんて比較対象にすらならない性能を持っている。強いて挙げるなら、単4乾電池が使えるソニーのネットワークウォークマンだとか、著作権フリーの形式である Ogg Vorbis が使えるプレイヤーだとか、いくつかあるが、それすら大したポイントにならない。

開発に際してマーケティングを行った結果、選曲なんてどうでもいいという人が多かったのでシャッフルつまりランダムプレイをメインにした機能に絞っているところは賛否分かれるかもしれないが、私はテキトーに曲を放り込んでそれで十分だ。たかだか 1GB つまり CD 16枚分程度なら、選曲なんてしてもしょうがないと思うし、母艦からランダムに放り込んで聞くというスタイルが一番だ。付属のソフト iTunes に任せれば一発でやってくれる。ありそうでなかった機能だと思う。

さてそろそろ欠点を挙げる。

最大の不満は、ネットワークドライブをライブラリに設定しておいて、ネットワークドライブを切断してしまうと、ライブラリだけでなくなんとiPod内の曲まで無効になってしまう。よくわからない仕様だ。著作権を守るためだとしても、ちゃんと別の仕組みが備わっているのだから十分だと思うのだが…。

アップルだか販売店だか本当のところどっちが推奨しているのかわからないが、追加サービスで数千円払うと無償保証期間が1年から3年に伸びるらしい。こういうサービス自体はお客さんに選ばせればいいと思うのだが、私が買ったヨドバシカメラのアップル関係売り場では、さもこのサービスを申し込まないと安心して使えませんよと言わんばかりの宣伝文句にうんざりした。

1年たったら壊れるか、そうでなければバッテリが極度に磨耗して使えなくなる可能性がある、なんて言われたら、高い買い物なんてしたくなくなってしまう。それに数千円払って伸びるのはたった2年だ。携帯する製品なので仕方ないと言うかもしれないが、いったい全体どうなのだろう。安価なものでも一万円以上するなら3年は使いたいし、高価なものなら最低でも5年は現役でいてもらわなければならないというのに。

というわけで、この追加サービスの文句を読むまでは、私は iPod の大容量モデルを買おうかと考えていたのだが、一気に萎えて一番安いモデルを選んだ。

私の友人も指摘していたが、ソフトウェアのインストール時に出てくるアンケートがうざい。個人情報を収集しているというだけでもあざといのだが、その上わけの分からない微妙な質問に答えさせられる。質問内容を思わずじっと見てしまった。この質問内容を考えたやつはよっぽど無能な人間で、アップルに大きな機会損失を与えている。

この製品の大きな魅力は、安い割に比較的容量があってデザインが良い。これに尽きると思う。かなり完成された製品だと思う。アップルストアなんて私にとってはいらない。将来的に利用するかもしれないけど。単品コンポがある限り、私はCDを買い続ける。