コンピュータソフト
ロールプレイングゲーム
ヴァルキリー・プロファイル
エニックス、トライエース
傑作(30点)
2005年6月26日
北欧神話の世界をベースに、神界の戦争におけるオーディン陣営の勝利のために、女神レナス・ヴァルキュリアが人間界の秩序を守りつつ有望な人材をスカウトし、天界へ戦力として送っていくゲーム。
題名があらわすようにヴァルキリーのプロフィール(プロファイルが正しい読み方なのだけど)が物語の本当の結末に関わってくる。この作品はひさびさに大局的なストーリー展開に満足できた。ただ、ちょっと説明臭いのが玉にキズなのと、あんまり深く考えると醒めてしまいそう。ふと思ったのだけど、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がこの作品のような結末だったら、ラストにケチがつかず素直に名作と言えたと思う。
ひとまず物語要素は置いておいて、システムで言えばこのゲームはいわゆる普通の二次元横スクロール謎解きアクションRPGだった。アクションといっても敵との戦闘はエンカウント方式になっており、エンカウント自体はアクションで避けられたり出来るのだが、戦闘画面になったらボタンを押すタイミング以外は普通のコマンド式だ。全体マップ上にダンジョンがいくつかあり、好きなダンジョンを選んで入ることが出来る。
主人公のレナス・ヴァルキュウリアと共に戦うのは、一度死んだ人間だ。運命に翻弄されて死に至った人間に目をつけ、自分と共に戦うよう言う。全八章構成で、各章により仲間になる人間が増えていく。一章につき二人か三人ぐらいどんどん加入していくので、このままだとパーティの人数がどんどん増えていく。しかし主人公の目的は、オーディン陣営で戦う人間をスカウトすることなので、天界にとって必要な人材をどんどん送らなくてはいけない。毎回章が始まるときに、豊穣の女神フレイから、どんな人材を求めているのか言われるので、そのとおりの人材を送ると戦いを有利に進められる。
このフレイという女神、かなりイイ。おねいさんタイプなのだ。主人公とは姉妹関係のようなものらしい。主人公に向かって「〜しなさい。」「〜と仰せよ。」と上から命令口調でモノを言う姿に惚れた。いままでこんなキャラはいなかったなぁ。露骨な萌えキャラならうんざりするほどいたけど、ここまでわざとらしさのないキャラはいなかった。
おっと。話が脇に逸れたが、このゲームにはRPGとしての面と、シミュレーションゲームとしての面も持っているというわけだ。RPGとしての面を優先しすぎると、ダンジョンの攻略は楽になるけど、天界での戦況が悪くなる。逆にシミュレーションとしての面を優先しすぎると、ダンジョンの攻略が難しくなる。とまあそういう背反を狙っている。ただ、自分がやってみた限りでは、シミュレーションのほうは連戦連勝で、どんな違いがあるのかよくわからなかった。シミュレーションゲームといっても、送った人材の能力値に応じて勝手にストーリーと成果が決まっていくだけなので、レポートを読むことしかできない。ちょっとがっかりだけど、ファイアーエムブレムみたいなゲームが天界フェーズであっても面倒なだけなので、このぐらいでいいのだと思う。このゲームは基本的にRPGなのだと思えばいい。
で、このゲームにおけるストーリーとは何なのか。それは、死んだ人間をスカウトしていくシーンにある。最初に出てくるのが、無敵の傭兵アリューゼと王女ジェラードの話。登場人物の独白による紙芝居で、自分が死に至ったまでの話を語る。…うーん。どの話も、死が関わっているだけに、それなりの感動はある。でも、いまいちなのが多いんだよねえ。ネタバレになるけど一番最初の話ぐらいは言ってもいいだろう。
アリューゼは大衆の面前で王を罵倒した。ジェラードは自分の父親である王が侮辱されたので、アリューゼに仕返しをしようと、変装してアリューゼに偽の依頼をする。ところが子供なのでうまくいかない。アリューゼはジェラードのたくらみに途中で気づくが放っておく。そのうちジェラードは大臣の陰謀に巻き込まれて、誘拐されて殺されてしまう。その容疑がアリューゼに掛けられ、アリューゼは元の同僚や養父と戦うことになる。べらぼうに強いアリューゼは戦い続けることも出来るのだが、養父に剣を向けてまで生き続けるのがバカらしくなって自殺する。とまあこんな感じ。私がストーリーを解説すると実際よりつまらなく感じられるのが常だが、今回だけは逆に二割り増しぐらいに面白く感じられたかも。それでも、最強の傭兵が最後自殺するなんていう展開はなんだかなぁと思うし、大臣の陰謀が唐突すぎる。まあそんなわけでこの二人が最初に主人公の仲間となる。色んな物語が用意されていて楽しめることは楽しめるのだが、良く言うと、世界の名作を2,3ページずつで読むシリーズを読んでいるような感覚に近い。楽しめる人は楽しめるのだろうけど、私にとってはいまいちだった。
