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誰がために議決権はある?

将 (週刊文春 2002.5.23 経済記事にモノ申す)

傑作(30点)
2002年5月16日
ひっちぃ

株式を買って株主となり、企業に厳しい提案をつきつけることで知られている村上世彰が、最近も婦人服メーカー「東京スタイル」に高配当を求めたのに対して、同じく株主である銀行が反対票を投じるらしい、という奇妙な話を紹介した記事。

この連載は普段は新聞に載る経済記事を痛烈に批判する。大新聞のいい加減な記事をあばいてくれる。半分重箱をつついたような指摘も多く、全体としてはそれほど面白い連載ではないのだが、今回は独自の情報網で新聞とは関係ない銀行批判をしていて、内容もとても面白い。

株主というのは、その企業の所有者である。だから株主は、今期の利益をもっと配当しろ、と要求できるのである。ただし、企業が潰れたら困るし、拡大のための資金まで配当しろということになるとこれからの事業に障る。このあたりの感覚は、当然それぞれの株主でそれぞれの見方があるので、どうすればいいのかは投票で決めるらしい。

村上世彰は、一株あたり 500円の配当を要求した。ところが、経営側は 20円にするべきだという。もちろん経営側には決定権はないのだが、決定権を持つ株主の一つである銀行が、徒党を組んで村上世彰の要求に反対するつもりらしい。なぜかというと、この企業が銀行株を持っているからだというのだ。持ち合いである。詳しいことは分からないが、高配当を要求するなら保有している銀行株を売るぞ、といった圧力があるのだろうか。

だからか、銀行側も困っていて、村上世彰の要求には反対票を投じるつもりだが、村上世彰の要求が通ることを願っているらしい。なんともいびつな状態である。

この記事の筆者は、こんなことをやっていたら今度は銀行の株主たちが株主代表訴訟を起こすぞ、と言っている。これはどうなのだろうか。銀行も自分の時価総額の維持のためにやっていることなので、株主の利益を守ろうとしているとも言えるのだから、ちょっと違うのではないかと思う。

ただ、この話自体が非常に面白いので、こういう話を見つけてきてくれたことが良い。

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