コンピュータソフト
シミュレーションロールプレイングゲーム
フロントミッション4
スクウェア・エニックス
傑作(30点)
2007年4月26日
フランス出身の若くて美しく知性もあるヒロイン・エルザはイギリスの軍事研究所に所属するパイロットで、E.U.の資源地帯を襲撃した謎の部隊を追って仲間と共に調査と戦いを始めた。一方南米ベネズエラでは、知事の独立宣言を潰すために進駐したアメリカ軍の中にあって偵察中に偶然知事の隠し財産を強奪した小隊長ダリル以下二名の不良軍人が脱走し、自らの手で国を治めたいと願う若き指導者を頂くゲリラになりゆきで手を貸すことになる。
本作はファイナルファンタジーシリーズやドラゴンクエストシリーズなどで有名なスクウェアエニックスが手がける人気シミュレーションRPGフロントミッションシリーズの第四弾である。
空想近未来の世界で、発展を続けた軍事産業は戦車や戦闘機の次にヴァンツァーという戦闘用ロボットを生み出し、世界各国の企業がしのぎを削り開発競争を繰り広げ、紛争の絶えない地球各地で活躍し戦いが行われている。
本作は同シリーズで初めてプレイステーション2になっただけあって、一部初代プレステ級のしょぼいインタフェースがあるが、戦闘シーンはさすがに早い時期から新しいハードをうまく使っていて迫力がある。ヴァンツァーの重量感がなんともいえない。銃火器の発射の際の音とか反動がとてもリアルで素晴らしい。
冒頭で説明したように今回は二つのストーリーが約3ステージずつ交互に展開される。これにより良く言えば飽きがこないように配慮されているが、悪く言うとどちらの話もちょっと微妙な感じがする。
エルザ編はどちらかというと人間模様が前面に出ている。ベテランのジードとアリソン次官、エルザとフリーのジャーナリスト、ラトーナと伯父、ボッシュとヴァグナーなど。でもあまり突っ込んだ話はなく、表面をなでる程度で物足りない。ヒロインに恋らしい恋もないし。あと陰謀的な設定が稚拙でいまいち。でも終盤のエルザとヴァグナーとの仲間についての対話がややベタながらもいい感じに描かれていて、プレイ後の印象がとても良かった。
ダリル編は不良軍人が情に流されるところが人間っぽくていい感じ。こっちもなんかよくある話をそのまま持ってきたようで弱いのだけど、型にハマってる分だけそれなりに楽しめたのだと思う。良く言えば無難な作りになっている。こっちも終盤のダリルたちのおせっかいがちょっと泣かせる。ベタだと思いつつも、ゲームなのだしこのぐらいがちょうどいいのかもしれない。
システム面を言えば、この四作目でいくつか大きく進化している。リペア(修理)やEMP(妨害電波)やセンサー(レーダーやミサイル誘導)やECM(ミサイル誘導妨害)やラジオ(航空支援)なんかの新要素が見事なバランスで加えられている。本作でまた一つこのシリーズは完成度を増した。
ただしその割に戦闘がそんなに面白くないのはなぜなのだろう。地道に敵を一体一体倒していく作業になってしまうからだろうか。毎度敵を殲滅するだけだ。敵のレコン(レーダー持ち)は早めに潰さないと敵のミサイルの雨が降ることになるのだが、このレコンが素早くてなかなか弾が当たらずにイライラする。真っ先に潰さないといけないやつがなかなか潰せないというのは戦術性が希薄なんじゃないだろうか。
本作の一番の肝は、自分たちのヴァンツァー(戦闘用ロボット)を予算と過重の範囲内で好きなように組み立て、パイロットを自分の好みで成長させるところにある。だから戦闘はそれらを披露する場所でしかないのだろう。
ヴァンツァーの部品は本作でも結構出てくる。それぞれにメーカーが設定されているのが何よりも本シリーズの特徴だろう。銃を持つ腕は性能のいいスタビライザーがついている命中精度の高い製品を使ったほうがいいとか、格闘武器やら盾をどうするとか、色々と考えることがあって楽しめる。
パイロットのほうは武器レベルとか各種スキルなどがあってこれまた幅があり成長させるのが楽しい。スイッチとかエイムとかブラストストライクなど、覚えて発動すると明らかに強くなるのが気持ちいい。
音楽はシリーズ中一番の出来じゃないだろうか。戦争モノっぽい壮大な音楽や硬質のゴリゴリした音楽、南米をイメージする笛の音なんかが特に最高だ。
私は本作は第一作の次に完成度の高い作品だと思う。それは本作の次に出た第五作目も入れての順位だ。本作のシステム面での進化は初代に次ぐ素晴らしさで、特にそれはオンライン版でも証明された。ストーリーも良く言えば無難に仕上がっており、後味がよくて好感が持てる。
ただ、私自身がこういう単純なターン制のシミュレーションRPGに飽きてしまっているということが本作ではっきり分かってしまった。もちろん本作を十分に楽しんでいる若い世代の人がいるだろうことは承知している。しかしせっかく新ハードなのに旧態依然としたシステムのままというのが一番の問題だと思う。