舞台となる人間界には色んな都市がある。軍事国家、盗賊社会、魔法都市、寒村、狂信的国家、商業都市、東洋の国。世界設定はしぶいファンタジー世界。非常にセンスがいい世界観だ。
戦闘システムは、四人パーティのターン制となっている。プレイステーションの四つのボタン○△□×が、それぞれ四人に対応している。自分のターンになったとき、ボタンを押すと、対応するキャラが攻撃する。武器によって攻撃回数が決まっている。敵を浮かしたりダウンさせたりする攻撃があり、タイミングよく押すと連続攻撃が決まり、うまく決まると敵の状態によって経験値アップやターン数減少といったボーナスが得られる。コンボゲージがたまると、決め技を出すことが出来るようになり、大ダメージを与えることができる。
キャラクターの成長は経験値を稼ぐことによるレベルアップだが、それと共にCPというポイントが得られ、それを割り振ることで能力値を増やしたりスキルを覚えたりできる。スキルは最初から持っているものに加え、アイテムを手に入れて増やすことができる。呪文もアイテムで覚えることが出来る。
装備類は、アイテムとして入手するほか、マテリアルポイントと呼ばれるポイントで作成することがメインとなる。店がないのですべて作るしかない。章の始めにオーディンから賜ったりもする。アイテムの中には、アーティファクトと呼ばれる伝説の品みたいなものがある。それらは何と基本的にオーディンに所有権があることになっている。主人公が手に入れると、わざわざ CAUTION が出てきて、すぐその場で献上するかどうか選択しなければならない。ガメることも出来るのだが、評価値が下がってしまう。
戦闘システムがシンプルながら奥が深いものとなっているのに対して、装備やスキルといったものが必要以上に煩雑になっている。私がもっと若かったら、よく作りこまれているなと感心したかもしれないが、今となっては面倒なのでだいぶ放置した。たとえば、敵が落とすアイテムはそのままでは道具として使えないので、マテリアルポイントを使って使えるアイテムに変換する。いらないアイテムはマテリアルポイントにすることもできる。武器とアクセサリには特徴があってよかったが、鎧は頭と胴と小手と足に分けている意味がよくわからない。スキルも一時期の膨らみすぎたテーブルトークRPGほどに用意されており、キャラクターに特徴を与えることが出来るのだが、効果が実感しにくいものが多く、そうやってせっかく育てたキャラクターを天界に送ってしまうので思い入れを抱けず、さらにCPは終盤余り気味になって結局全部割り当てるので個性も何もあったものではない。
音楽は全体的に暗め。私は好きだ。特にストーリーモードのときの音楽は陰鬱で頭に残る。戦闘音楽も気にいった。戦闘開始時のボイスがまたいい。毎回毎回同じボイスに同じショートアニメを見せられるのだが、あんまり気にならなかった。魔法や決め技にすべてボイスが用意されている。魔法は二十種類以上、魔法使いは十人ぐらい、そして攻撃魔法には決め技となったときの大魔法に変化したときのものまであり、一体いくつボイスが用意されているのか分からない。
グラフィックスは、特に人物の絵がとても特徴的。最初はクセのある絵だと思ったが、アニメ臭いステレオタイプな絵よりこっちのほうがいい。主人公レナスの絵は、やぼったさを感じなくもないが、妙に肉感的な感じがしてセクシーだ。ちょっと80年代っぽい匂いがする。味がある。
