和製ホラー映画。住む人住む人が死んでいく住宅で、要介護の母親を持つ一家を発端に、関わる人々が呪い殺されていく話。

ものすごく怖いという評判だったので期待して観た。確かに怖かったが、期待の方が大きすぎた。佳作という印象が残った。

この作品は、悪く言えば、新しいものを何一つ生み出していない。これまで心霊写真とか霊の番組や本が積み上げてきた文化をそっくりそのまま利用している。良く言うと、それをうまく映画にした。

主演は奥菜恵らしい。エンドロールを見て初めて気づいた。若い新人を集めて作ったんだろうなと思っていた。伊東美咲も出ていた。なんとなくどこかで見たことあるなと思ったが、この当時はそんなに垢抜けていなかったのか、それとも映画の雰囲気に合わせてちょっと地味にしたのか。

展開が散漫なのが気になった。沢山の登場人物が一定期間ごとに死んでいくのだが、その理由とか順序に何の必然性もない。いろいろなパターンを見せてくれるのは良いのだが、つながりが薄いので一枚絵をいくつも見せられている感じ。

呪いの対象になった人に逃れる手段がないことに気づくと、スリルなんてあったものではない。殺されるか助かるか、逃げ切れるか捕まるか、というドキドキ感があまり無いのは、ホラー作品として致命的なのではないだろうか。うーん。多分この作品は、ホラー映画では無いのだろう。心霊映画？ 悪霊がどうやって登場人物たちを怖がらせ、死に至らしめるのかを描いた映画なのであって、生者が助かろうともがく作品ではないのだ。