ノンフィクション
対談・インタビュー
不良であること、誠実であること。
ZEEBRA vs. 小林よしのり (わしズム 創刊号)
まあまあ(10点)
2002年5月4日
ヒップホップミュージシャンの ZEEBRA と漫画家の小林よしのりの対談。小林よしのりが自分で創刊した雑誌「わしズム」の目玉の一つらしい。
まず「わしズム」という雑誌は手に取るといかにも怪しい雑誌だ。赤いスーツを着た中年の男が、いかにもかっこつけたポーズで、表紙に背表紙に見開きにこれでもかこれでもかと露出している。これが漫画家の小林よしのりである。やっちゃった! という雰囲気が濃厚に漂うが、小林よしのりに限らず、全執筆者の写真が必ず一ページ分はあるというビジュアル雑誌っぽい造りになっている。
その中で唯一、姿をアピールすることも商売の一つとなっているヒップホップミュージシャン ZEEBRA との対談は、逆に言えば小林よしのりの自己満足そのものなのではないかと不安を抱かせる。
だが読んでみて一応胸をなでおろした。この ZEEBRA という人は案外まともなオトナで、ラップミュージックと漫画という共に下に見られているメディアから生まれて政治について語っているという点で小林よしのりと共通している。ヒップホップというと、それっぽいファッションにかぶれたバカガキのことを思い出すが、アメリカの黒人たちが政治の問題を言うはけ口という面もあるらしい。私は ZEEBRA のアルバムを一切聞いたことがないので分からないが、同じラップ系でレゲエの三木道三が、最近の日本の治安悪化を嘆く歌を歌っているのを聞いて驚いた。こういう音楽が若者の間で流行ると、政治が人々の中に息づくのではないか。
小林よしのりは、かっこよさを追及しているのだと思う。正直いって私は、そんな彼を見るとバカっぽいなと思ってしまう。だけど、彼が「漫画家自体にあこがれた」と言っているように、かっこよくなければ根付かないのだ。社会にちょっと文句言ってやる、というかっこよさを確立できたら、多分社会はよくなると思う。それを「なんだあいつは固いこと言いやがって」と流してしまうより遥かにいい。ファッションと文化を切り離して考えるべきではないのだと改めて考えさせられる。
ただ、それはいいのだけれど、このインタビュー記事自体はそんなに読むべき価値のあるものではない。
まず「わしズム」という雑誌は手に取るといかにも怪しい雑誌だ。赤いスーツを着た中年の男が、いかにもかっこつけたポーズで、表紙に背表紙に見開きにこれでもかこれでもかと露出している。これが漫画家の小林よしのりである。やっちゃった! という雰囲気が濃厚に漂うが、小林よしのりに限らず、全執筆者の写真が必ず一ページ分はあるというビジュアル雑誌っぽい造りになっている。
その中で唯一、姿をアピールすることも商売の一つとなっているヒップホップミュージシャン ZEEBRA との対談は、逆に言えば小林よしのりの自己満足そのものなのではないかと不安を抱かせる。
だが読んでみて一応胸をなでおろした。この ZEEBRA という人は案外まともなオトナで、ラップミュージックと漫画という共に下に見られているメディアから生まれて政治について語っているという点で小林よしのりと共通している。ヒップホップというと、それっぽいファッションにかぶれたバカガキのことを思い出すが、アメリカの黒人たちが政治の問題を言うはけ口という面もあるらしい。私は ZEEBRA のアルバムを一切聞いたことがないので分からないが、同じラップ系でレゲエの三木道三が、最近の日本の治安悪化を嘆く歌を歌っているのを聞いて驚いた。こういう音楽が若者の間で流行ると、政治が人々の中に息づくのではないか。
小林よしのりは、かっこよさを追及しているのだと思う。正直いって私は、そんな彼を見るとバカっぽいなと思ってしまう。だけど、彼が「漫画家自体にあこがれた」と言っているように、かっこよくなければ根付かないのだ。社会にちょっと文句言ってやる、というかっこよさを確立できたら、多分社会はよくなると思う。それを「なんだあいつは固いこと言いやがって」と流してしまうより遥かにいい。ファッションと文化を切り離して考えるべきではないのだと改めて考えさせられる。
ただ、それはいいのだけれど、このインタビュー記事自体はそんなに読むべき価値のあるものではない。
(最終更新日: 2002年5月4日 by ひっちぃ)