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田母神俊雄(航空自衛隊の元幕僚長)

傑作(30点)
2008年11月29日
ひっちぃ

航空自衛隊の幕僚長だった田母神俊雄という人が、政府の公式見解と異なる思想を民間の懸賞論文に応募したという理由で事実上解任されたことについて主に批評する。

結局この事件で何が一番のポイントだったかというと、もちろん「右傾化」の一つの象徴的な出来事だったのだろうけど、それよりも民間企業からお金をもらっていたことによる嫉妬心なんだろうなと思う。自衛隊幹部を叩きたくて叩きたくてしょうがない勢力がいるんだろうな。だから人々の嫉妬心を煽ってでも事件化する。

いかに航空自衛隊の偉い人といっても、右派な思想を持っていて広く論文で主張しても正直そんなに危機感なんて抱くだろうか?というか他にもっと発行部数のある雑誌があるのに、誰が読むのか分からないような懸賞論文に書いたからといって果たしてどこまで影響力があるというのだろう。くだらない。「諸君!」とかに書けと言った評論家がいたけどそのとおりだと思う。

シビリアンコントロール(文民統制)の危機だという論調が一番強かったと思うが、この人は命令違反をしたのだろうか。どんな思想を持っていようと文民統制による命令にさえ従ってくれれば何の問題もない。まあ週刊文春の記事によればこの人は上からの命令を形骸化するようなことをやっていたらしいので、その点はもし本当なら大問題だと思う。とは思いつつもいかにも日本人的だなあとも思わずにはいられないのだが。

2ちゃんねるにインタビュー記事が産経新聞から転載されていたので読んでみたら(っていうか産経新聞もとってるんだけどw)、この人がすごくいいことを言っていたので引用する。

「この国のために命をかけることが正しいんだという気持ちがないと軍は動けない」

これを2ちゃんねるの住人が以下のようにアレンジした。

「自分が正しいと思わないと人なんて殺せない」

まったくそのとおりだと思う。

これが行き過ぎると、予算削った高橋是清を暗殺するとかの戦前の愚挙を繰り返してしまうという考え方も分かるんだけど、いまの自衛隊の人民と憲法からも半ば存在を否定されている肩身の狭さを考えると、とても偏った見方だと思う。

懲戒免職ではなく役職解いて自動的に定年退職させるというのもいかにも日本人的な曖昧さだよなあ。穏便に済ませれば高額な退職金を受け取れるというのに、日本の意識改革のためにあえて懲戒免職かどうかを政治に問うというのは、私たちのような被雇用者にはなかなか出来ることじゃないと思う。もうこの時点で懸賞論文の賞金がどうのという議論は既に成り立たなくなっている。

ぶっちゃけ論文の中身はそんなに大したこと書いているわけじゃなさそうなんだけど、別の点でもっと評価されるべき人だと思う。

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