コンピュータソフト
ストラテジーゲーム
信長の野望 革新
KOEI
傑作(30点)
2007年8月5日
日本の戦国時代の大名同士の戦いを扱ったKOEIの人気シリーズの中で、本流である戦略・戦術レベルのシミュレーションゲームの最新作。日本全国が一枚の3Dマップで表現され、城や街での内政と戦いがシームレスで行われる。
私はこの作品を「全国版」と呼ばれる実質二作目からプレイしている。もう20年ぐらい続いているシリーズなんじゃないだろうか。当初はシミュレーションゲーム一本だったが、近年MMORPGになったり、私は把握しきれていないが同名ブランドで横展開をしているようである。
実のところ私はここずっとこのシリーズから遠ざかっていて、確か自分で新作を買ったのは二作目の全国版と四作目の武将風雲録だけで、あとは友達の家でちょっとやらせてもらったりした。八作目の烈風伝が最後だった。そして今回紹介する「革新」は十二作目にあたる。だから最近の作品と比較して論じるのは私には無理なので留意してほしい。
さすがに長く続くシリーズだけあって、新しいシリーズが出るごとに新しい趣向が追加されていっている。大きなシステムの変更と小さな趣向の追加が、また買おうかなと思わせる購買意欲をそそる。プレイヤーからの支持のあるシステムは残すし、不評だったら次からは採用しないなど、この規模の作品にしては割とフィードバックが効いていると思う。それでもこのゲームのファンの中には、最新作以外に何番目が良かったとか個々の作品のシステムを評価する人がいるが、それだけシリーズに幅があるという風に解釈すべきだと思う。
相変わらず思ったのは、このシリーズの作品は値段が高いことだ。最新作は一万円以上する。ファミコンに移植されたものは特にその割高感があった。ゲームソフトが売れなくなってきた昨今、本作も発売から一年以上たっていて一万円ぐらいした。それだけの価値があると消費者が判断したから続いているのだと思うが、それだけこのゲームのファンがコアなのだろう。
さて私は最初に信長を選んでやってみた。昔はゲームをやり込んで弱小大名で天下統一に挑戦するのが好きだったが、もうこの年になるとそんなことはやってられない。ゲームのシステムに慣れる意味で、一番簡単そうな信長でまずこのゲームの魅力をなるべく多く楽しもうとしたのだ。作品名が信長の野望だしね。
ただ難易度は初級じゃなくて中級にした。従来のシリーズだと初級は簡単すぎたからだ。ところが中級は難しかった。あとで攻略サイトを見てみたら、どうやら信長でやると人材(武将)が多すぎて人件費不足で慢性的な金欠に陥るらしい。途中で行き詰って投げ出した。
次は足利義輝でやってみた。最初のプレイで大体ゲームのシステムが分かったので、今度はちゃんとやればそこそこいけるなと思ったのだ。足利義輝の支配する京都は周りにそんなに強い敵がいないし、将軍家なおかげなのか同盟が組みやすくて割とプレイしやすい。落ち着いてプレイできたので、内政に本腰を入れて兵を増やして戦争をするという基本が分かって楽しめた。
一枚のマップ上に国があって城があって、領地の好きなところに畑とか作って内政が出来て、そこへ敵が攻めてきたり自分から攻めて行ったりするのが単純に楽しい。特に、ここに到達するまでにどれだけの試行錯誤があったのか知る古くからのファンである私にはある種の感慨がある。
ただ、本作で一番残念なのは、一部の勢力(武田・上杉あたり)が強すぎることだ。このゲームはシステムがしっかりしていてコンピュータのAIもよく出来ているので、デモプレイを観戦しているだけでも面白いのだが、武田信玄の病没後の武田家の没落とか上杉謙信の野心のなさによる停滞なんていうところが再現されていないからこういうことになるんじゃないだろうか。
そこでお勧めなのは仮想シナリオだ。有力な大名家から主力武将の何人かが独立して始まっている。強さがある程度均衡化されていて、比較的バランス良く遊べる。シヴィライゼーションシリーズのようにまっさらな状態から始めることはできないが、これで十分ではあると思う。私は試していないが新武将を好き勝手に作れるのもいい。
