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ダィテス領攻防記 コミカライズ版

原作: 牧原のどか, 漫画: 狩野アユミ, キャラクター原案: hi8mugi (アルファポリス レジーナCOMICS)

傑作(30点)
2026年6月16日
ひっちぃ

オウミ王国の廃嫡された元王太子マティサは、北方のドン詰まり公爵領ダィテスに押し込められる形で婿入りしたが、婚約相手は元日本人の転生者ミリアーナ嬢で、彼女の知識により公爵領は陰でとんでもない発展を遂げていた。また彼女は度を超えたBL愛好家だった。ファンタジー小説が原作のコミカライズ版。

一時期領土経営ものの異世界作品を漁っていたときにこの作品を見つけて読んでとてもおもしろかったのだけど、続きが出ていたことに長いこと気づかず、久しぶりに調べてみたらいつのまにか完結していたので最後まで読んでみた。おもしろかった。

ただし原作小説のほうは原作者が交通事故で亡くなって未完のままとなっている。続きを小説で読みたい気もしたので残念に思った。

元王太子マティサには腹心の部下コシスがいて、マティサが王太子の身分を剥奪されたあとも付き従っていた。この二人は実は体の関係もあるBLつまり男同士のカップルだった。それを知ったミリアーナがヨダレをたらしながら詳しいことを聞き出そうとするのがウケたw

ミリアーナはファンタジー世界に転生してからというもの娯楽とくにBLに飢えており、そのため産業を発展させてBLの文化を広めようとしていた。まさに腐った「本好きの下剋上」(香月美夜)だった。

もちろん彼女はそれだけではなくて、領民の生活のことを第一に考えていた。だからマティサが来たことにより領土が戦乱に巻き込まれることを恐れており、そんな彼女にマティサは惹かれていくのだった。

マティサはコシスとそれほど日常的にべったりというわけではなくて、きっかけはそもそも部隊の中で孤立していたコシスを守るためだった。だから彼の愛情はその後ミリアーナに向かっていくんだけど、一方のミリアーナは腐女子なのでマティサがコシスと愛し合うのを望んでいる。それなのにマティサが無理やりミリアーナをかついで寝室まで連れて行くのが超ウケたw

マティサがミリアーナのおこなったことに驚嘆するたびに「嫁ぇ!」と叫ぶのがおもしろかった。でも日本語的には嫁とは家に来た女という意味なので、結婚する当事者同士の呼称ではないし、ましてや入り婿のマティサが言うのはヘンだった。

ダィテス領の進んだ技術で無双するのがメインかと思ったら、基本的に技術は隠して外に出さないようにしているため、主に生産関連の技術を小出しにして外交メインで立ち回っていた。

ミリアーナは一度見たものをなんでも記憶してしまうらしいんだけど、それでも自動車とかトランシーバーとかまで実現してしまうのはちょっとテクノロジーのことが分かってないのかなと思った。彼女は転生前に興味がわいて機械工学や電子工学の本を読んで身に着けたのかもしれないけど、特に自動車なんかは部品点数も多いしエンジニアリングの比重も高いので知識だけでは再現不可能だと思う。まあガソリンじゃなくて魔石かなにかで動いてるらしいけど。

舞台となっているオウミ国は日本の古い地名「近江」に似てるけど全然関係ないみたいで、純粋に西洋風の国だった。四方を敵に囲まれているため、戦争や外交で守っていかなければならなかった。ちなみに南の方に東洋風の国があってそこから作物を輸入する話もあった。

マティサが廃嫡されてから新たに王太子となったのは腹違いの弟ジュリアスで、それを画策したのは二人の実母である王妃だった。なんかこいつはマティサのことが嫌いらしい。かわいくて言うことを聞くジュリアスを立ててハク付けするためにわざわざ部隊を率いて隣国を攻めさせる。しかしジュリアスはマティサと違って温厚な性格で、軍を率いることなんてとてもできそうにない男の子なのだった。しかもマティサとも仲がいいという。

そんなこんなで内に外に問題を抱えているのでいろんなできごとが起きてそれを解決していかなければならなかった。マティサは廃嫡されたものの軍を率いるだけでなく「加護持ち」として一人で高い戦闘能力を持っていたので、廃嫡されてからも担ぎあげられそうになる。

ミリアーナの侍女クラリサはとてもきれいな西洋風の美人なのに、ミリアーナの影響で腐ってて草だった。普段はキリッとしているのに、BLの話をしはじめるとミリアーナと一緒にヨダレを垂らしていて笑った。

隣国の王にヤバい男色家がいてあまり好きになれなかった。たぶんこれは読んでる自分が男であるところからくる生理的な嫌悪感が原因かもしれないので、女性読者にとってはいいキャラなのかも。

小説は残念ながら作者急逝で未完となってしまったけれど、このコミカライズ版はキリのいいところで割ときれいに完結している。この手の異世界転生ものってつまらなくなるまでダラダラと続いていくことが多いので、ちゃんとおもしろいうちに終わらせたのはよかったと思う。ただ、誘拐のエピソードで最後を盛り上げてたのはよかったんだけど、その話自体はそこまでおもしろくなかったし、その前にジュリアスも誘拐されてたのでまたかとなった。

絵はたぶん少女マンガ風の絵だと思う。普通のイケメン男性キャラは割と良かったと思うんだけど、ちょっとクセのあるタイプのキャラが十分描き切れていないように感じた。女性キャラはバラエティ豊かでよかったけど、絵を見るだけで惹かれてしまうほどのキャラは強いてあげれば侍女クラリサぐらいだった。ミリアーナの表情がクルクル変わるのは楽しかった。

ヒロインが時々ヨダレを垂らすのが気にならなければ読んでみるといいと思うw

[参考]
https://www.alphapolis.co.jp/manga/official/725000154/1391

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