オルタナティブという外伝的な作品でリアルタイムなシステムも出来るということを示したのに、本作ではそういう要素が一切含まなかった。私にとってはオンライン版こそフロントミッションシリーズの一番先頭を走っている作品だと思う。ファイナルファンタジーが12作目で戦闘画面をなくしてしまったように、本シリーズにも革新的な何かを取り入れるべきときに来ているように思えてならない。
本作はファイナルファンタジーシリーズやドラゴンクエストシリーズなどで有名なスクウェアエニックスが手がける人気シミュレーションRPGフロントミッションシリーズの第四弾である。
空想近未来の世界で、発展を続けた軍事産業は戦車や戦闘機の次にヴァンツァーという戦闘用ロボットを生み出し、世界各国の企業がしのぎを削り開発競争を繰り広げ、紛争の絶えない地球各地で活躍し戦いが行われている。
本作は同シリーズで初めてプレイステーション2になっただけあって、一部初代プレステ級のしょぼいインタフェースがあるが、戦闘シーンはさすがに早い時期から新しいハードをうまく使っていて迫力がある。ヴァンツァーの重量感がなんともいえない。銃火器の発射の際の音とか反動がとてもリアルで素晴らしい。
冒頭で説明したように今回は二つのストーリーが約3ステージずつ交互に展開される。これにより良く言えば飽きがこないように配慮されているが、悪く言うとどちらの話もちょっと微妙な感じがする。
エルザ編はどちらかというと人間模様が前面に出ている。ベテランのジードとアリソン次官、エルザとフリーのジャーナリスト、ラトーナと伯父、ボッシュとヴァグナーなど。でもあまり突っ込んだ話はなく、表面をなでる程度で物足りない。ヒロインに恋らしい恋もないし。あと陰謀的な設定が稚拙でいまいち。でも終盤のエルザとヴァグナーとの仲間についての対話がややベタながらもいい感じに描かれていて、プレイ後の印象がとても良かった。
ダリル編は不良軍人が情に流されるところが人間っぽくていい感じ。こっちもなんかよくある話をそのまま持ってきたようで弱いのだけど、型にハマってる分だけそれなりに楽しめたのだと思う。良く言えば無難な作りになっている。こっちも終盤のダリルたちのおせっかいがちょっと泣かせる。ベタだと思いつつも、ゲームなのだしこのぐらいがちょうどいいのかもしれない。
システム面を言えば、この四作目でいくつか大きく進化している。リペア(修理)やEMP(妨害電波)やセンサー(レーダーやミサイル誘導)やECM(ミサイル誘導妨害)やラジオ(航空支援)なんかの新要素が見事なバランスで加えられている。本作でまた一つこのシリーズは完成度を増した。
ただしその割に戦闘がそんなに面白くないのはなぜなのだろう。地道に敵を一体一体倒していく作業になってしまうからだろうか。毎度敵を殲滅するだけだ。敵のレコン(レーダー持ち)は早めに潰さないと敵のミサイルの雨が降ることになるのだが、このレコンが素早くてなかなか弾が当たらずにイライラする。真っ先に潰さないといけないやつがなかなか潰せないというのは戦術性が希薄なんじゃないだろうか。
本作の一番の肝は、自分たちのヴァンツァー(戦闘用ロボット)を予算と過重の範囲内で好きなように組み立て、パイロットを自分の好みで成長させるところにある。だから戦闘はそれらを披露する場所でしかないのだろう。
ヴァンツァーの部品は本作でも結構出てくる。それぞれにメーカーが設定されているのが何よりも本シリーズの特徴だろう。銃を持つ腕は性能のいいスタビライザーがついている命中精度の高い製品を使ったほうがいいとか、格闘武器やら盾をどうするとか、色々と考えることがあって楽しめる。
パイロットのほうは武器レベルとか各種スキルなどがあってこれまた幅があり成長させるのが楽しい。スイッチとかエイムとかブラストストライクなど、覚えて発動すると明らかに強くなるのが気持ちいい。
音楽はシリーズ中一番の出来じゃないだろうか。戦争モノっぽい壮大な音楽や硬質のゴリゴリした音楽、南米をイメージする笛の音なんかが特に最高だ。
私は本作は第一作の次に完成度の高い作品だと思う。それは本作の次に出た第五作目も入れての順位だ。本作のシステム面での進化は初代に次ぐ素晴らしさで、特にそれはオンライン版でも証明された。ストーリーも良く言えば無難に仕上がっており、後味がよくて好感が持てる。
ただ、私自身がこういう単純なターン制のシミュレーションRPGに飽きてしまっているということが本作ではっきり分かってしまった。もちろん本作を十分に楽しんでいる若い世代の人がいるだろうことは承知している。しかしせっかく新ハードなのに旧態依然としたシステムのままというのが一番の問題だと思う。
オルタナティブという外伝的な作品でリアルタイムなシステムも出来るということを示したのに、本作ではそういう要素が一切含まなかった。私にとってはオンライン版こそフロントミッションシリーズの一番先頭を走っている作品だと思う。ファイナルファンタジーが12作目で戦闘画面をなくしてしまったように、本シリーズにも革新的な何かを取り入れるべきときに来ているように思えてならない。