あと、このゲームはシステムに慣れていく過程が一番面白いと私は思う。知らなかったことが分かっていくのが最も快感で、新たに得た知識を使って今度こそうまくやるぞと再挑戦するときが一番幸せだ。
マニアとなるとシステムを完全に熟知してからが本当のゲームで、特に今回は結構トリッキーな軍事的牽制でむりやり敵を足止めしたり、敵のAIをあざむいてわざと攻めさせて敵の傷兵を捕獲して兵を増やしたりするテクニックを駆使して、いかに弱い大名で全国制覇するかを競い合っている。
まあ本作には色々な楽しみ方があって、強い大名でプレイして楽に全国統一して楽しむ人だっているのだし、間口が広いことは何よりだと思う。
ただ、そういうことを考え始めているうちに、このゲームは結局どのあたりがプレイヤーの腕の見せ所なのだろうかと考え込んでしまう。内政の手腕とか戦場での戦い方なんて人によってそんなに違わないんじゃないだろうか。となるとアクション性?AIをだます手口?そう考え始めると、途端にこのゲームの魅力が色あせて見えてしまう。
私はあまりこのゲームをやり込んでいないので、どのくらい戦略の幅があるのか分からず、これ以上あまり突っ込んで話すことが出来ない。ただ言えるのは、私はとりあえず五回ほど違う大名で遊んでもういいやと思ったが、私にもっと時間があればまだ遊んでいたと思う。
ところで、本シリーズの武将のシステム(というか元々三国志シリーズで採用されていた)は、海外のゲームでもTotal Warシリーズで取り入れられていて(?)、リアルタイム系が主流の最近のシミュレーションゲーム(というかストラテジーゲーム)で十分な独自性と競争力を持っていると思う。
KOEIはアジアにも輸出しているらしく、中国人のあいだで三国志がある程度受け入れられているようである。もっとも、韓国には秀吉が主人公の太閤立志伝だけは輸出されていないようであるが(笑)。
それだけこのシリーズを始めとしたKOEIのゲームソフトには独自の価値があると私は思う。ちょっと殿様商売な気はするが、いまのままの商売でいいからしっかりと今後ともシリーズを発展させていって欲しい。そうしたらまた五年後ぐらいに思い出して買う。
私はこの作品を「全国版」と呼ばれる実質二作目からプレイしている。もう20年ぐらい続いているシリーズなんじゃないだろうか。当初はシミュレーションゲーム一本だったが、近年MMORPGになったり、私は把握しきれていないが同名ブランドで横展開をしているようである。
実のところ私はここずっとこのシリーズから遠ざかっていて、確か自分で新作を買ったのは二作目の全国版と四作目の武将風雲録だけで、あとは友達の家でちょっとやらせてもらったりした。八作目の烈風伝が最後だった。そして今回紹介する「革新」は十二作目にあたる。だから最近の作品と比較して論じるのは私には無理なので留意してほしい。
さすがに長く続くシリーズだけあって、新しいシリーズが出るごとに新しい趣向が追加されていっている。大きなシステムの変更と小さな趣向の追加が、また買おうかなと思わせる購買意欲をそそる。プレイヤーからの支持のあるシステムは残すし、不評だったら次からは採用しないなど、この規模の作品にしては割とフィードバックが効いていると思う。それでもこのゲームのファンの中には、最新作以外に何番目が良かったとか個々の作品のシステムを評価する人がいるが、それだけシリーズに幅があるという風に解釈すべきだと思う。
相変わらず思ったのは、このシリーズの作品は値段が高いことだ。最新作は一万円以上する。ファミコンに移植されたものは特にその割高感があった。ゲームソフトが売れなくなってきた昨今、本作も発売から一年以上たっていて一万円ぐらいした。それだけの価値があると消費者が判断したから続いているのだと思うが、それだけこのゲームのファンがコアなのだろう。
さて私は最初に信長を選んでやってみた。昔はゲームをやり込んで弱小大名で天下統一に挑戦するのが好きだったが、もうこの年になるとそんなことはやってられない。ゲームのシステムに慣れる意味で、一番簡単そうな信長でまずこのゲームの魅力をなるべく多く楽しもうとしたのだ。作品名が信長の野望だしね。