時間制限というかターン制限があるので、だらだらしたやりこみには適さない。ゲームモードが三種類、エンディングが三種類ある。そのうち、ハードでAかBエンディングのときのみ、セラフィックゲートというエクステンデッドモードで遊べるのだそうだ。私はノーマルでやってAエンディングのみ見たので、このモードで遊ぶにはやりなおさなければならない。さすがにやりなおす気になれない。イージーだとAエンディングが見れない。ノーマルとハードだとダンジョン数が少し減っているらしい。どういうダンジョンが減らされているのか分からないが、モードによってダンジョンを減らすという試みは大胆すぎるのではないだろうか。多分出来のあまりよくないか仕掛けの少ないストーリーとは関係が薄いダンジョンが減らされたのだと思うが、それでもゲームの仕組み上ダンジョンに入る入らないは自由なので、一部ダンジョンを出現すらしなくするのはどうかと思う。
終盤の大詰めで、ブラッド・ヴェインという龍と戦う。この龍がとんでもない強さを誇っている。HPはやや少なめだが、なんと定期的に回復魔法を使うため、一気に攻撃しないといつまでたっても倒せない。なおかつ、即死級の攻撃をバンバンしてくる。その結果、スキルにオートアイテムとガッツを設定しないとまったく歯が立たない。攻略本やネットで情報を集めていないと、ハマる人が出ると思う。私はそれなりにゲーム好きで自信があるのだが、あとちょっとでハマるところだった。経験の宝珠をためてなかったら、途中で魔法系のキャラを一気に育てて編成にいれるという選択肢がとれずに、攻略を断念しなければならなかったかもしれない。それかセーブデータをちょっと戻して、ダンジョンに入ってひたすら経験稼ぎしなければならないところだ。なぜこんな凶悪な敵を、ベスト版(廉価版)まで残しておいたのだろうか。
と、文句も言ってみたが、もう一度プレイしてみたい気持ちもある。クリアするまでやって初めてゲームのコツをつかんでくるので、今度は最初から効率プレイで飛ばしてみたいと思うのだ。さすがに今の私にはそんなに時間はないのでもう二度とやらないとは思うが、そんな気にさせられる。
全体を通じて見ると、どの要素もそれなりに出来がいいのだが、散漫でまとまりがない。製作者がプレイヤーにどういう風に楽しませたいのか分からない。プレイヤーそれぞれの楽しみ方で遊んでほしい、と言いたいのだろう。それとはまた別に、久しぶりに製作者の意図を強く感じたゲームだった。プレイヤーに媚びていない。ここはこうなんだと押している部分を幾度となく感じた。悪く言えば、ちょっと自慰的なところがある。
自分から進んで鑑賞する気持ちになってプレイすればとても楽しめるゲームだ。ゲーム好きには勧める。
題名があらわすようにヴァルキリーのプロフィール(プロファイルが正しい読み方なのだけど)が物語の本当の結末に関わってくる。この作品はひさびさに大局的なストーリー展開に満足できた。ただ、ちょっと説明臭いのが玉にキズなのと、あんまり深く考えると醒めてしまいそう。ふと思ったのだけど、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」がこの作品のような結末だったら、ラストにケチがつかず素直に名作と言えたと思う。
ひとまず物語要素は置いておいて、システムで言えばこのゲームはいわゆる普通の二次元横スクロール謎解きアクションRPGだった。アクションといっても敵との戦闘はエンカウント方式になっており、エンカウント自体はアクションで避けられたり出来るのだが、戦闘画面になったらボタンを押すタイミング以外は普通のコマンド式だ。全体マップ上にダンジョンがいくつかあり、好きなダンジョンを選んで入ることが出来る。
主人公のレナス・ヴァルキュウリアと共に戦うのは、一度死んだ人間だ。運命に翻弄されて死に至った人間に目をつけ、自分と共に戦うよう言う。全八章構成で、各章により仲間になる人間が増えていく。一章につき二人か三人ぐらいどんどん加入していくので、このままだとパーティの人数がどんどん増えていく。しかし主人公の目的は、オーディン陣営で戦う人間をスカウトすることなので、天界にとって必要な人材をどんどん送らなくてはいけない。毎回章が始まるときに、豊穣の女神フレイから、どんな人材を求めているのか言われるので、そのとおりの人材を送ると戦いを有利に進められる。
このフレイという女神、かなりイイ。おねいさんタイプなのだ。主人公とは姉妹関係のようなものらしい。主人公に向かって「〜しなさい。」「〜と仰せよ。」と上から命令口調でモノを言う姿に惚れた。いままでこんなキャラはいなかったなぁ。露骨な萌えキャラならうんざりするほどいたけど、ここまでわざとらしさのないキャラはいなかった。
