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骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中 コミカライズ版 15巻まで

原作: 秤猿鬼, 作画: サワノアキラ, キャラクター原案: KeG (オーバーラップ ガルドコミックス)

まあまあ(10点)
2026年6月28日
ひっちぃ

オンラインゲームで聖騎士のような「天騎士」ビルドの最強キャラを育ててきた男がプレイ中に寝てそのままゲームの世界に入ってしまう。ふざけて着せていた骸骨のアバターが脱げず面倒なことになるが、ダークエルフの女戦士アリアンと出会い彼女の同胞救助活動を手伝うようになる。ファンタジー小説が原作のコミカライズ版。

2022年にアニメ化されたのを見たのが先か、このコミカライズ版を読んだのが先か覚えていないんだけど、骸骨騎士様がおでかけ感覚で冒険するという題にとっつきやすさを感じて手に取った覚えがある。ただ、基本的にバトルものだったせいかだんだん展開が遅くなって一時期離れたんだけど、気がついたら続刊がそこそこ出ていたので改めて読んでみた。割とおもしろかったけどやっぱり飽きた。

いきなり幼女のレイプシーン(!)から始まるんだけど、未遂で阻止した彼はその後アークと名乗り、右も左もわからない状態でこの世界をさまよう。キャラは強いのでその点は問題ないんだけど、どうやって生活していけばいいのか手探りし、とりあえず冒険者になって初級クエストからこなしていくという定番の流れだった。

その後、エルフの子供たちを捕まえている最中の奴隷商人たちを見つけてどうしようか考えているうちに、エルフの女戦士アリアンが名乗りを上げて助けに現れるも、子供たちを人質にとられピンチになったのを見て助太刀し、そのまま彼女の信頼を得て仲間になる。

この作品の独特なところは、主人公アークの実際の年齢は知らないけれど最初から全身を覆う甲冑を着ていたため少なくとも周りからはベテランの騎士と思われ、それに合わせてそれっぽい口調と落ち着いた物腰で振舞っていることだと思う。ただ、その後はアリアンとの出会いがもとでエルフたちと仲良くなり、エルフは長命種なので仮にアークが四十代だとしても彼らからしてみれば若者に見えるようなのでそのように扱われる。アリアンは若い女だけどアークを悪からず思っている。

アークは「天騎士」ビルドだし実際にはさらに上の「教皇」なので最強クラスの聖魔法が使える。回復なんてお手の物で防御魔法も強力で周りを驚かせる上に、なんと条件付きながら死者の蘇生までできる。といっても生き返らせる相手に生命力がないとすぐに死んでしまうので死にたてのホヤホヤぐらいじゃないとダメっぽい。さらに転移魔法(長短テレポート)まで使えるというチートぶりだった。

アークにはゲームの世界を抜け出したいという願望もないので基本的にやることがない。だからエルフの女戦士アリアンや、そのあと出会うことになる獣人の女忍者チヨメの手助けをするようになる。彼女たちはさすがに全面的にアークの助けを借りることには抵抗があるのか、アークの方の望みにも協力したがるので、仕方なくアークは自分の骸骨姿を呪いということにして、その呪いを解除するための方法を探しているというロールプレイをそのまま伝えて協力を求めることにする。こういうのってちょっとしたことかもしれないけれど、各キャラの気持ちに関わることなのでキャラへの思い入れに少なからず影響があっていいと思う。一方的に助けてくれる人間ってやっぱり気持ち悪いというかそもそもありえないので。

最初は「王国」の一領主がエルフとの盟約を破ってエルフを奴隷化していたのでそれをなんとかするという話だったんだけど、どうやらその背後で「教国」というエルフや獣人を使ってヤバい生体実験をしている国が動いていることがわかり、彼らと全面戦争になる。その「教国」には「教皇」というアークとよく似た術を使う王がいた。どうやらこいつはアークと同じくゲームのプレイヤーっぽくて、アークと違ってゲームのイベントのつもりで他国に侵略行為を行っているのだった。

アークたちは行く先々で困っている人を助けたことから、周辺諸国の王侯貴族やエルフの里の長老や忍者の里の人たちと仲良くなり、教国に対する包囲網を作っていく。教皇に仕える七人の個性的な枢機卿や、数万クラスの不死の軍勢と戦ったりする。だんだん話が大きくなり、戦闘もどんどん大がかりになっていくけど、それにつれてコマも大きくなり話はあんまり進まなくなる。

15巻まできてエルフの女戦士アリアンとはまったくロマンスが発展しないので、たぶんこの作品は王道バトルものの少年マンガに近いんだと思う。獣人の女忍者チヨメにいたってはアークのことを意識すらしていない。

アークは不条理な現象によってゲームの世界に閉じ込められたわけだけど、アーク自身そのことにまったく興味がなさそうだった。アークと同じく現実世界からやってきたと思われる同じゲームプレイヤーの教皇が出てきたので、こいつとの対決を通じてこの世界のしくみが明らかになるかもしれないんだけど、正直読んでいて特に知りたいとも思わなかった。

アーク自身にそこまで正義感がないというか、自分の手の届く範囲で可能なかぎり人助けをしたいという風に達観している。中の人の年齢も高いんだと思う。これ以上の精神的な成長もなさそうだった。

アリアンの母親のグレニスや姉のイビンがとても強い戦士という設定はなるべく気にしないようにした。魔法とか使わない純粋な剣士なのに男より強い女がこんなにいるのは明らかに不自然だと思う。伝説の龍もオスよりメスのほうが強いし。一方でこの作品に出てくる男がみんな弱いわけではなくてダンカというアリアンより強い戦士も出てくる。

と難癖はつけたけど、そこそこ魅力的なキャラと世界設定によりなんだかんだで楽しめた。アークは精神的に円熟していて謙虚なので会話のやりとりも相手に配慮していて心地よかった。

絵はまずヒロインのアリアンやチヨメがそこそこかわいくてよかった。魑魅魍魎たちが相応に気持ち悪くて正直あまり好きではなかったけどリアリティがあってよかった。一方で若い王子や王女たちの描かれ方がちょっと物足りなく感じた。ビジュアルだけじゃなくて意志の描かれ方も薄っぺらく感じた。

異世界転移ファンタジーで気軽に楽しめる上にそこそこ読み応えがあるので気になったら読んでみるといいと思う。

[参考]
https://comic-gardo.com/episode/3269754496561210553

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