ただ難易度は初級じゃなくて中級にした。従来のシリーズだと初級は簡単すぎたからだ。ところが中級は難しかった。あとで攻略サイトを見てみたら、どうやら信長でやると人材(武将)が多すぎて人件費不足で慢性的な金欠に陥るらしい。途中で行き詰って投げ出した。
次は足利義輝でやってみた。最初のプレイで大体ゲームのシステムが分かったので、今度はちゃんとやればそこそこいけるなと思ったのだ。足利義輝の支配する京都は周りにそんなに強い敵がいないし、将軍家なおかげなのか同盟が組みやすくて割とプレイしやすい。落ち着いてプレイできたので、内政に本腰を入れて兵を増やして戦争をするという基本が分かって楽しめた。
一枚のマップ上に国があって城があって、領地の好きなところに畑とか作って内政が出来て、そこへ敵が攻めてきたり自分から攻めて行ったりするのが単純に楽しい。特に、ここに到達するまでにどれだけの試行錯誤があったのか知る古くからのファンである私にはある種の感慨がある。
ただ、本作で一番残念なのは、一部の勢力(武田・上杉あたり)が強すぎることだ。このゲームはシステムがしっかりしていてコンピュータのAIもよく出来ているので、デモプレイを観戦しているだけでも面白いのだが、武田信玄の病没後の武田家の没落とか上杉謙信の野心のなさによる停滞なんていうところが再現されていないからこういうことになるんじゃないだろうか。
そこでお勧めなのは仮想シナリオだ。有力な大名家から主力武将の何人かが独立して始まっている。強さがある程度均衡化されていて、比較的バランス良く遊べる。シヴィライゼーションシリーズのようにまっさらな状態から始めることはできないが、これで十分ではあると思う。私は試していないが新武将を好き勝手に作れるのもいい。
あと、このゲームはシステムに慣れていく過程が一番面白いと私は思う。知らなかったことが分かっていくのが最も快感で、新たに得た知識を使って今度こそうまくやるぞと再挑戦するときが一番幸せだ。
マニアとなるとシステムを完全に熟知してからが本当のゲームで、特に今回は結構トリッキーな軍事的牽制でむりやり敵を足止めしたり、敵のAIをあざむいてわざと攻めさせて敵の傷兵を捕獲して兵を増やしたりするテクニックを駆使して、いかに弱い大名で全国制覇するかを競い合っている。
まあ本作には色々な楽しみ方があって、強い大名でプレイして楽に全国統一して楽しむ人だっているのだし、間口が広いことは何よりだと思う。
ただ、そういうことを考え始めているうちに、このゲームは結局どのあたりがプレイヤーの腕の見せ所なのだろうかと考え込んでしまう。内政の手腕とか戦場での戦い方なんて人によってそんなに違わないんじゃないだろうか。となるとアクション性?AIをだます手口?そう考え始めると、途端にこのゲームの魅力が色あせて見えてしまう。
私はあまりこのゲームをやり込んでいないので、どのくらい戦略の幅があるのか分からず、これ以上あまり突っ込んで話すことが出来ない。ただ言えるのは、私はとりあえず五回ほど違う大名で遊んでもういいやと思ったが、私にもっと時間があればまだ遊んでいたと思う。
ところで、本シリーズの武将のシステム(というか元々三国志シリーズで採用されていた)は、海外のゲームでもTotal Warシリーズで取り入れられていて(?)、リアルタイム系が主流の最近のシミュレーションゲーム(というかストラテジーゲーム)で十分な独自性と競争力を持っていると思う。
KOEIはアジアにも輸出しているらしく、中国人のあいだで三国志がある程度受け入れられているようである。もっとも、韓国には秀吉が主人公の太閤立志伝だけは輸出されていないようであるが(笑)。
それだけこのシリーズを始めとしたKOEIのゲームソフトには独自の価値があると私は思う。ちょっと殿様商売な気はするが、いまのままの商売でいいからしっかりと今後ともシリーズを発展させていって欲しい。そうしたらまた五年後ぐらいに思い出して買う。
(最終更新日: 2007年8月5日 by ひっちぃ)