おっと。話が脇に逸れたが、このゲームにはRPGとしての面と、シミュレーションゲームとしての面も持っているというわけだ。RPGとしての面を優先しすぎると、ダンジョンの攻略は楽になるけど、天界での戦況が悪くなる。逆にシミュレーションとしての面を優先しすぎると、ダンジョンの攻略が難しくなる。とまあそういう背反を狙っている。ただ、自分がやってみた限りでは、シミュレーションのほうは連戦連勝で、どんな違いがあるのかよくわからなかった。シミュレーションゲームといっても、送った人材の能力値に応じて勝手にストーリーと成果が決まっていくだけなので、レポートを読むことしかできない。ちょっとがっかりだけど、ファイアーエムブレムみたいなゲームが天界フェーズであっても面倒なだけなので、このぐらいでいいのだと思う。このゲームは基本的にRPGなのだと思えばいい。
で、このゲームにおけるストーリーとは何なのか。それは、死んだ人間をスカウトしていくシーンにある。最初に出てくるのが、無敵の傭兵アリューゼと王女ジェラードの話。登場人物の独白による紙芝居で、自分が死に至ったまでの話を語る。…うーん。どの話も、死が関わっているだけに、それなりの感動はある。でも、いまいちなのが多いんだよねえ。ネタバレになるけど一番最初の話ぐらいは言ってもいいだろう。
アリューゼは大衆の面前で王を罵倒した。ジェラードは自分の父親である王が侮辱されたので、アリューゼに仕返しをしようと、変装してアリューゼに偽の依頼をする。ところが子供なのでうまくいかない。アリューゼはジェラードのたくらみに途中で気づくが放っておく。そのうちジェラードは大臣の陰謀に巻き込まれて、誘拐されて殺されてしまう。その容疑がアリューゼに掛けられ、アリューゼは元の同僚や養父と戦うことになる。べらぼうに強いアリューゼは戦い続けることも出来るのだが、養父に剣を向けてまで生き続けるのがバカらしくなって自殺する。とまあこんな感じ。私がストーリーを解説すると実際よりつまらなく感じられるのが常だが、今回だけは逆に二割り増しぐらいに面白く感じられたかも。それでも、最強の傭兵が最後自殺するなんていう展開はなんだかなぁと思うし、大臣の陰謀が唐突すぎる。まあそんなわけでこの二人が最初に主人公の仲間となる。色んな物語が用意されていて楽しめることは楽しめるのだが、良く言うと、世界の名作を2,3ページずつで読むシリーズを読んでいるような感覚に近い。楽しめる人は楽しめるのだろうけど、私にとってはいまいちだった。
舞台となる人間界には色んな都市がある。軍事国家、盗賊社会、魔法都市、寒村、狂信的国家、商業都市、東洋の国。世界設定はしぶいファンタジー世界。非常にセンスがいい世界観だ。
戦闘システムは、四人パーティのターン制となっている。プレイステーションの四つのボタン○△□×が、それぞれ四人に対応している。自分のターンになったとき、ボタンを押すと、対応するキャラが攻撃する。武器によって攻撃回数が決まっている。敵を浮かしたりダウンさせたりする攻撃があり、タイミングよく押すと連続攻撃が決まり、うまく決まると敵の状態によって経験値アップやターン数減少といったボーナスが得られる。コンボゲージがたまると、決め技を出すことが出来るようになり、大ダメージを与えることができる。
キャラクターの成長は経験値を稼ぐことによるレベルアップだが、それと共にCPというポイントが得られ、それを割り振ることで能力値を増やしたりスキルを覚えたりできる。スキルは最初から持っているものに加え、アイテムを手に入れて増やすことができる。呪文もアイテムで覚えることが出来る。
装備類は、アイテムとして入手するほか、マテリアルポイントと呼ばれるポイントで作成することがメインとなる。店がないのですべて作るしかない。章の始めにオーディンから賜ったりもする。アイテムの中には、アーティファクトと呼ばれる伝説の品みたいなものがある。それらは何と基本的にオーディンに所有権があることになっている。主人公が手に入れると、わざわざ CAUTION が出てきて、すぐその場で献上するかどうか選択しなければならない。ガメることも出来るのだが、評価値が下がってしまう。
戦闘システムがシンプルながら奥が深いものとなっているのに対して、装備やスキルといったものが必要以上に煩雑になっている。私がもっと若かったら、よく作りこまれているなと感心したかもしれないが、今となっては面倒なのでだいぶ放置した。たとえば、敵が落とすアイテムはそのままでは道具として使えないので、マテリアルポイントを使って使えるアイテムに変換する。いらないアイテムはマテリアルポイントにすることもできる。武器とアクセサリには特徴があってよかったが、鎧は頭と胴と小手と足に分けている意味がよくわからない。スキルも一時期の膨らみすぎたテーブルトークRPGほどに用意されており、キャラクターに特徴を与えることが出来るのだが、効果が実感しにくいものが多く、そうやってせっかく育てたキャラクターを天界に送ってしまうので思い入れを抱けず、さらにCPは終盤余り気味になって結局全部割り当てるので個性も何もあったものではない。
音楽は全体的に暗め。私は好きだ。特にストーリーモードのときの音楽は陰鬱で頭に残る。戦闘音楽も気にいった。戦闘開始時のボイスがまたいい。毎回毎回同じボイスに同じショートアニメを見せられるのだが、あんまり気にならなかった。魔法や決め技にすべてボイスが用意されている。魔法は二十種類以上、魔法使いは十人ぐらい、そして攻撃魔法には決め技となったときの大魔法に変化したときのものまであり、一体いくつボイスが用意されているのか分からない。
グラフィックスは、特に人物の絵がとても特徴的。最初はクセのある絵だと思ったが、アニメ臭いステレオタイプな絵よりこっちのほうがいい。主人公レナスの絵は、やぼったさを感じなくもないが、妙に肉感的な感じがしてセクシーだ。ちょっと80年代っぽい匂いがする。味がある。
時間制限というかターン制限があるので、だらだらしたやりこみには適さない。ゲームモードが三種類、エンディングが三種類ある。そのうち、ハードでAかBエンディングのときのみ、セラフィックゲートというエクステンデッドモードで遊べるのだそうだ。私はノーマルでやってAエンディングのみ見たので、このモードで遊ぶにはやりなおさなければならない。さすがにやりなおす気になれない。イージーだとAエンディングが見れない。ノーマルとハードだとダンジョン数が少し減っているらしい。どういうダンジョンが減らされているのか分からないが、モードによってダンジョンを減らすという試みは大胆すぎるのではないだろうか。多分出来のあまりよくないか仕掛けの少ないストーリーとは関係が薄いダンジョンが減らされたのだと思うが、それでもゲームの仕組み上ダンジョンに入る入らないは自由なので、一部ダンジョンを出現すらしなくするのはどうかと思う。
終盤の大詰めで、ブラッド・ヴェインという龍と戦う。この龍がとんでもない強さを誇っている。HPはやや少なめだが、なんと定期的に回復魔法を使うため、一気に攻撃しないといつまでたっても倒せない。なおかつ、即死級の攻撃をバンバンしてくる。その結果、スキルにオートアイテムとガッツを設定しないとまったく歯が立たない。攻略本やネットで情報を集めていないと、ハマる人が出ると思う。私はそれなりにゲーム好きで自信があるのだが、あとちょっとでハマるところだった。経験の宝珠をためてなかったら、途中で魔法系のキャラを一気に育てて編成にいれるという選択肢がとれずに、攻略を断念しなければならなかったかもしれない。それかセーブデータをちょっと戻して、ダンジョンに入ってひたすら経験稼ぎしなければならないところだ。なぜこんな凶悪な敵を、ベスト版(廉価版)まで残しておいたのだろうか。
と、文句も言ってみたが、もう一度プレイしてみたい気持ちもある。クリアするまでやって初めてゲームのコツをつかんでくるので、今度は最初から効率プレイで飛ばしてみたいと思うのだ。さすがに今の私にはそんなに時間はないのでもう二度とやらないとは思うが、そんな気にさせられる。
全体を通じて見ると、どの要素もそれなりに出来がいいのだが、散漫でまとまりがない。製作者がプレイヤーにどういう風に楽しませたいのか分からない。プレイヤーそれぞれの楽しみ方で遊んでほしい、と言いたいのだろう。それとはまた別に、久しぶりに製作者の意図を強く感じたゲームだった。プレイヤーに媚びていない。ここはこうなんだと押している部分を幾度となく感じた。悪く言えば、ちょっと自慰的なところがある。
自分から進んで鑑賞する気持ちになってプレイすればとても楽しめるゲームだ。ゲーム好きには勧める。
(最終更新日: 2023年4月18日 by ひっちぃ)